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3 1日目―自己紹介

「もう1人見つけたぞ。これで4人揃ったな」


 2人の胸元にも同じ色のブローチが着いており、私が一番遅かったようだ。

1人は金色の髪を肩口で三つ編にした、身なりの良い服を着ている男と、もう1人は黒色の短髪の男で、背中からは長剣の持ち手の部分が見えている。

私も含めて4人共、同じような年齢ぐらいだろう。


「それじゃあ4人揃ったし自己紹介でもするか?3日間も一緒にいなきゃいけねーんだし。俺はニコル・アルマン。こんな見た目してるけど俺は男だからな、間違えてんじゃねーぞ。この格好はただ単にいろいろと便利なだけで趣味じゃねーから。得意魔法は治癒魔法だけど、治して欲しかったら1回10万リン払えよな。馴れ合いたくもねーし、お前ら俺の足を引っ張んじゃねーぞ」


「・・・・・・・」


強烈すぎるキャラに言葉も出ないとはこのことだろう。彼女・・・じゃなく彼、アルマンは黒い膝丈のフリフリの可愛いワンピースを着ていて、声も見た目も完璧に可愛い女の子なのだが男ということらしい。

しかも治癒して欲しかったら、1回10万リンなんて膨大な金を請求するなんて・・・高すぎる。(ちなみにリンというのはこの世界共通の通貨であり、私が今日この島に来てお昼を食べた代金が500リンだったので、お昼ご飯が200回食べられる計算になる)


「生意気だね君、そんな生意気な口利いてると間違って殺しちゃうかも。僕はレオン・ウィリアムス。元素魔法が得意だよ。君たちの事なんかどうでもいいけど、試験の間だけは勝手なことして失格になんてならないでね。失格になったら君たちのこと殺すから」


「なんだと!てめぇ・・「ガイル・ドーキンス。魔剣使いだ。俺の邪魔と失格さえしなければ何をしてもらってもかまわない」・・・お前!俺の言葉(さえぎ)ってんじゃねーよ!」


アルマンのあとに金色の髪のウィリアムス、続いてアルマンに睨まれているが、そんなことを気にする様子もない黒髪のドーキンスが自己紹介をしてくれた。


(これはやばい人たちとチームになってしまった・・・さっさと失格になろうと思っていたのにできなさそうな雰囲気だよね・・・)


性格は自己紹介を聞いた感じかなり難ありだと思った。とういうか性格悪い、特に前者の2人。

心の中で失礼なことを考えていると、3人の目がこちらに向いていたので私も慌てて自己紹介をした。


「エイダ・ミンターです。召喚魔法ができます。みなさんの足を引っ張らないように頑張らせていただきます・・・」


「お前使えなさそうな感じだけど、召喚魔法なんかできんの?」


「えっと、実は私が呼べる使い魔は1体しかいなくて・・・」


「・・やっぱお前使えねーわ」


「・・・・すみません」


アルマンがさりげなく私を馬鹿にしてきたが、どうやらさっきの答えで使えない奴と判断されたみたいだ。他の2人もあからさまに大きなため息をついたり、目を逸らされたりと重苦しい雰囲気になってしまった。

実際使える魔法が使い魔を1体だけしか呼ぶことができないので、呆れられるのも無理はない。しかも3人とも口は悪いが魔力は高そうで、自身あり気な感じからしてきっと魔法のセンスも良いのだろう。

学校側は同じようなレベルの魔力を持っている4人のチーム編成にしたと言っていたが、もしかしたら私は余っていたからここに組み込まれたのではないだろうか。


これからの3日間地獄だな、なんて今始まったばかりなのにこれから先のことを考えて落ち込んでいると、ブローチから先ほども聞いたピーっと笛が鳴る音が聞こえた。


≪―――みなさん、同じチームの方と合流できたと思います。それでは第1回目の課題を発表します。第1回目はまず、これから指定する場所までチーム4人で来ていただきます。制限時間はあと3時間。17時までに指定された場所に到着してください。これからみなさんに地図をお配りします。そこに指定された場所が記されてありますのでそこへ向かってください。今みなさんがいる森には凶暴な魔物も住みついていますので十分気をつけて移動してください。


それではみなさん、お気をつけて―――≫


アナウンスが終わると同時に転移魔法によって届けられた1枚の地図が、頭上からひらひらと舞い降りてきた。

アルマンが地図を取ったので、4人で輪になるようにして地図を覗き込んで見た。

地図の一箇所に赤いペンで丸がついた"不死の丘"という場所が指定された場所なのだろう。

だがここがどこかも分からないのにその場所へ行くのは簡単ではなさそうだ。


「さっそく課題が始まったな。ここがどこだか分かんねーと動きようがないし、とりあえず高い場所に行って上から探したほうが早くねえか?」


「それには賛成かな。この"不死の丘"っていう場所がどこにあるかは分からないけど、3時間で着ける場所に必ずあるはず。地図を見たら結構広い範囲にわたって丘があるみたいだし、高いところからなら見つかりそうだよね。丘っていうくらいだからひらけた場所にありそうだし」


「異論はない。高い場所を探そう」


先ほど言い合いをしていたとは思えないくらい3人は話をまとめながら試験の課題に取り組んでいる。

仲良くするとかではなく、自分の不利益になることはしない人たちなのだろうと推測する。

私を除いた3人は特に揉めることもなく行き先が決まったのだが、私は地図に書いてある"不死の丘"の隣に描いてある花が気になった。


「あの、この"不死の丘"の横に描いてある花って"不枯花(かれずのはな)"じゃないですかね?」


「花の名前とか詳しくないんだけど、何か気になることがあるの?」


他人の話なんて聞かなそうな人だと思っていたのだが、意外にもウィリアムスは私の話を聞いてくれるみたいだ。


「不枯花は文字通り、枯れずにずっと咲き続ける花のことです。この丘に不枯花が咲いているのだとしたら、私の召喚した使い魔の力で探し出せるかもしれません。試しにやってみてもいいですか?」


「なるほど、確かにこの花の絵はヒントみたいな感じがするよね。試しに召喚してみたら?それに君が唯一召喚できる使い魔も見てみたいし」


「俺も見てみたいから別にいいぜ」


「それではやってみます」


ウィリアムスとアルマンは、私がどんな使い魔を召喚するのか面白がっているようだ。

私は気にせずそこら辺に落ちていた木の枝を拾い、地面に魔法陣を描いていく。それほど複雑なものではなく、マンホールの蓋ほどの大きさの魔法陣は1分も掛からず完成した。


私は大きく深呼吸をしてからゆっくりと呪文を唱えた。


<―――我は汝と盟約を結ぶ者、出でよ "ルターム" >


詠唱呪文を読み上げ、魔法陣に両手をかざすと魔法陣が一瞬パッと光り、中心には先程まで存在しなかった生物の姿がみえた。







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