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84.謁見

 王城の謁見の間を、史郎達はゆっくり歩いていく。


 王の玉座には国王フェリックス・ヘインズワースが座っている。

 周りは、王妃ニーナ、第一王子ロバート、第一王女シャーロット、巫女姫で第三王女ミラーディアが立っていた。


 史郎は、玉座の前まで進み、そして歩みを止めた。


 史郎とミトカは、国王の前で跪かない。なぜなら、彼らは神の使者である使徒。この世界では、どんな国王よりも上位の立場なのだ。


 ソフィア以下、この国の者であるシェスティア、アリア、アルバート、シェリナ、アルティアは国王の前に跪いた。


 周りに参列している一部貴族から、史郎とミトカに対して、王の前だぞとの非難の声があがった。


「静まれ!」と国王が声を発した。国王らしく、威厳と張りのある声だ。謁見の間の隅々まで届くかという通る声をしている。


 ミラーディアが静かに史郎まで近づき、腕輪を持ってきた。


「これは、王家に伝わる神器、女神様の巫女の腕輪です。使徒様の腕輪と反応して輝くと伝わっています」

 ミラーディアが、謁見の間全体に響き渡る澄んだ声で言った。


 そして、史郎に近づき、腕輪に接触する。


 すると、巫女の腕輪は淡く赤く光った。

 そして、史郎の腕輪は白い不思議な光が輝きはじめ、謁見の間を徐々に満たす。

 光り輝くが眩しくはない、不思議な光だ。


「おー」と、どよめきが起こった。


 皆はその様子と光に、神に対する畏怖と同じ感情がわき起こり、自然と皆がシロウに対して跪いた。


 光が収まった後、フェリックス国王が宣言する。


「ここにおられるシロウ・カミカワ殿を、女神フィルミア様の使徒と認める。これは、王家、神殿、冒険者ギルド、魔術師ギルドの総意である!」


「ははー」と全員が返事した。




 史郎は、終始無言で、できるだけ平静を装い、ほほ笑みを浮かべて毅然とふるまっていた。ミトカは史郎の隣で平然とすました顔をしていた。


(こんな茶番、本当にしないといけないのか?)と史郎はミトカに念話した。


『史郎、この世界では、女神フィルミア様が絶対です。宗教的にも、現実にも、この世界では神は実在するのです。その使徒である史郎は、それに匹敵する人物と見なされるのです。なので、威厳を保って堂々としていてください。それに史郎のその立場を世界に知らしめることは、今後の調査の助けになりますよ』と、ミトカは淡々と史郎を諭した。


(……まあ、そうかもしれないけど。なんか恥ずかしい……)と史郎は慣れないことに、落ち着かないのであった。



 とにかく、史郎は、こうして、ヘインズワース王国、神殿ネットワーク、冒険者ギルド、そして、魔術師ギルドの四大勢力の全面バックアップを得て、世界の調査と問題対応に当たることになったのである。


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