第19話 地元
2019年最後の投稿です!
皆様よいお年を!
「ふぅ」
採掘クエストのロックコボルトを倒し終え一息つく。
「コウさんお疲れ様です!」
「お疲れ! お、レア鉱石かな?」
ドロップの中に『光の石』というものがあった。
「本当ですね! ドロップ率はそこそこですけど、ロックコボルトしか落とさないんで集めにくいんですよ」
「そうなんだ。周回が必要になるね」
「そうですね。いっぱい周りましょうね!」
もちこさんと約束通り採掘クエストを沢山周ることになりそうだ。
拠点となる街へ強制送還される。
「それじゃもちこさん明日よろしくね」
「はい! ではおやすみなさい!」
明日はイベントストーリーを進めようという約束をした。
お互いのクエスト受注一覧を見ると『アルタイル王国編』というクエストが表示されていた。
これはきっとストーリー形式のイベントだろうということで二人で進めることにしたのだ。
もちこさんがログアウトした後に俺もログアウトをする。
寝る準備が終わった後にパソコンの前に座る。
「攻略サイトは……」
パソコンで攻略サイトを開きイベントについて調べようと思ってのことだ。
「城塞戦のことがデカデカと書かれているな」
人気記事やトピックなど城塞戦関連の記事が多く見られているようだ。
イベント一覧ページに飛んでみる。
「アルタイル王国編は」
曜日クエストやボス降臨クエストなどは載っているが『アルタイル王国編』というページはなかった。
「まだ見つかっていないのか」
まだ誰も見つけていないであろうクエストということになる。
もちろん情報を隠している人はいるだろうが、自分の力でそういったクエストを見つけられたというのは興奮する。
「行き詰ったりしたら情報提供しようかな。まあ他の人がやるだろうけど」
クエストについて情報がないと分かると、次は城塞戦のページを開いてみる。
「なになに?」
城塞戦は最大30人が所属するギルド同士で互いの城を攻めるという内容で、大方リンドウから説明を受けた内容と一緒だった。
「月に一回なのか」
色々なギルドが参加しているらしく、ランキング表が出来ていた。
「第一回序列1位『DORAGON DIVE』か」
ギルドなど一度も調べたことがないので凄いのかわからない。
リンドウの話によるとトッププレイヤーが見れるということなので、なんとなく凄いのだろうと思う程度だ。
「寝るか」
調べたい情報も見れたので寝ることにする。
☆
朝起きるとまず朝食を食べる。
両親の畑を手伝うのは今のところ自由となっているが、何もしないのも悪いので親が出る時間に自分も合わせて手伝う。
お昼時間に近所の人達で集まって弁当を持ち寄って食べるということになり参加させてもらう。
「あら! 耕作じゃない?」
恰幅のいいおばちゃんに声を掛けられる。
「あ、みさよさん! お久しぶりですね!」
子供のころから付き合いのある近所のおばちゃんだ。
歳のわりに若く見える。
「耕作君元気だったかい?」
「大輔さんも! 元気でしたよ」
みさよさんの旦那さんだ。
一通り帰省の挨拶を済ませ一息つく。
何年か帰っていなかったので久しぶりにみんなの顔を見れて元気が出た。
「あ! コウお兄ちゃん!」
「お! 久しぶりだな藍華!」
少し遅れて現れたのが9歳下の藍華という女の子だ。
「あれ? 大学はもう卒業したの?」
「ううん! 今4年生だから来年の3月で卒業だよ」
「そうか、時は早いものだな」
9歳も離れているので、歳の離れた妹として接してきた仲だ。
「コウお兄ちゃん聞いたよ? 仕事辞めて帰ってきたんだって?」
「ああ。上手くいかなくてな」
「そうなんだ。社会人は大変なんだね」
「藍華は就職決まってるの?」
「うん。東京の会社だよ!」
聞くところによると結構大手の会社のようだ。
「そうか。頑張れよ!」
「うんありがとう! でもコウお兄ちゃんに遊びに連れて行ってもらおうと思ってたのに残念」
「はは、時間があるときに遊びに行くよ」
「あ! 絶対だよ! 約束ね!」
可愛らしいショートボブの髪を揺らしながらこちらに顔を近づけてくる。
「あ、ああ約束な。ところで今は夏休みで帰省してるのか?」
確か藍華は関西の大学に行っていたはずだ。
「そう! 卒論も終わらしちゃった!」
「早いな!」
「えへへ」
どうやら藍華は大分優秀な人物のようだ。
このあとも地元の人達と会話を楽しみいいリフレッシュになった。
「やっぱ地元はいいな」
「どうだ? 元気になったか?」
「お父さん」
父親が話しかけてきた。
「辛かったり逃げたくなったらいつでも帰ってきていいんだからな」
「ありがとう」
口数の少ない父親から言われるとグッとくるものがあった。
「午後は休め、まだ畑仕事は慣れてないだろ」
「うん。ありがとう」
父親の優しさに触れられ、地元の優しさを感じ、心温まる時を過ごせた。
「なんかやっていけそうな気がしてきたな」
落ち込んでいた心も元気を取り戻しつつあるのを感じていた。
お昼時間が終わり解散となった。
俺も家へ戻りお風呂に入る。
「もちこさんに連絡入れておこう」
ゲームへログインする。
ログインできる時間が早まったので、時間が合い次第クエストを進めようとフレンド欄からメールを送る。
「よし!」
先に入ってしまったので、鉱石クエストを周回して返事を待つことにした。
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