第2話 プライダー
やるしかない、失敗したら逃げよう。
幸い曲がり角の土地は広いから成功来ても大丈夫そう。構えは右手で拳を作り、左手で右手首をつかみ、エネルギーを注ぐ。正直注がれてる実感はない。
あとはプライド…
「フレイム!爆炎!」
スカッ
(ですよね…)
ドガァーンボボボーン
(!?!?)
「…え?」
成功した。しかも結構な威力だ…
「なんの音だ!?」
さっきの男が来た。
「…君、なぜプライド能力を?」
「えっと、さっきこれにおそわれて、それでダメ元でやったら…」
「君、もしかして、赤池カイト君か?」
「あれ、どこかで見たことあると思ったらナズさん!」
ナズさんは僕の兄の友達だった。両親が外国人だか育ちは日本なので日本語は話せる。
「元気だったか?」
「はい、まあ。」
(シュンは極血種だった、まさかこの子も?なぜプライド能力を今思い出して何故使えるんだ?)
「どうかしました?」
「い、いや。それより、レプリカバスターにならないか?」
「え?」
「今、人手が足りなくて困ってるんだ。君のようなセンスの高い子が必要だ。それにプライド能力を使えるようになるのは12歳からなんだよ。14~16歳が1番成長する時期なんだ。頼むよ。」
という訳で(やたらと軽く)
レプリカバスターの免許を取るために大きな客船に乗って人工島[銘力島]に向かった。
死と隣合わせの仕事なんだよ?とおじさんにしつこく言われたが、別に僕は死ぬのは怖くない。
どうやら極血種のという化身を引き寄せる血液が、地下深くに保存されており、化身はそれに反応してここに集まるらしい。
僕が住んでいたのは東京だか、何故化身がここに来たのかは分かってないらしい。
銘力島は日本の200km南にある島だ。だから年中春と夏のような季節が続く。雪なんて絶対振らないとナズさんが言っていたのを思い出した。船で約5時間かかる。暇だ。
ちなみに僕に家族はいない。10歳の頃、兄は行方不明になり、父と母は探しに行ったが、遺体で見つかった。どうやら化身によるものだった。
それからというもの、僕は親戚のおじさんの家で暮らした。別に虐待を受けてた訳じゃなかったけど、何となく居づらかったので、無理をしてでも出ていくことにしたのだ。
「やあ、1人?」
海を眺めていると中学生くらいの男子がいきなり話しかけてきた。
「え?あ、うん。」
「その制服、中学生かい?」
「うん。」
「何年生?」
「2年生です。」
「奇遇だね!俺も2年!俺、高本ソウタ。君は?」
「えっと、僕は赤池カイト。よろしく、高本君。」
「ソウタでいいよ!よろしくな赤池くん!」
「あ、じゃあ僕もカイでいいよ。」
「ありがとう!ところで、顔色悪いけど酔った?船旅初めて?」
「う、うん。」
「体力テストあるから、無理するなよ。」
これまでに経験した事の無い吐き気に耐え、なんとか銘力島に着いた。
レプリカバスターとしての命懸けの戦いが今、始まる
第3話へ続く