第7話 高本ソウタ
俺は高本ソウタ。
みんなは俺の事沢山褒めてくれるし、自分でもちょっと俺ってすごい?っていう自覚はある。俗に言う陽キャってやつ?だからこそ、謙虚な態度で今まで過ごしてきたつもりだった。
正直14歳って俗に言う厨二病とかそーいう年頃。
学校にテロが来たらどう戦うとか、透視できる眼鏡があったらとか、この歳の男なら考えたことあるだろう。俺だってそんなことあればいいなとは考えたことある。
非日常に触れてみたいとは思った。けど、こんな形で触れるとは思いもしなかった。
俺はあまりワガママな性格ではなかった。謙虚であれ。それが俺の父がよく言う言葉だった。俺の父さんは厳しくて、怠惰を嫌う性格だった。
けど俺は父さんは嫌いじゃなかった。けど、幼い頃、父さんとお酒が飲みたいなんて言って、バカな冗談をと言われたのを今でも覚えてる。まあ、そんなこと覚えてないだろうけど。
だから俺は父さんに俺の事を見てもらうために、多少抵抗がありつつも謙虚でいた。けど、言いたいことは最低限言ってきた。
半年前、俺はテストで学年1位をとることができた。父はその時、初めて俺をべた褒めしてくれた。ご褒美に何か買ってやろうと言われた。口にこそ出さなかったものの、俺は前から流行っていたゲームを欲しがっていたのを父は気づいていた。なんやかんや俺の事気にかけてくれたんだって少し嬉しかった。
そのゲームを一緒に買いに行って、ついでにご飯も一緒に食べようという話になった。母さんは仕事でいなかったから、父さんと2人だったけど俺は別に良かった。父さんと話す機会などあまりなかったから。
俺たちは取り留めのない話をした。学校のこと、友達のこと。いつも寡黙な父さんとそんなバカ話をできるなんて夢にも思っていなかった。
そして、その日が無事終わると思ってたんだ。
帰り道、俺達は化身に襲われた…
まだプライド能力なんて知ってもいなかった俺は何が起きたか分からず混乱していた。
化身に襲われたが、俺は恐怖で立ちすくんでいた。
殺される!と思った瞬間。赤いものが飛んできた。
これは…血?
見ると肩から胸にかけて袈裟斬りになった父さんが!
「父さん!!」
俺は叫んだ。泣きながら、父さんの意識が少しずつ切れていく…。
化身は俺に狙いを定めた。その瞬間、俺の中から何かが込み上げた。激しい怒りと悲しみ…ではない。
電気…?これは、電気?
もうよく分からなかったからヤケクソで化身を殴る、蹴るを5分ほど繰り返した。そしていつの間にか化身は死んでいた。俺は返り血ですっかり血の匂いが染み付いていた。父さんのもとに駆け寄った。もう助からない程の出血量だ。
「ソウタ…お前は…俺…の、立派で、自慢の息子だ…。死ぬ前に…お前とグフッバカ話が…でき…て、嬉しかった…お前と酒が…飲めるまで…生きられなくて…ごめ…んな…」
「っ!!父さァァァん!」
父さんは最後まで俺の父親であってくれた。俺がワガママ言わなければ、父さんは生きていたかもしれない。そんな自責の念が、俺を押し潰した。
俺はこんな悲しみをもう無くしたい。自分の親とまともに会話もできないまま親が死んでく子供をもう見たくない。だから俺はプライド能力を身につけて、レプリカバスターになろうと思った。
その途中、出会ったのが赤池カイト。
話して見た感じ、自分に自信がなく、なよなよとした少年だった。
けどそれは、父親の理想の人物像と重なった。謙虚とはまた違うのだろうけど。この少年と友達になりたい。この少年を大切にしたい。
自然とその感情が湧いた。
けどそれでカイトが死んだら…なんて考えたけど。
違う。俺とカイトでこの世界を生き延びるんだ。