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122.セントリア連邦提言

「ソフィア殿から話は聞いた。願ってもないことだ」

 ヘインズワース国王のフェリックスは史郎を見つめ、力強くうなずいた。


「ヘインズワース王国、神聖国、そして、魔術学園王国は、昔から良好な関係が続いている国でな、前々から同盟の話は上がっていたのだが、なまじ同盟を結ばなくともうまくいっているので、話が進まず、そのままになっていたのだ。そんな中で、ほかの周辺国との関係強化の模索もあって、連邦構想は話し合われたことが何度かあったのだが、実際に事を起こすとなるにあたっての決定的な動機に乏しくてな。なので、シロウ殿の提案は渡りに船なのだ」


「そうですか。いいタイミングだったということですね。では、使節団を作って魔導船で国々を巡回するということでいいですか?」と史郎。


「ああ。こちらからも、あらためて頼む。ヘインズワース王国からは、ミラーディアが全権委任ということで構わない」とフェリックス。


「わかりました。では、政治的なことは、フェリックス国王と、ソフィアさん、エミリアとミラーディアで話を詰めてください。あなた方に任せます。俺の方は、スタンピードとウイルス関係の説明と報告、連邦に加盟した場合の魔導船航路の受け入れの要請、例の通信機連絡網の提案、そして、白竜ドラゴンの目撃情報の調査と要請に関して担当するということでいいでしょうか?」


「ああ、それでいい」とフェリックス。

「わかった」とソフィア。

 エミリアとミラーディアもうれしそうだ。


「それで、シロウ殿。わしにも魔導船を見せてほしいんだが?」と話が終わったとたん、フェリックスが史郎に話しかけてきた。


「ああ、もちろんです。一度、試乗会をしましょう! 何回かに分けて、希望者を載せて飛んでみましょうか?」と史郎は提案し、(きゅう)(きょ)試乗会が開催されることになった。



     ◇



「出航」と史郎が号令をかけて、船を岸から離す。そして、今回はただちに浮上させた。


「おー! これはすごい!」とフェリックスは大喜びだ。王妃や第一王子のロバート、そして、宰相のパトリックや、冒険者ギルドのギルドマスターのルイスや、魔術師ギルドのギルドマスターのジェフリーも乗っている。全員が初めての飛行船に興奮気味だ。


「これは素晴らしい。揺れもまったくないのか? しかも、なんて滑らかに動いて、なんて速いんだ!」とルイス。


「これだけの魔導具を作れるとは、さすがにオールAの錬金術師。いや、これはランクSを創設すべきか?」とジェフリー。


 その後、何度か試乗会をしたので、王都の人たちも、湖から浮上して飛んでいく魔導船にも見慣れ、やがて、その噂は隣国に広がっていくのであった。



     ◇



 その後、書簡のやり取りによる事前調整で、交渉を受け入れるという返事は各国から得られたので、使節団による直接交渉の旅が決まった。


 構想の決起の意味で、フィルミアン神聖国の聖都ファーアイルにて会議が開かれた。

 会議後、ヘインズワース王国、神聖国、魔術学園王国の三国共同声明による「セントリア連邦構想」の発表がなされた。


 ちなみに、国王と学園長のファーアイルへの旅は、史郎がシルフィードI号で迎えに行ったので、開催までの時間が大幅に短縮された。


 その時に、教皇も試乗し、その史郎の魔術の偉大さに、ますます信仰を深めることになった。そして、学園長は魔導船の快適さと速さに驚くとともに、この技術は世界を変えると確信するのであった。



 発表には、連邦へ加盟を促す使節団が各国を回ること、そして、そのメンバーに使徒である史郎が含まれていることが明記された。各国は、使徒である史郎との会見と、魔導船を見るのを楽しみに待つことになったのである。



     ◇



「どうせなら、皆で行こう!」と史郎が提案した。

 話し合いの結果、使節団のメンバーは、


 ― 使節団代表:ソフィア

 ― 引率・交渉役:シェリナ、アルティア、ユイナ

 ― 使徒組:史郎、ミトカ、シェスティア、アリア、アルバート

 ― 勇者組:琴音、美鈴、真琴、正明、アイーダ

 ― 王国組:ミラーディア、アレクセイ、アラン、ナディア

 ― 神聖国組:エミリア、アンナ、バートランド

 ― 護衛組:スティーブンと騎士団10名(王国と神聖国からそれぞれ5名)

 ― ドラゴン:アドラ


 総勢、31名+一体だ。




「シロウ、シルフィードI号じゃ小さい」とシェスティアが言った。


「確かにな。これだけの人数じゃ、無理だな。個別の部屋も食堂もいるだろうし、荷物も多いから、もっと大きいのを作ろうか……」と史郎は思案するのであった。


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