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第22話 彼、バレンタイン

2月になって自分の誕生日が近づいて来る。が、その少し前に来るのが今日のバレンタインだ。俺の会社では女性社員が義理チョコを配るという習慣はない。というか、昔は有ったが、時代と共に消えていったらしい。今時、そんなもんだと思うよ。

心のこもらない形だけなら無い方がいい。お菓子メーカーの戦略に踊らされてお金を使ってもしょうがないよな。もちろん、本命や近しい関係の人に渡すのまで否定するつもりはないけど。

そして俺はそんな考えだから、この日に特別な感情はないし、何年もチョコをもらったこともないんだ。妻もカノジョもいなければ、そんなもんだろう。多少残念な気はするけど、だからといって寂しくもないし、何でもない日としてずっと過ごしてきている。

そして、ふと思った。最近やたらと会う機会が増えた中原さんは、俺にチョコをくれたりするのだろうか。いや、会うと言っても、偶然お店で会ったり、この前だって、美術展は仕事で、そのまま解散するのもなんだから、お礼のご馳走をしただけだ。特別な関係になったわけではないし、期待するのは自意識過剰ってやつだろう。

周りを見ても女性社員がチョコを誰かに渡している事はないし、中原さんも同じだ。ごくありふれた日常の会社の1日が進んでいる。


そう思いながら仕事をして、昼過ぎになると、外回りに出かける人も増え、社内は人がまばらになってきた。一度席を外して戻るときに、中原さんとすれ違った。

「さっき頼まれた書類を机の上に置いておきました」

「ありがとう。確認しておくよ」

そういって席に戻ると書類が置いてあった。手に取って確認してみる。おや?書類の下に小さな箱が置いてある。何だろう?メモが添えてあるぞ。


『藤井さん

先日は一日中お付き合いいただき、ありがとうございました。

あんなに遅くまでとは思っていなかったのですが、楽しかったのでついつい遅くなってしまいました。

これは、そのお礼です。

また、機会があったら、お付き合いくださいね。

                   中原』


箱を開けてみると、この日なので当然チョコだ。ぱっと周りを見てみたが、人も少なくなっていることもあり、誰もこっちは見ていないな。

会話もせず、さりげなく渡してくれたから、多分誰にも気付かれてないだろう。

ちょうど中原さんが席に戻ってきた。

「書類、ありがとう」

「どういたしまして」

お互い、少し含みのある笑顔で会話した。


誰にも気が付かれなかったな。秘密の共有みたいなスリルがあって、ドキッとしてしまった。こういうのもいいかなって少し思ってしまった。

いや、俺はそういうのは遠慮したいはずだが、、、




う~ん、相手次第で考えは変わるのか?


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