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ゲーム開幕



 結局状況の把握は一日がかりになった。


 だけど分かったことと言えば、学校の敷地内に囲まれた壁があるが出入口はないこと、教室一つが丸ごと改造されていたこと、食料が増えていたこと、それぐらいだった。


 だが成果はあった。


 まずはみんな落ちついてきて、冗談なんかも言えるようになってきたことだ。こういった時にはパニックがまず怖い、これだけでも成果と言える。


 腹が減って、女性陣頑張ってくれて、男子陣が全員がそれに舌鼓を打ち、風呂に入る。多少を無理をしてでも普通として振舞うことは、俺達の何かを保つうえで非常に大きな役割を果たしてくれた。


 そして俺達は教室に戻って、改めて現状の認識をする。


 変化はあったし、異常が見つかった、ということはあったものの確認のしようがないから結局保留、だが確実に一つだけ分かったことがあった。



「ここは母校じゃない、母校に似た建物、そして俺達が元いた場所とは別の場所だということと……」



「とんでもないことに巻き込まれたってことだ」



 しんと静まり返る。


 自分たちがいる建物は母校に非常に似ている建物だ。もちろん内陸県ではありえない磯の香りがしている時点で、海が近いことは察することができるが、何より「これ見よがし」な下駄箱の件が物語る。全員の靴を仕舞った場所が違うってのは当然にワザとだ。


 つまり俺達は寝ている間に学校に似ているが全然別の場所に連れ去られたってことだ。


 それが事実として分かったけど、当然に一番の問題が解決していない。


「問題なのは、俺達は一体、何に巻き込まれたのかが全く分からないことだよな」


 谷森の言葉に全員が頷く、そう、それだけじゃなくて、分からないことは色々あるがそれに対しての明確な答えが存在しないことだ。


(まあ、明確な答えについてはおそらく……)


 と考えたところでザワが切り出す。


「なあ、やっぱりさ、これからどうするか対策を練ることが大事だと思うんだよ」


「ここか何処かは分からないけど、まずは壁を越えて、いや超えなくても、ここがどういった場所なのか確認する。食料はたんまりあるんだから、出来ればここから脱出する方法を探るのが」


 とが言いかけた時だった。



「「「「「「「「「~♪~~♬~♫~~~♫」」」」」」」」」



と一斉にスマホから妙にファンシーな曲が流れて、全員びっくりする。


『あーあー、もしもーし、みなさんこんにちはー、スマホを開いてくださーい』


という明るい声が聞こえてきて、全員がお互いを確認しながら恐る恐る開くと。


 そこには頭髪は茶髪長髪にタンポポの髪飾り、体のラインはちゃんと出る派手だか地味だか分からない茶色をベースにした上衣とスカート、そしてオッドアイ、顔は間違いない、さっきまでベッドで寝ていたのと同一人物の女の子が立っていた。


『さて、一通りの探索は済んだみたいですね、その探索中で扉が金属製の改築された元空き教室がありましたよね? 鍵は開けましたのでそこに集合してください』


「お、おまえは?」


『あー、ちゃんと説明しますから、質問は今は抜きにしてください、途中で色々と話されると段取り悪いですし、その時間はあとでいくらでもありますので~』


 と女の子はニコニコしている。


 つまりこれ以上何かを答えるつもりはないようだが、じゃあさりとて空き教室に向かおうという空気にもならず全員が固まる中。


「い、行くしかないのだろうな」


 谷森がそう呟いて、少し考えて、それしかないと思い俺達は空き教室へ向かったのだった。



 空き教室、ビクともしなかった扉を開いた先、そこには天井に蛍光灯とデカいモニターだけが設置されていたシンプルな構造になっていた。


 その大画面の中央で、先ほどの茶髪のロングのオッドアイの女の子が俺たちを待っていた。


(ん?)


