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第4話 クリスタル

 「よいしょ!」


何かを倒すには頼りないかけ声で武器を振るう。

 現在は新しい防具と武器を試すのに、草原エリアで戦っている。

 明け方ということもあり人はいない。


 新しく作った武器”ハルバート”に火属性を付与できたのは驚いたが、新しい発見だ。

 自分で武器を使ってみた感じだが、確実に初心者装備より性能が高い。


 興奮していた熱も冷めてきて眠くなってきた。


 「もう朝だけど寝るか」


 おそらくあと2、3時間もすれば朝食の時間になってしまう。

 流石にログアウトすることにした。



◇◆◇◆◇◆


朝食の時間になり無理やり起きる。


「コウ! どうしたの? 夜起きてたの?」

「ふぁ~。なかなか眠れなくてね」

「元気が出るまで休んでいいからね」


優しい母にゲームしてたとは言えない。 


「畑手伝おうか?」

「ん? 大丈夫よ。コウは自分のやりたい仕事があるんでしょ?」


母は、俺がモノづくりを好きなことをわかってくれている理解者だ。


「いいじゃないか、何も本格的にやってもらう必要はないだろ? 気分転換になればいいさ」


玄関の方から父が入ってきた。

 性格は温厚で、白髪交じりの頭が余計に優しさを際立たせていた。


「そうかしらね? 気分転換になるならいいかしら」

「うん。ありがとう」


この両親をもって俺は幸せだ。

 安心できる実家があるだけでどれだけ救われただろうか。


 午前中だけ畑を手伝い、午後休みをもらう。

 お風呂に入り、ご飯を食べ準備ができたので早速ゲームにログインする。


「よし! 今日も素材集めるか!」


今日は新しい素材を求め、違うエリアへ向かう。

 同じ草原エリアではあるが、ここはエリアボスが現れる初心者には危険な場所だ。

 レベルもあがり、最初のエリアでは物足りなくなったので試しに来てみたのだ。


 「最初は雑魚狩りだな」


ここにはストーンタートルという亀がおり、そいつは初心者の攻撃は通らないので基本スルーだ。

 狙うは柔らかい防御のグリーンラビットや、グリーンリザードだ。

 昨日手に入れた武器を振るい、リザードに攻撃を仕掛ける。

 動きも早くない相手だったので一撃で仕留める。

 

 ここのモンスターはレベルが上がっているが、問題ないみたいだ。

 次に素早いラビットに攻撃を仕掛ける。

 一度攻撃を避けられてしまったが、突っ込んでくるところにカウンターを入れるとあっさり倒せた。


「なんか思ったより余裕だな」


ハルバートが優秀で全然苦労しない。

 ちなみにハルバートと初心者装備の比較はこうだ。


---初心者ナイフ---


物攻:20 魔攻:20


属性:ノーマル

スキル:なし


---火のハルバート--- 


物攻:150 魔攻50


属性:「火」

スキル:「爆炎」

------------------


明らかに強力である。


ちなみにレベルが上がってからのステータスはこうだ。


---ステータス---


名前:コウ

Lv:5/30

HP:100/100

SP:150/150


物攻:160 物防:35

魔攻:60 魔防:5

速度:5 器用:40



スキル: 『ハンマーブロウ』『アイテム作成』『武具作成』


パッシブ:『創作神の加護』『ハンドメイド』


-------------------


戦闘系のスキルは増えていないが、武具のおかげで強くなっている。

 レベルアップに伴うステータスポイントは、1レベルごとに5貰えるので全て器用に振った。

 モノを作るために必要となるステータスなので、全力で伸ばす所存だ。


 順調に狩りを続けていると、エリアの奥の方にたどりついた。

 そこには大きなクリスタルがあり、中に女の人が入っていた。


「これは大地の女神フレイヤと言われているそうだよ」


クリスタルをまじまじと眺めていると、声をかけられた。


「フレイヤ? 豊穣の神様でしたっけ?」


うろ覚えの知識で答える。

 すると、声をかけてきた人は笑いながら説明をしてくれた。


「この大地はフレイという神様が作ったといわれているんだ」


ゲームの設定だろうか?

そういった部分は興味がなかったので目に入らなかったのかもしれない。


「ある日、妹のフレイヤ様が誤ってこの世界に落ちてしまったんだ」

「神様が落ちる?」

「フレイヤ様は神界へ帰る方法が見つからず、だんだんと弱っていった」


「神界じゃないと神様は生きられないんですか?」


喋っている男の人は、こちらの疑問を無視して話を進める。


「生きながらえるために膨大なエネルギーであるクリスタルに自らを封印したのさ」


まるで見ていたかのような語り草だ。

 プレイヤーだろうが、相当世界観に浸かっているようだ。


「へえ」


俺はクリスタルに触れてみる。


「それってイベントですか?」


振り返りざまに聞いてみる。


「あれ?」


振り返った先に男の人はもういなかった。


「からかわれたかな?」


気になるので帰ったら調べようと思う。


「しかしこのクリスタル……いい素材だな」


俺には貴重な素材に見える。


「削れないかな……」


不敬にあたるかもしれないが試しにハルバートで削ってみる。


「ダメか! なら!」


通常攻撃では削れないとみるや、ハルバートのスキルを発動させる。

 普段のスキルよりSPを吸われるのがわかる。


「オラッ!」


スキル『爆炎』をクリスタルに叩き込む。

 炎を纏ったハルバートがぶつかると同時に、熱風とともに爆発が起こる。


「やったか!」


しかしクリスタルを見ると、1ミリも削れていなかった。


「どうする?」


今の火力はコイツが最大だ。

 正規のルートを調べるとしてもイベント系だった場合、そのイベントが行われているか怪しい。


「とにかく情報集めながら考えてみるか」


もしかしたらもっと上のエリアにいい素材があるかもしれない。

 俺はネットで情報を調べるべくログアウトをした。 

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