第45話 彼、葛藤
大型案件も受注して少し経ってしまえば当初の忙しさも消え、フォローして行くのがメインだ。
普通の案件より少しだけ手間はかかるが、中原さんというサポートもいるので、業務負荷としては大きくはない。
以前の状態に戻った、いわゆる通常営業の日々になった。
しかし、自分の業務体制には変化があった。
特別でもない案件にもサポートが付くようになったのだ。
もちろんサポートしてくれるのは中原さんだ。
なぜそんなことになったかと言えば、課長の発案であり、それを認めた部長の承認があったからだ。
そのきっかけは当然大型案件を受注したチーム、つまり中原さんと自分だ。
当然ながら自分だけではなく、他のメンバーも同様になったのだが、サポートする側の人員はそんなにいない。そのために課員も増員された。増員が出来たのは、大型案件を受注できた結果が上層部を納得させたからだ。
随分と迅速に動けるようになり、とても助かっている。これは他のメンバーも同様の感想だ。
だが、なんか自分だけ雰囲気が違う。
他のメンバーは時々打ち合わせしては、分担して仕事を行っている。
それは、自分達も同じではあるが、打ち合わせの頻度が高いというか、日常的に話をしながらというか、要はべったりなのである。
もちろん仕事は進んでいるので悪くはない。しかし、他のメンバーと比べてべったり感というか、二人だけの世界というか、そんなものができている感じだ。
それはみんなが感じているようで、生暖かい目線で見られているのが伝わってくる。しかし実績を持ってこの体制のきっかけを作り、仕事も進んでいる自分達には誰も何も言わないし、言えない。
中原さんはというと、そんな目線はどこ吹く風、全く気にしていない。感じていない訳はないはずだが、、、
自分もそんなふうに過ごせばいいのか。いやいや、まず周りのそんな目線が嫌いだったから、社内恋愛は嫌だったのだ。それをそのまま過ごすなんてしたくはない。
でも、他人の目線はどうしようもない。どうせそういう見られ方をするなら、いっその事、、、
いや、それは相手のあることだ。そもそも中原さんが自分のことをどう思っているかなんてわからない。悪くは思われていないだろうが、付き合いたいと思っているかなんてわからない。こっちの思い込みという事もある。
彼女自体はルックスも性格も仕事に対する姿勢もどれも問題ない。問題ないどころか、十分すぎる。同僚としてもいいし、あまりそういう目で見てはいけないのだが女性としても魅力的だ。
自分の中で踏ん切りさえつけてしまえばいいのか?
待て、そもそも自分は恋愛事は会社には求めてないはずだ。
どうすればいいんだ?