 スマホ画面では気付かなかったが、彼女も首輪も俺達と同じものをつけていた。


 俺達全員が入り、最後に入った国井が扉が閉めたことを確認すると女の子は満足そうに微笑むとミニスカートの端を掴んでトンとかかとを鳴らす。


『まずは自己紹介から、私はピカトリクスと申します。このゲームの司会進行役ですね。えっと、本当ならイケメン男子でもよかったんですけど、そうなっちゃうと男子の不興を買っちゃうので、ごめんなさい♪』


 と舌をペロッと出しながら謝るピカトリクスだったが、無反応の俺たちを見ると少しばつが悪そうに頭をかく。


『って、あらら、滑っちゃいましたか、さてとなれば始めちゃいますか、先ほど申し上げたとおり、状況説明から始まるわけですが、まずは質問を挟まず、私の説明を最後まで聞いてください、よろしいですね?』


 俺たちの顔を見渡す。もちろんよろしくはないが、まずは状況確認が先決とばかりに黙っている俺たちを見てピカトリクスはコホンと咳ばらいをすると続ける。


『冷静になっているようでなによりです、そうしないと始まりませんからね。えーっとここは皆さんがお察しのとおりかつて過ごしていた母校から離れた場所にあります。まあ磯の香りがしますから海の近くであることは分かると思いますが、もちろん皆さんをこういう形で連れてきたのは当然に理由があります』



『その理由はただ一つ、皆さんには今からあるゲームに参加してもらうからです』



 再びここで言葉を切って俺達を見て、反応を伺うピカトリクス。


『まあ突然ゲームをしろと言われても、浮ついてそれどころじゃないのは理解していますから、ゲームについての説明会は明日の朝午前10時、場所はここで行います』


『ただ参加は任意です、出席してもしなくても結構です。皆さんが集まっても集まらなくても始めます。その代わり聞いていない知らないは自己責任でどうぞ、それまでの時間は、そうですね、後は折角の同窓会なので昔話で盛り上がってくださいな』


『ただ、それでもここでの生活を営む上で知って欲しいことがいくつかあって集まってもらいました』


 ここでピカトリクスは首輪を指さす。


『今の私に付けられているとの同じものが皆さんについていると思います。まあこれがどういう物かについては見当はついているようですが……』



『わずか1秒足らずで直径1センチまで締まる造りとなっています。苦しまず即死できるように「配慮」したのですが、動物実験しかしたことが無いので、保証はできませんけどね』



 と笑顔で伝えるピカトリクスに


「おい!」


 という剣呑な雰囲気をまといながら前に出る菅沼を、変わらない笑顔で挑発するピカトリクス。


「スガ!」


「……ちっ」


 舌打ちをしたものの何とか納得してくれた様子、そんな俺とスガの様子を見てクスクス笑うピカトリクスが忌々しいが、ここで怒ってもしょうがない。


『さて、その首輪の発動条件は二つです。まずは外壁を乗り越えること。高さ10メートルの壁に囲まれてはいますが、椅子も机もあるので協力すれば乗り越えられないことはありません、ありませんが、首輪は締まります。この場合壁を乗り越えるために協力した人物ではなく、実際に乗り越えた人物です』


『次に2つ目、無理矢理外そうとした場合です。まあ人の首を文字どおり締め落とすレベルの力を持っているのでチェーンソーを使っても切れない強度を持っていますけど。一定以上の力を入れると警告音が鳴り、無視し続けていると締めます、これもまた仮に2人が協力して外そうした場合は、外そうとした2人全員ではなく、首輪の持ち主ですね、まあ……』


 ここで区切ると。


『信じる信じないは勝手にしてください、まあ、実際にやって死んだ方が、こちらの本気が分かると思いますけどね』


 歪に笑うピカトリクスのぞっとするような表情と声に空気が凍る。


『とはいえ、これは保険の様なものです。万が一知らないでやってしまった時に、死んでしまっては興ざめですからね』


『さて、次は活動時間についてです。午後11時から午前8時までは強制的に眠ってもらいます。その首輪から強力な催眠剤を注入するので意識はぶつッと途切れると思いますので、ベッドにちゃんと寝ていてくださいね。その他の場合は翌日その場で起きることになりますが、寝違えたりしても責任は取りませんのであしからず』


