第21話 彼、休み明け
月曜日、出勤した。土曜は結構飲んだな。中原さんは大丈夫だったのだろうか。
「おはよう」
「おはようございます」
周りに人がいないので聞いてみるか。
「土曜はちゃんと帰れた?」
「大丈夫です。帰れないほど飲んでませんから」
「それなら安心した。日曜には影響出なかったかな?」
「朝少し遅くまで寝ちゃいましたけど、それ以外は問題無かったです。藤井さんはどうでしたか?」
「問題無かったよ」
「結局私が色々引っ張り回して時間を一日中取っちゃいましたね。ありがとうございました」
「こちらこそ仕事につき合ってもらったし、その後も楽しかったよ」
と、そこに冨田さん登場。
「土曜ふたりで美術展行ったんだろ。どうだった?」
「なかなか面白かったですよ。普段見ないものを見るのもたまにはいいですね」
「私も普段見ないので、楽しかったです」
「で、美術展見て、それで終わりじゃないだろう?何か楽しんだのか?」
冨田さんはニヤリと笑いながら聞いてくる。
あぁ、面倒な事を聞いてくるな。中原さんには口止めしてないし、全部話したらいいネタ提供するようなもんだよな。
と思っていると、中原さんが、
「気を使って昼ご飯をご馳走してもらいましたけど、それだけですよ」
「そうです。休みに駆り出して何もしないのも悪いからご馳走したけど、それだけです」
「そうか、そうだよな。休みに駆り出したらご飯位ご馳走するよな。でもそれで帰ったの?」
「冨田さんだったら、他に何かするんですか?」
「いや、そうでもないけど」
「じゃあ、何で聞いたんですか?」
「何となくだけど」
自分に話が降りかかってくるのを感じてか、そう言って冨田さんは少し不満そうに離れて行った。
「あまり変に探られたくないですよね」
「だよな」
おや?周りに知られないように気を使ってる。以前会社帰りに飲んだ時は、気にせず話してたのに。この方が助かるけど、何か心境の変化でもあったのか?
「知られないように、また行きましょうね」
また俺と何かに行くつもりなのか?
まあ、周りに知られなければいいか。
なかなか楽しかったしな。
いや、そうじゃない、面倒な事は避けておくのがいいはず。
どうしたんだ?この方がいいけど。




