象とヒットマン
ある日、泉のそばで象とヒットマンは出会いました
君はぼくを撃つかい?
象はヒットマンに聞きました
いいや、私は象は撃たない
ヒットマンは象に答えました
そこで象はヒットマンについて行くことに決めました
象とヒットマンは大きな河に沿って下って行きました
河原で夕食をとったあと、象はヒットマンに聞きました
君はなにを探して旅をしているんだい?
ヒットマンはちらりと象を見ましたが、なにも話さずにごろりと横になりそのまま寝てしまいました
象もそれ以上聞くことはせずに、その場で脚をたたんで目をつぶりました
象とヒットマンは小さな村に着きました
ヒットマンは村人と少し話していたかと思うと、突然走りだしました
象もあとを追って走りました
ヒットマンは村はずれのちいさな倉庫に飛び込み、中で三発の銃声がしました
象が倉庫に入っていくと、そこにはいっぱいの象の牙が積まれていてその前には胸を撃たれた男が倒れていました
目にした光景に驚き立ち尽くしている象にヒットマンがいいました、手の中の拳銃からは白く細い煙がまだ漂っていました
君は私を踏み潰すかい?
その言葉に驚いた象は聞き返しました
君を踏み潰すって、なんで?
君にはその権利があるような気がしたからさ。いまこの場で私を踏み潰したとしても赦されると思ったからさ
象はその言葉を何度も反芻しました
そしてゆっくりとした口調で答えました
いいや、ぼくは君を踏み潰したりしないさ
象とヒットマンは河口の港に着きました
私はここで船に乗り国へ帰るよ
そうかい、それじゃあぼくも故郷へ戻るとするよ
象が鼻を差し出すとヒットマンはやさしく撫でました
楽しかったよ
ヒットマンがいいました
ありがとう
象がいいました
そうして象とヒットマンは別れました
それぞれの場所へと旅立ちました