『次に衣食住の中で大事な食、これについては皆さんご存知のとおり、家庭科室に十分な食料を用意しています。ちなみに全て高級品ばかりです。もちろん料理が面倒な場合はレトルトやインスタント食品も用意していますから活動時間中にお好きなだけどうぞ』


『そして衣食住の住についてですが、皆さんの教室を引き続き使用していただいても構いませんが、この校舎の地下に個室を用意しました。ドアにそれぞれ出席番号が振ってありますので、その鍵代わりになるのがこのスマホです』


 ピカトリクスは画面上で、自分のデフォルメ画像が印字されたケースに入ったスマホを取り出す。


『さて続いてこのスマホなのですが、通話機能はありません。故に「スマートフォン」とは名前は相応しくないですが、これは便宜上の名前だと思ってください。さて、このスマホについてですが、皆さんが持っていた物とは違うものですが、中身は全て移してあります。この説明が終わった後は画面が元に戻りますので、他は汎用で備わっているスマホと一緒ですから、お好きに使ってください。ですが先ほど申しあげた通り外部との連絡手段としては使えません、クローズドサークルの基本ですね』


『最後に私への会話についてですが、スマホだとどうしても情報伝達量が確保することが出来ないため、ここにて伺います。雑談にも応じますよ~、特段予約とかの手続きは一切不要、活動時間中ならばいつでもいいですよ、今日はもう休ませてもらいますけどね』


『以上が説明となります。さて、それでは、みなさん、ゲーム終了までよろしくお願いします、それではまた明日説明会にて、ごきげんよう』


 と一方的に説明を終えると、そのままベッドにもぐりこみ、すやすやと寝息を立てた。


「…………」


 全員が不自然なまでに黙っている、いや、呆けていると言った方が正しいか、まだ理解が追いついていない状況だろう。


(何らかのゲームを始めると言っていたが……)


 俺はスマホを開けると画面を出すと、少しいじってみる。


「みんな見てみろよ、これ、本当に元のデータが入っている」


 俺の言葉を受けて全員がスマホを操作を始める。画像や写真データやグループメッセージのデータもちゃんと残っている。


 ただ接続手段が無いから、新しくメッセージを送ることができないけど。写真撮影や動画撮影は可能である。


「しかし通信機能がないスマホってこんなに何もできないのかよ」


 ザワはそう愚痴る、確かにそれ単体で動くゲームアプリなんかは動くが。


「…………」


 そんな皆色々考えていると大城が発言する。


「あ、あのさ、み、みんなはどう思う? 今のこの状況、例えば、大掛かりなドッキリとか、そんなバラエティ番組の企画とか、はは」


 そんな何処か現実感のない様子での言葉に説得力もないけども、否定する材料もないから、考えるだけで何も言えない。そんな大城の言葉を受けて国井が発言する。


「だけどさ、確かめるって言っても、ここから出ると首輪が締まって、し、死ぬんでしょ。それが嘘かホントか確かめる方法とかは……」


 言葉にしんと静まり返る。


 何を考えていいのかわからない、そんな沈黙。


「…………」


 首輪か、俺は首輪に触れると。


「ナオ?」


 というザワの言葉を無視してグイっと思いっきり引っ張ると、ピカトリクスの言うとおりピピピと警告音が鳴る。


「何してんだよ!」


 ザワが俺の手を取り上げるとすぐに音が鳴りやんだ。


「気合注入」


「は!?」


「いや、国井の言うとおり、この首輪が偽物かどうかなんて、試してみるしか方法はない。んで失敗した時のリスクが死だなんて、あまりに高すぎるし割が合わない、つまりピカトリクスの言うことを聞くしかない、その現実を知るための気合注入」


