第37話 彼、頑張る
最初のプレゼンの日が来た。何社もの競合相手から、今回のプレゼンでだいぶ絞り込まれる。何としてでも、2回目のプレゼンへ進まなければならない。
果たしてうまい行くだろうか。社内にも大分負荷をかけたし、ここはうまくアピールして次へ繋げなければいけない。内容はもう決めてあるが、同じ内容でも魅力を感じてもらえるかはプレゼンのウデで変わってくる。最大限頑張ろう。
お客さんのところへ、課長と中原さんと共に向かった。
中原さんは本来プレゼンまで来るメンバーではなかったが、資料を熟知していることや、自分とのチームワークバッチリという謎の評価で、PC操作でプロジェクター投影や資料の配布等々補佐メンバーとして選ばれた。
仕事中はもちろん、昼食なども一緒に過ごしているのが謎評価に繋がったのだろう。
思うところは色々だが、今はそんなことより目の前のプレゼンだ。
自社の順番が来た。さあ、頑張ろう。
そうしてプレゼンは終わった。説明や質疑応答など、淀みなくこなせたと思う。とりあえず、一段落。1週間後にお客さんから2回目に進めるかの連絡が来るまで、小休止だな。
帰社して、荷物を整理したところで、課長からご飯の誘いが来た。一段落ということで、今日のプレゼンメンバーの自分と中原さんにごちそうしてくれるらしい。上司と飲むのは多少面倒だが、3人だけなので断りにくい。折角のご馳走でもあるし、遅くならない程度に行くことになった。
「二人共お疲れさま。随分と大変だったから、今日は好きなように飲んで食べてくれ」
「ありがとうございます。では、遠慮なく注文させてもらいます」
「私まで誘って頂きありがとうございます。では、私も遠慮なく行かせてもらいます」
今日は課長の誘いと言うことで、少しお高めの店に連れてきてもらった。
「なかなか、いいプレゼンだったよ。あれなら間違いなく次に進めるだろう」
「だといいですね」
「そうしたら、私もまだしばらくお手伝い頑張ります」
「それにしても、二人はいいチームだな。あんなに準備をするのはなかなか大変だ。お互いの考えを理解していないと、うまく進まない。そういえば藤井くんは、以前から中原さんに色々と指導してたな」
「指導なんて大げさなものではないです。聞かれたら答えるくらいです」
「私はとても良くしてもらったと思ってます」
「とにかく、これからもいいチームでもうひと頑張りしてくれ。まあ二人だからチームと言うよりいいペアかな」
なんか違うニュアンスも含んで聞こえそうな言葉だな…
「はい、ぜひ藤井さんをサポートさせてもらって、いいペアで頑張ります」
中原さん、なんでそんなふうに答えてるんだ?
二人で仕事するのが、当然みたいになってないか?
「そうか頼もしいな。藤井くんもいいパートナーができたな」
いや、パートナーってなんだ。
「しばらくは他のことは気にしないで、二人でしっかり仕事をしてくれ」
上司公認。




