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水と油  作者: 雨後晴
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第五章

「こいつは彼女一筋なんで、女遊びなんてしませんよ。」

兄がフォローをしてくれたがなかなか恥ずかしかった。

「そうだ、圭介。あのこと弟君に話しとけよ。」

「あーそうでしたね。最近この辺りで、騒がれてる御札事件あるだろ?」

「あの色んな場所に大量の御札が貼られて迷惑してるってやつだろ?ネットニュースにもなってたから見たよ。詳しくはまだ捜査中なんだって?」

「その犯人とお前を刺した犯人が同一人物の可能性が高い。」

「え?あの御札事件は御札を貼りまくってるだけで、今回みたいに命を狙った事件にはなってないだろ?」

「実はこっちの都合でメディアには言ってないが、一人だけ死人が出てるんだよ。その被害者は焼死体で見つかったんだよ・・・。」

「見つかったという表現は正しくないだろ。あれは酷かったな・・・。」

いつもはへらへらしている兄も、大きな体をした田中さんも渋い顔をしている。

「それどういうことだよ。」

「俺たちの警察本部の入口に置かれてたんだよ。御札でぐるぐる巻きにされた焼死体がな。しかも個人の特定が出来ないくらいボロボロで骨格から男ってことしかわからないんだよ。その時に使われてた御札とお前に刺さってたナイフの柄に巻かれてた札が同じものだったんだよ。」

「そうなんだ。」

「あぁ、今日はこの辺で終わろうか。田中さん俺、現場周辺で聞き込みしてきます。それじゃ、拓哉。ちゃんと寝とけよ!」

そう言って田中さんを置いて、一人で出て行った。出て行く際チラッとこっちを見て、頑張れよと言わんばかりのガッツポーズをしていた。

「ところで、弟君。彼女ってどんな子なの?」

またその話かと呆れながら、話さないとこの人は帰らないだろうと諦め事細かに話してった。個人的な事情聴取は一時間にも及び、田中さんは満足そうに帰っていった。今度兄に会った時に田中さんを連れて帰らなかった罪で一発殴ってやろうと心に誓った。


「なんか、無駄に疲れたな・・・」

やっと静寂を取り戻した病室で兄が説明していたことを反芻していた。

・色々な場所に御札を貼る悪戯。

・ナイフには御札が巻かれていた。

・ある男を焼き殺し、警察本部に死体を置く。

・その焼死体には御札が巻かれていた。

何か分かるかと思ったが何も思いつかない。病室でやることもない私は自分なりの推理をして時間を潰すしかなかった。それに兄の言っていたように私を狙った計画的犯行なら、なぜ私が狙われたのか気になっていた。


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