表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

105/145

104.神殿4―2

「ところで、この世界に勇者伝説の話が残っているんですが、もしかして、実は昔に勇者召喚とかあったんですか?」と史郎が聞いた。


「いえ、ないわよ」とフィルミアは即答した。


 すると、イサナミアが話し出す。

「勇者伝説の物語は、昔に私が配布したものよ。地球の某文化にインスパイアされたもので、事実とはまったく関係がないから。昔むかし、まだこの世界が大変だったころに、夢を持たせるために配布したものなの。いつか勇者が現れ世界を救うとか、勇者と聖女の恋物語とか、夢があっていいでしょ? テンプレだし」と。


「ちょっと待ってください、イサナミア様? なんでそんな言葉を知ってるんですか?」


「わたしは、地球の管理神よ! 少しくらい日本の、特定の文化に詳しくてもおかしくはないでしょ?」


 はぁ、エミリアには聞かせられないな、と思う史郎であった。



「史郎、琴音ちゃんと仲良くね。それから、ミトカさん、ティアちゃん、琴音ちゃん、三人とも仲良くね。あなたたちが世界を救う鍵よ! あ、そういえば……」


 と、言うと、フィルミアは三人を端に呼んで、何やら説明しだした。史郎には聞こえない。


 しばらくすると、琴音は少し顔を赤くしている。シェスティアは何だかやる気満々の顔だ。ミトカは相変わらず涼しい顔をして、ほほ笑んでいる。


「……何の話をして……」と史郎が聞こうとすると、


「先輩! ひ・み・つ、です!」と琴音が顔を真っ赤にして叫び、史郎は、わかったから、聞かないからと、引き下がるのであった。




「あ、フィルミア様、最後にもう一つ」と、史郎が思い出して、急いで聞いた。

「サティアス神という神がいるんですか?」

「え⁉ あなた、どうしてその名前を⁉」と、フィルミアは驚いた。

「え? ああ、王都でのスタンピード事件の時に、王都の結界を破壊した集団がいるんですけど、彼らがサティアス神を信仰しているということが分かったんです」

 と、史郎は説明した。そして、


「それで、彼らは邪神教と呼ばれていて、そんなのが本当にあるのかと思ったんですが……」



「……邪神教……? ええ、サティアス神というのは実在するわ。なぜ、彼の名がその集団と関連づいているのかはわからないわね。彼は第一世代のシステムの権威よ。私たちの第四世代のシステムとは対立しているグループのトップね。フィルディアーナの第四世代についていろいろ聞いてきてたみたいだけど、もしかして……。そういえば、微生物の事も……」とフィルミアは考え込む。


「では、そのサティアス神が、今回の騒動の後ろにいる可能性は?」と史郎は単刀直入に聞いた。


「……そうね、今のその話だけでは分からないわね。状況証拠だけで言うと、何だか怪しい気もしない訳じゃないけど……」


「そのサティアス神というのは、どんな神なんですか?」と史郎は聞いた。


「そうね、さっきも言ったけど、第一世代の第一人者ね。DNAベースの生物の事ならなんでもできるわ。それこそ、DNAシステムの生命の設計もね」


「……DNAシステムで生命の設計ですか? それは興味ありますが……。じゃあ、もしかして、新しいウイルスを作り出すということも?」


「ええ、恐らく可能ね。もっとも、安易な作成は禁じられているけどね。神界でも承認が必要よ。私が知る限り、そのような申請を出したとは聞いてないわ。私も一応審査を承認する立場だけど」


「たしか、イサナミア神もDNAベースの専門家だと言ってましたよね?」


「ええ、そうよ。私は昔サティアス師匠のもとで働いてたの」とイサナミアが答えた。


「ということは、イサナミア様は、両方の世代のシステムに詳しいと……。なるほど。とりあえずは、わかりました。ありがとうございます」と史郎は感謝した。


「私の方でもサティアスの事は調べておくわね」

 と、フィルミアは答えるのであった。


面白いと思ったら、評価・ブックマーク登録・感想などいただけると励みになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