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第18話 王女

「コウさん! 敵が湧きました!」

「わかった!」


海賊の船長であろう亡霊モンスターは、最初の俺の一撃を受けて結構HPが削れていた。

 それに伴ってかはわからないが、雑魚モンスターを呼び出して攻撃してくる。

 雑魚はもちこさんが片付けるがその間の支援がなくなってしまうので、被弾しないように防御に徹する。


攻撃力や防御力は装備で補えているが、速度に関しては初期状態のままだった。


「倒しました!」


少ししてもちこさんが雑魚を片付け終わる。

 再び支援を受けた俺は距離を詰めて攻撃を再開する。

 船長は腕に鉤づめらしきものをつけており、それで攻撃を仕掛けてくる。

 時折腰に下げている銃を使ってくるが、連続使用はできないようだ。


「コウさん! 敵HPが3割を切ります!」


もちこさんがHPの報告をしてくれる。

 つまりここから敵の強さが増すということだ。

 自分もちらりとHPと名前のバーを確認する。

 報告のとおり残り3割を切りそうだ。ついでに名前も初めて意識した。

 バルバロスというらしい。


攻撃を加えるとHPがついに3割を切りボスの動きが一時的に止まる。


「離脱!」


警戒して距離をとる。


「防御を中心にバフを掛けます!」


「お願い!」


もちこさんが万が一のために防御力を上げてくれる。

 代わりに速度アップ系が手薄になるが、一撃でやられないことを意識するとこうなる。

 バルバロスの動きが止まって数秒後、動き出した。


「え! ちょ!」


攻撃を開始したバルバロスは高速回転を始めた。

 ”初弾”が飛んできた瞬間避けることは不可能と判断し、もちこさんを後ろに隠し壁になる。


――全方位射撃


避けるすべのない必中攻撃だった。


「うおぉぉぉお!」


痛みは感じるが我慢できないほどではない。

 何故か声を出してしまうがこの攻撃を耐えられるかはまだ分からない。

 銃弾を浴びているが一発の威力は高くなく、徐々にHPが減っていくレベルだ。

 そんな中もちこさんが何かに気づいたのか問いかけてきた。


「コウさん動けますか?」

「動く?」

「はい! もしかしたら前使ったハンドグレネードを使えないかと思いまして」

「なるほど!」


俺はもちこさんの意図をくみ取ると、カバンの中からハンドグレネードを取り出す。


「いくよ!」

「はい!」


俺はバルバロスに向かってハンドグレネードを投げつける。

 銃弾に叩き落されるということもなく目標地点に到達した。


「ブフォ!」


バルバロスがノックバックをして攻撃を中断する。


「よし! 大丈夫そう」

「はい! いきましょう!」


俺たちは残りHPの少ないバルバロスに攻撃を仕掛ける。



「これは中断できないみたいだ!」


ハンドグレネードのノックバックで相手の攻撃を中断できるとわかってからはノックバックで中断できる攻撃がないか試していた。

 何でも中断できるわけではなく、ノックバックはしても攻撃が中断されないものがほとんどだった。


「でも勝てそうです!」


もちこさんも最後の削り


に入っている。


「全方位攻撃さえ防げばいける!」


全方位攻撃は避けることができないため耐えないといけないのだが、先ほどHPを3割ほど持っていかれた攻撃だ。

 それを中断できるのは大きい。


「爆炎!」


スキルクールタイムが終わったと同時に俺の最大火力である爆炎を叩き込む。


「やった!」


もちこさんの嬉しそうな声が上がる。


「勝ったね!」


バルバロスはその体を粒子に変えていった。

 消える姿を見送った後、上の方から声が聞こえた。


「ああ! ついに倒して下さったのですね勇者様!」

「ん? 勇者?」

「私達のことですかね?」

「かな!」


天井からぶら下がっていた檻が粒子となって消える。


「え!」

「きゃあ!」


俺ともちこさんの驚いた声が重なる。

 中に入っていた女の人はもちろん落ちてくる。


「わっ! とと」


その時反射的に手を出して女の人を抱きとめてしまう。


「あれ?」


強い衝撃を覚悟したが、手に伝わってきたのは羽毛のような軽さだった。


「ああ! 勇者様!」

「え!」


女の人は腕の中に収まると俺の首に手を回してきた。


「あ、あのう」


困惑しながら何故かもちこさんに視線を送る。

 もちこさんは顔をほんのり赤くしてこちらを見ないようにしていた。


「イベント……なのか?」


抱きかかえているお姫様風の女の人と目が合う。


「勇者様! 私はアルタイル王国第2王女のメリダと申します」

「アルタイル? メリダ?」


初めて聞くワードだった。


「先ほどの海賊に誘拐されてしまい閉じ込められていました」

「なるほど」


何かのイベントが発生したのだろう。

 こちらが何も聞かなくても色々説明してくれる。


説明を手短に話すとこうだ。


1、第一王女の姉に命を狙われている

2、第一王子の兄に政略結婚の道具として使われそう

3、神子という重大な天職を与えられたが今では形骸化してしまい軽んじられている

4、神子の身に神の使いである天使様を降ろさなければ世界が破滅する

5、もろもろ助けて欲しい


といった内容で、結構長いイベントになりそうだ。

 イベントを進めたいときは受注中のイベント一覧から選べばいつでもスタートできるし、専用イベントマップから出ればそこでセーブされて時間をおいてまた同じところから始められる。

 この長さのイベントはこのゲームのメインストーリーの可能性がある。

 なので、まずは採掘クエストを終わらせてからイベントを進めることにした。

体調を崩してしまいました。

無事復活です!

そしてお読みいただきありがとうございます!

評価やブクマで応援してくれると嬉しいです!

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