第1話 偽物
第1部 銘力島編
この世界は本物と偽物が入り交じった世界。
そんな中僕たち人間は本物であることを証明するために戦い続ける。
僕の名前は赤池カイト。
勉強も運動も普通より少しできるくらいのどこにでもいるような冴えない中学生(2年生)だ。
将来の夢も何も無い。友達もつくらなかった。作れなかったという方が正しいだろうか。生きている価値が分からない。
そんな人間だ。
そして僕は、命の危機を迎えている。
偽物から生まれた謎の怪物「化身」に、襲われている。
僕は死を拒み、必死に抵抗した!…という訳でもなく、ただ自分の人生をぼんやり振り返っていた。
酷くつまらなく、くだらない人生だったな…
頭に浮かぶのはそんなことばかりだ。心底呆れ返ったが、まあこれで終わりが来る…
そして目の前は赤くなり、僕は死んだ。
と思ったが、目を開くと目の前が赤く燃え盛っていた。
これはプライド能力だっけか?
僕たち人類が本物であるというプライド。それをエネルギーに変えて戦う、偽物に対する唯一の武器。
偽物を駆除するレプリカバスターはこれを使って戦う。
「大丈夫か!?」
20代位の男性が僕に近寄る。
「ええ、何とか…」
「良かった。ここら辺の敵はもうあらかた倒したが、君には危険だから早く逃げなさい。」
「は、はい…」
僕は踵を返して逃げた。生きててよかったというよりまたこのくだらない人生を続けるのか、という気持ちの方が大きかった。曲がり角を曲がると、何かにぶつかった。
「痛!あ、すいま」
(グルルルル…)
「せ、ん…」
化身のパンチは人間の首を容易に吹っ飛ばすパワーがある。
そんなパンチが僕の喉元の寸に来ていた。
ああ、終わった…
ーーー
おーい帰ったよ!
これは…走馬灯か?今のは兄の声だ。
「兄ちゃんお帰りーーー!」
僕だ。この頃は確か5,6歳の頃だ。
「ただいま、カイト!」
「兄ちゃん、プライド教えて!」
「おう!」
僕たち2人は庭に出た。
「プライドってのはなぁ、ぜってえに偽物に負けねえ。俺たちは本物だというプライドをエネルギーにして戦うんだ。見てろよ!…フレイム!(ボォッ)爆炎!!」
赤く淡い炎が燃え盛り、爆ぜた。
「お前もいつか立派なプライダーになるんだぞ。」
「うん!」
ーーー
「グッ!」
(!?)
間一髪避けた。まあ、ダメもとでこれを試すしかない。
僕は記憶の中で蘇らせた使えるかも分からないプライド能力を使うことにした。
第2話へ続く