 俺の言葉に全員がポカーンとしている。


「そうだった、思い出した、お前は時々突然変なことするんだったな」


 谷森が思い出したように言う。


「うん、度胸があるんだか馬鹿なんだか分からない時があったなぁ」


 とは塚本に他の女子陣も同調する。


「なんだよそれ、そうだったっけ?」


 うんうんと全員が頷く、そ、そうなのか、良いのか悪いのか。


「んで、その度胸があって馬鹿なナオはどうするつもりなんだよ?」


 とザワの言葉にムムムと黙るけど、何をするか。


「昔話で盛り上がればいいんじゃないか、ピカトリクスも言っていただろ、んでついでに明日の作戦会議しようぜ」


 あっさりと言ってのけた俺に。


「やっぱりナオは度胸があるんだかバカなんだか分からないよね」


と今度は塚本が女性陣を代表したのだった。





 ピカトリクスに一方的に呼び出されて一方的に説明されて、意気消沈……はしているけど、それでも前向きに行こうという考えにはなった。


「さて、やっぱり今一番話し合わなければいけないのは、明日の説明会のことだと思う」


 ここでの司会進行役はやはり大城学級委員長だ。


「とにかく、なんでもいいの、何かない?」


 大城は、全員を見渡すとが谷森が話し始める。


「俺はこう考える」


 と切り出す。


「まず、明日の説明会とやらの参加が任意ってのがポイントだと思う、わざわざ任意とか言っている時点で、例えば説明に参加しない間に何かが起こるとか、そういう意味だと思う」


 谷森の言葉を受けて黒瀬が発言する。


「ちょっと待った、強制睡眠時間を設けるというのは、その間に俺達が寝ている隙に何かをしているってことだろ、何かを起こるのなら、その時間にすればいいんじゃないか?」


「だが、ならあえて言う必要はないんじゃないかと思うが」


 こう谷森が返して、黒瀬がなるほどと頷く中、ザワも参戦する。


「でも説明会に参加しないわけにはいかないだろ、ここは、2班に分かれてってのはどうだ?」


 とあーでもないこーでもないと男子たちで盛り上がる。


 一方でそんな男子陣を冷ややかな目で見るのは女子陣だ。


「あのさ、男子達ちょっと楽しんでいるよね」


 呆れたように言うのは塚本に国井も同調する。


「大変な状況なのにね、水着泥棒の時も凄い楽しそうだったし、状況分かってんのかな」


「男はホントに変わんないよね、はー、高校生のお兄さんって、中学の時は本当に大人に見えたんだけどなぁ」


 とは大城の弁であったが、その中で。


「なあ、ナオ、お前はどう思うんだ?」


 俺と同じ傍観者側だった江月が聞いてきて、自然と俺に注目が集まる。


「お! そうだな! 下着泥棒事件の再来!」


 ザワがそれに乗ってくる。


「い、いや、そんなにアテにされても……」


「それでも、なんか思いついたって顔をしてたぜ!」


「お、思いつくというか、これ見よがしな感じが気になるなとか考えていた」


「これみよがし?」


 オウム返しにザワが聞き返してくる。


「ピカトリクスは俺達が神代中学校の卒業生であることをちゃんと認識した上で巻き込んでいるってことだよ」


「?」


「言ってただろ「折角の同窓会なんですから」ってさ、これは俺達がここに来ている目的もちゃんとわかってますよってアピール、つまり明確に「俺達を」ターゲットしているってことなんだよ」


「は、はあ……」


「何を当たり前のことをって思うかもしれないけど、これは一番大事なことだと思う」


「ちょ、ちょ、ちょっと待ってよ」


 国井が俺を遮るように詰め寄ってきた。


「ターゲットが私達とか、大事とかって、ってさ、その、あの、だから、なんなの? ナオは何を考えているの? 結論が分かんないだけど」


「……いや、まだ疑問点を並べているだけ、まあ、ピカトリクスが出てきたタイミングを考えると、現状把握を第一にして欲しかったんだろう。だから俺達の動向を把握して様子を見ていたってことで、例えばこれがいつまでも現状把握へ動かなかったり、ぼーっとしていたら……」


