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83.王都散策

 史郎は、歩きながら街の様子を見た。どう考えても、街の様子が中世とは思えない。

 売られている商品や建物、道具や装飾や服装などをよく見れば見るほど、文明的な感じは、なんとなく、地球での18世紀から19世紀にかけての文明レベルのミックスだと史郎には感じられた。


 ただ、建築や街の様子は、ゴシック系の名残が強く残っており、なので、街の見た目は12~13世紀前後に感じられるのだな、と史郎は推測する。


 全体のイメージ的には、1900年前後の雰囲気。建物はゴシック仕様。よくあるファンタジー物の服装や、なぜか、本来のゴシックではない。軽いゴシックファッションやスチームパンクが混ざり――おそらく冒険者や魔術師のせいだろう――そして、蒸気や電気がすべて魔術に置き換わるといった感じだろうか。


 ソトハイムは少しここより古くドイツ風街並みだったが、王都はより新しくきれいでフランス風だ。


 おそらく魔術のおかげで、一部の産業が近代化しているのだな、と史郎は考えた。


 そして、古い建物が数多く残っているのを見ながら、世界が基本的に平和な分、古き良きものは残り、魔術があるので、ある程度発展も早く、新しい物が現れ、両者がうまく共存しているだろうか、と史郎は思案した。



 史郎、ミトカ、シェスティア、アリア、アルバートの五人は、王都を散策することにした。


 この世界の料理のレベルは意外と高い。やはり、一部の文明レベルが19世紀並みだからである。 史郎はひそかに料理チートで……などと思っていたのだが、まったくその必要はなかった。


 王都では、なぜか料理は地球でいうイタリアン系に似たものが流行っている。パスタとサラダ、ワインがおいしい。湖の畔で、湖でとれる魚を活用した料理が多く、うまく料理されていて、味付けも多様。史郎は大満足だ。




「この魚料理はうまいな」と史郎がにこにこしながら食べていると、

「史郎は魚が好き?」とシェスティアが聞いてきた。

「え? ああ、好きだな。俺が住んでた国では魚が、まあ、海の魚だが、良く食べられていてな」と史郎が説明する。

「じゃあ、いつかナガテへ行こう!」とシェスティアが目を輝かせて言う。

「ナガテ?」

「ふふ。シェスティアは食いしん坊だからね」とアリア。そして、

「ナガテは商業都市国家連合フェリオリンズにある海に面している港町ね。新鮮な海の幸がおいしいのよ」とアリアが説明する。

「ああ、俺もそれには同意だな。あそこの海の幸料理はうまい」と珍しくアルバートが熱く語った。

「それはいいな。ぜひ行きたい!」と史郎も答えた。



「おい、あれは味噌と醤油じゃないか⁉」

 史郎は町中を歩いている途中、ある店の前で叫んだ。

「シロウ、味噌と醤油が好き?」

 とシェスティアが無邪気な顔で聞いてくる。

「いや、まあ、俺の国ではあれが標準調味料だったからな。この国に来て以来見てないから、ないのかと思ってたよ」と史郎は答える。

「あれは獣人国で作られている。俺も好きだな」と、アルバートが答える。

「そうなのか? しかも、ここは、……蕎麦屋? なんでこんなところに……」と史郎は半分茫然として、「よし、食べるぞ!」と店の中に入っていった。


「わたしも」「俺も」とシェスティアとアルバート。


 ミトカはほほ笑みを浮かべながら、相変わらず黙ってついていった。


「あなたたち、どれだけ食べるのよ……。わたしは食べないわよ」とアリアは仕方なく店に入っていくのであった。




「あー、うまいな。これはいい。もう、俺、王都に住もうかな?」と史郎は言う。

「それいい」とシェスティア。

「だな」とアルバート。

「アル、あなたそんなに食いしん坊だったっけ?」とアリアが聞く。

「兄様は食いしん坊。私知ってる」とシェスティア。

「……いや、まあ、もともと食べるのは好きだな。シロウにつられてだんだんとタガが外れているような気がしなくもないな……」とアルバートはつぶやいた。



 史郎達は、食べながら、味噌や醤油について話す。どうやって作られているのか。発酵って何か、というような、他愛もない話だったのだが、史郎はふと気づく。


(シェリナの時は、俺が超精密魔力感知と超精密魔力層さでウイルス除去したけど、微生物レベルのエンティティがターゲットとして、ホーミングタイプの魔術発動を、精霊魔術で実行できないのか? 大量の精霊に頼めば、もしかしてもっと早く手軽にできるんじゃないか? シェリナの時の方法は時間と魔力を使いすぎるからな)

 と史郎が考えて、ミトカに念話する。

『史郎、確かにそうですね。その方が効率は高いです。精霊魔術の外部モジュールの件もありますし、もう一度それを応用できないか考えてみます』とミトカが答えた。



 その後、史郎達は、パン&ケーキ屋を見つけ、お腹いっぱいと言いながらも、店に入ってデザートを堪能し、アリアはあきれながらも史郎以上に食べるのであった。



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