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第16話 洞窟ダンジョン

「ギルド?」


「そうだ。キャラ作り直す前に入ってたギルドにまた入ることになってな、それでお前たちも一緒に入れたらなと思ったんだ」


リンドウに呼ばれた”俺たち”。

 ダナさん、もちこ、俺をギルドに誘うために集めたようだ。


 しかし俺は――


「ごめん。しばらくはソロで頑張る予定なんだ」

「そうか、無理にとは言えないからな。答えは今すぐじゃなくてもいいぞ」

「私はもう少し考えたいかな」


ダナさんが答える。


「私も少し考えさせてください」

「わかった。じゃあこの話はここまでだな!」

「この話?」

「あと一つあってな。今度城塞戦があるのはわかるか?」

「城塞戦?」

「ああ。ギルド戦とも言われているんだが……」


リンドウの説明によると、ギルド同士でお互いの城を攻め落としあうギルド対抗戦なんだとか。

 それを一緒に見に行かないかというお誘いだ。


「どうだ? 上位プレイヤーが出てくるから自分のキャラを育てるうえで参考になるぞ?」

「それは興味あるな」


クリエイターの上位職を見れるなら悪くない。

 ただでさえ人口の少ない職なのだ。そのトッププレイヤーが見れるなら是非参考にしたい。


「見に行く!」


ダナさんも興味があるようだ。


「私も見学したいです!」

「よし! 全員だな」


日時を教えて貰い約束を交わす。


「それじゃあ次の日曜日に」


城塞戦は日曜日に行われるようだ。

 みんなと別れたあとに何をするか考える。

 せっかくログインしたので狩りの一つでもやりたい。


「コウさん!」

「もちこさん? 残ってたんだ」


帰ったと思ったもちこさんが話しかけてきた。

 わざわざ戻ってきたのだろうか。


「このあと、お時間ありますか?」


これはあれか、あると言って行きたくもない用を泣く泣く付き合わされるパターンだろ。

 俺はそれを分かっていてこう答える。


「あるよ。何か用事かな?」


もちこさんの顔が緊張から、明るい雰囲気に変わる。

 これはすでに了承をもらっているようなものだとわかっているのだろう。

 悲しいかな。これが日本人の性なのだろう。


「クエスト一緒に受けてもらえませんか?」

「クエスト?」

「はい! そんな難しいものではないんですけど……」

「ですけど?」

「その、採掘クエストなので是非コウさんのお力をお借りしたいんです!」


可愛いらしい女の子に頼られるのは悪い気はしないが、採掘クエストに俺の力が必要とはどういうことだろうか。


「ん? 俺その採掘クエストがわからないんだけど?」

「あ、すみません! 先に説明すべきでしたね!」

「うん。お願いできるかな?」

「はい! 採掘クエストというのは指定された鉱石を採掘してくるクエストです!」

「そうなんだ」


ここは予想の範疇である。


「そこで採掘に必要なアイテムがあるんですけど、そのアイテムがつるはしなんです」

「つるはし?」


そんなアイテムは持っていない。


「はい! 洞窟ダンジョンにはいるので大量につるはしを持っていくか、補修をしながら使うんですけど」

「なるほど、そこでクリエイターの俺がいればカバンを圧迫しないでクエストに向かえるってことかな?」

「はい! 結構レアな鉱石もとれるので荷物はできるだけ持たない方がお得なんですよ!」


俺がつるはしを補修しながらクエストを進めれば効率がいい。

 壊れたら作れるのもいい点だ。


「いいよ! いいクエストじゃないかな?」

「はい! 鉱石を集めるにはとってもいいクエストなんですよ! 上位職になってもこれだけは欠かせません!」


鉱石で属性付与や装備の強化をするのだろう。

 クリエイターの俺としては是非ともやりたいクエストというわけだ。


「わかった。準備するのはつるはしだけ?」

「はい! 本当はつるはし200本とか必要になるんですけどクリエイターなら念のため5本あればいいと思います」

「わかった」


直すので1本でいい気がするが、本当に念のためなのだろう。


「それじゃあ行こうか」


俺たちはクエスト受注をカウンターで終わらせ洞窟ダンジョンへ向かった。


「入ればクエストスタートだっけ?」

「はい!」


洞窟に入るとクエストスタートになって空間が固定されるらしい。

 他の人とバッティングすることはなく、別空間に分けられるシステムだ。

 洞窟に入ると一瞬空間が歪んだように感じるが、すぐに戻る。


「モンスターはそんなに強くないんだよね?」

「はい! ボスのロックコボルトが少し厄介なだけです」

「採掘がメインなだけはあるのか」


洞窟を進むと所々に光る鉱石があり、見つけるたびに掘り起こす。

 つるはしは結構簡単に壊れてしまう。200本用意する意味が分かる。

 しかもこの壊れた素材はカバンに残るため壊れる度に捨てるのも面倒だった。


「お、バイバットか」


大き目のコウモリ型モンスターが現れる。


「もちこさん!」


俺の合図に被せてもちこさんがデバフをバイバットにかける。


「グラビティ!」


グラビティは相手の移動速度低下に、小さい飛行モンスターを地面に縫い付ける効果がある。


「もちこさんいなかったら苦戦してたな」

「いえ、時間かかるならスルーでも問題ないですよ!」

「はは! そうだね」


経験値もうまみがないのでこのクエストでモンスターを倒すメリットはほとんどない。

 邪魔者を排除する意味合いしかもたないのだ。


「あれ? ここなんか変ですよ?」

「ん?」


もちこさんが指をさしたところの壁が変に黒ずんでいた。




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