第17話 隠し部屋クエスト
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「どうなってますかー?」
「何もない空間が広がってるだけかな?」
洞窟探索中に見つけた隠し部屋を覗いていた。
壁の色が変色していた場所を押すと、その部分が引きあがり中に入れるようになったのだ。
「でもこんな部屋で何もないなんてありえますか?」
「十中八九なにかあるだろうね」
隠し部屋に、宝なり強力な敵なり何かないと逆に肩透かしである。
「入ってみる?」
「入ってみましょう!」
俺よりもちこさんの方が乗り気のようだ。
「そうだね。駄目だったらまた一緒にくればいいし」
「え! また一緒に来てくれるんですか!?」
「え、あ、うん。このクエストは定期的にやるんでしょ?」
もちこさんに迫られ少しドギマギしてしまう。
「はい! 都合が合うときでいいので一緒にやりましょう」
「うん。よろしくね」
もちこさんと定期的に採掘をすることになった。
「それじゃあ入るよ?」
「はい!」
恐る恐る隠し部屋に入る。
中に入って入り口付近に人がいなくなると壁が現れ塞がれてしまう。
「戻れ……なさそうだね」
一度出れるか確認してみるが無理なようだった。
「何かのクエストですかね?」
「かな?」
そう会話しているときにメッセージ表示される。
『隠し部屋クエスト! 海賊の亡霊を倒せ!』
「海賊の亡霊?」
特別クエストらしく、クリアするか失敗するまで出られなさそうだった。
「コウさん!」
もちこさんに呼ばれ視線の先を追ってみると。
「あれが亡霊? ゾンビに見えるな」
部屋の真ん中からジワジワとモンスターが湧いて出てきていた。
海賊の亡霊だと思われるモンスターはそれっぽい布を頭に巻いている。
「数が増えると大変だからさっさと叩こう!」
わざわざモンスターが湧きおえるのを待つ必要がない。
容赦なく倒し始める。
「防御力は低いみたいだからスピードを上げて倒そう」
「はい!」
もちこさんも攻撃に参加してもらう。
二人で必死に攻撃をするが、次々と湧いて出てくるので一向に数が減らない。
「コウさん! SPが切れます!」
「わかった! 回復する間は俺の後ろにいてくれ!」
もちこさんは攻撃するのにスキルを使わないと倒せないのでSPを多く消費してしまう。
「俺だけでもどうにか持ちそうだな」
湧いてくる亡霊はさほど強くなく、数だけが厄介だった。
回復したもちこさんが参戦しては離脱してを5回ほど繰り返した時だった。
「数が減ってる!」
「やった!」
体力的なキツさはなくとも精神的なキツさが出てきた頃合いだった。
最後の一体を倒してポップが終わる。
「ふぅ~」
「終わりましたね」
「お疲れ」
「はい! お疲れ様です!」
お互いに健闘を称え隠し部屋クエストクリアを祝う。
「あれ? コウさんクエストクリアのメッセージが来ませんね?」
「本当だ……」
おかしい。クエストをクリアすれば視界にメッセージが入るはずだ。
しかし静かになった空間にはなにも変化が起きていない。
「そういえば海賊の亡霊だよねこのクエスト?」
「はい。そうですが、それが何か?」
「”船長”っているのかな?」
「あ」
「少し進んでみようか」
ここまで倒した中に船長らしきモンスターはいなかった。
多すぎて見逃している可能性もあるが、一つの可能性として考えておく分にはいいだろう。
何もないと思っていた奥にいくと、暗がりのせいで見えていなかった扉を見つけた。
「ここだね」
「ここですね」
この部屋にボスなのか、とにかく何かがあるということだけはわかる。
俺が先に部屋へ入る。
中に入るとそこは絨毯や家具がある部屋の中だった。
「外と大分違うな」
「そうですね。ここはちゃんとした部屋という感じですね」
大広間の中心部分の天井から何かがぶら下がっている。
「コウさん! 奥のほう!」
大広間の奥に、明らかにおかしい渦が現れた。
「なんだ?」
それと同時に天井からぶら下がっている物の中にも同じような渦が現れる。
渦が治まるとそれぞれの場所に人影が見える。
「助けてください!」
天井からぶら下がっている”檻”の中から懇願する声が聞こえた。
「コウさんあの方……」
もちこさんが何か言いかけたとき、もう一つの人影がしゃべり出した。
「お前たちも奪いに来たのか!」
「もちこさん」
俺はもちこさんの手を引き後ろへ下がらせる。
「いいだろう! 奪いたければ奪って見せろ! その命を賭けてな!」
海賊の船長が着けるような帽子が特徴的だ。
いきなり凄い世界観に巻き込まれストーリーがわからないが、どうやら俺たちは檻の中の人を奪いに来た敵と認識されたようだ。
ちらりと檻の中を見る。
「どこかのお姫様か?」
やけに豪華なドレスに装飾品を着けている。
「あの人、このゲームを始める画面の時に写っている人だと思います」
「え? 主要キャラクターってこと?」
「恐らく何か重要な役割を担っているのかもしれません」
重要人物の絡むクエストなら期待値が高まる。
「それじゃあ負けられないな」
「はい!」
向こうはもう戦闘態勢に入っているようで、こちらが動けば戦闘が始まりそうだ。
「もちこさんいつも通りサポートをお願いしていいかな?」
「了解しました!」
二人でも連携を取れれば十分強い。
「いくよ!」
俺はそういうと飛び出した。
そのタイミングでもちこさんのバフスキルが俺にかかる。
移動速度が速くなる。
敵に到達する瞬間にスキルを発動させる。
「爆炎!」
赤い炎が大きく爆ぜた。
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