第13話 彼女、チケットと同行者
今日は藤井さんが会社にいる。昨日の営業で取引先から何かを頂いてきた話を、上司や同僚にしているわね、何かしら?
美術展のチケットをもらって、週末に行ける人を探しているみたいね。
でも、暇な人が見つからないのかな?
皆さん用事が入ってしまっているのか、チケットがなかなか渡せてないわね。
私は暇あるのだけどな。藤井さんと美術展デートならいいのに。
あ、藤井さん私の方にも歩いてきた。
「チケットの話聞いてた?」
「はい聞こえてましたよ」
「で、どうかな?行けたりしない?」
「暇はありますけど、私は普段、美術展とか全然行ったことがないです。だから、申し訳ないですけど気が進まないですね。マナーや行動の仕方がわからないので」
藤井さんの役には立ちたいけど、行き慣れないものは勝手も分からないし、ハードル高いのよね。
「そうだな、俺もそれはわかるな。だけど、俺の担当の取引先の頼みだから、俺はひとりでも行くつもり。だから、あとひとり誰かいればいいんだよな」
「じゃあ、藤井さんと一緒に行くということなら、私は行ってもいいですよ。ひとりでなければ教えてもらったりできますから」
いい理由付けができちゃった。ひとりでなければハードル下がるし。美術展終わったら、はいサヨナラってこともないわよね。これはまたとないチャンスね。
「じゃあ、それでお願いしようかな。でも、俺も普段は美術展なんて行かないから、頼りにはならないぞ」
「はい、ひとりでなければ、なんとかなりそうな気がします」
そこへ、ちょうど通りかかった冨田さんが話に来た。
「おっ、休みの日にふたりで美術展か。なんかいい感じだな」
と行ってニヤリと笑っている。
「仕事の付き合いに巻き込んだだけですよ。なんなら代わりに冨田さんが行ってくれてもいいですけど」
「いや、暇が無いので無理だな」
なによ、行く気もないくせに、余計な口だけ出して。
それに冨田さんとふたりなら、私はお断りしますよ。
冨田さんが離れて行ってから、
「他に寄りたいところがあるんですけど、付き合ってもらえますか?」
「何か用事があったのか?」
「そうじゃないですけど、折角出かけるならついでにってところです」
「休みの日に駆り出しちゃう訳だし、特に用事はなくて暇だから、俺で良ければつきあうよ」
「ありがとうございます」
どこに行こうかな。