 ここで言葉を切る。


「ど、どうしたの?」


「い、いや、なんでも、ごめん、さっきから、何かが引っ掛かっているんだよな、何なのか分からないが」


 再びうんうん唸っていると摩耶が聞いてくる。


「それでナオはどうするんだ? 当分の課題は説明会に対してのどうするかだ、私達が参加している間に、何かが動くって線はどう考えている?」


 軌道修正するような摩耶の言葉に考える。


「確かに任意とか言っている時点で、その可能性も否定できない。だけど説明会への参加が当然0人ってわけにはいかない。だから説明会に参加する組しない組で別れるってのは現実的な対策だと思う」


 ここで俺は手を上げる。


「んで俺は参加する。なるべく説明会の時のピカトリクスの話を一言一句聞き逃したくないんでな」


 俺の言葉を皮切りに、全員が各々の考えを持つうえで説明会に参加するか否かを決めることになった、その結果。


 参加する組が、俺、谷森、大城、菅沼

 参加しない組が、相沢、黒瀬、国井、塚本、江月。


となった。


「こう言っちゃなんだけど、スガが説明会に参加する側なんて意外だな」


「まあ、どっちが大事かって考えたらこっちかなって、まあ俺は頭悪いから、考えるのは苦手だけどよ」


 どちらが大事かと言われればこっち、俺は谷森によれば思考力に優れているそうだが、俺の見方だとスガは直感力に優れているイメージがある。


 そういえば、水着泥棒事件の時も「何となく今日来そうな気がする」とか言って本当に来たっけ。


「頼りにしてるよ、スガ」


「って言われてもな、考えるのはお前に任せる」


 だそうだ、さて、話し合いの結果、明日は午前8時に起床する。朝飯の後、探索組は何処をどう探索するかを確認、そしてピカトリクスの説明会の後、集まって作戦会議という流れになった。


 視線を移すともう午後10時だ、午後11時から午前8時まで、同窓会はそれこそ夜通し遊ぶことを考えてみれば、健全な学生そのものだ。


 ピカトリクスの言うとおりなら、あと一時間で強制催眠剤が投入されて、午前8時まで寝るってことになる。


 あと一時間、今日は色々あって本当に疲れた、全員もぐったりしていて、会話もぽつぽつと話すぐらいだった。


「ちょっと、トイレ行ってくる」


 そういって、教室を出てトイレを済ませる。中学を卒業して半年も経っていないから、その何気ない動作一つに妙な感慨を抱くのだから、楽しく良い仲間に恵まれたのだと思う。


 そんな感慨を振り払って俺は教室に戻らず外に出た。


 灯りなんて無いから、月の明かりで地面が見えるぐらいだけどそれで十分だ。


 少し校庭に出たところで見上げた先は満天の星空だ。


 本当だったら、楽しい気持ちで見るはずのものだったのに……。


(ごめん、みんな)


 実は、一つだけ嘘をついた。


 それは国井に指摘された「何かを思いついた」という件でだ、もちろんこれ見よがし云々は本当だけど、俺があの時思いついたのは、ピカトリクスの言った「ゲーム」ってことについてだ。


 ピカトリクスはつけられている首輪について説明した後こう言った。


――『まあ、信じる信じないは勝手にしてください、ま、実際にやって死んだ方が、こちらの本気が分かると思いますけど』


――『とはいえ、これは保険の様なものです。万が一知らないでやってしまった時に、死んでしまっては興ざめですからね』


(首輪はあくまでも保険である、何も知らないで死んでは興ざめ、この二つの導き出される結論はただ一つ)



(ピカトリクスのあの言い方は「正々堂々とゲームでお前たちを殺す」って意味! つまり命の危険があるデスゲームだ! やってやる、なんがなんでもな!!)




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