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第四話;高鳴る鼓動

「では、新入生を迎えるため何か部ごとに聞きたいと思います。」

プリントを持った長い髪の女の子が明るく微笑む。

愛はかったるそうにペンを回しているが・・・。

<新入生か・・・。出し物って言っても美術部なにやろ・・>

去年も一昨年も絵の掲示をしただけだった。

今年こそはと、思っても美術部だけにやる物など・・・。

すると、隣に座ってた男の子が愛を突っついてくる。

「君さぁ・・・。」

「な、なんですか?」

愛の思わず赤くなる。実はこの子、愛の好きな人なのだ。

・・・とは言ってもクラスも違うし、名前も名字しか知らない。

委員会で隣になっても口すらきいたこともなかった。

しかし・・・今、初めて口をきいた。

「なんですか・・って君で止まってるからさぁ・・・」

「へ?」

愛が周りを見るとみんなが愛を見ていた。

愛・・・硬直・・・。

「鈴崎先輩、会長がいない委員会でわたくしの司会は分かりにくい

ですか?」

副会長である少女がくすっと笑う。

そう・・・今日は会長が休みなので副会長である高倉涼蘭<すらん>

が司会を務めていた。

愛が慌てて立ち上がる。

「い、いや・・そういうわけじゃあ・・」

「いえ、別に先輩が気にすることありませんわ。」

涼蘭は長い髪をパサっと後ろにやりながら微笑む。

怒ってそんな事をいうのか、それともからかわれているのか愛には

分からない・・・。

「でわ、案を発表してください。」

涼蘭がにこっと愛に微笑みかける。

愛は、少し動揺しながらも前を見た。

「え・・と、美術部は去年どうよう絵の掲示を」

「えぇ、また〜?」

愛の声を誰かが掻き消す。吹奏楽部の・・・部長だ。

「確か、去年も一昨年も絵の掲示だったよ?」

その子の言葉に愛は何も言いかえせない。

周りもなんだかざわついてきた。

「確かに、毎年一緒だよな・・」

「手抜きじゃないの?」

周りの声が愛にぐさぐさ刺さる・・・。

愛の顔が極限まで赤くなった。

<そんな事言われても困るよ・・私だって考えてんだよ>

愛の顔がうつむく・・・。

正直・・・逃げ出したい。するとその時だ。

バァァン!!

隣で座っていた男の子が思い切り机を叩いた。

周りが、いっきに静かになる・・・。

「静かにしろ・・同じ事でいつまでもしゃべるな・・」

男の子がきっと周り睨んだ。愛・・・呆然・・。

「お前らだって一緒だろ!?曲を変えたり、少し内容変える

だけで、演奏したり、ボール投げるくらいじゃないのか!?

それなのに、なんで美術部の時だけ文句言うんだよ!!」

男の子の言葉に誰も言いかえせない・・・。

「あー・・気分わるっ」

男の子はそういうと愛の手を引き生徒会室を出ようとする。

「えっ!ちょ、ちょっとまって・・・」

愛の声を聞かず男の子は愛をつれて、ピシャっとドアをしめた。

「まったく・・・ほんとムカツク連中だよな。気にするなよ?」

「う、うん・・。」

愛が顔を赤くしながらうなずく。

<助けてくれたんだ・・・。>

愛は、本当にうれしかった・・・。

きっと他の人に同じ事を言われたとしてもこんなにうれしくなかっ

たと思う。

「ってご、ごめん!!」

男の子が慌てて愛から手を放した。さっきから手をつないでいた

事に今気づいた二人・・・。

・・・・沈黙・・・

最初に口を開いたのは愛だった。

「あ、ありがと・・・助けてくれて・・」

「だ、だからそれはいいって!!」

男の子はそういうと一人歩き出した。

「ど、どこいくの!?」

「どこいく・・・って部活だけど?」

「あ、あー・・・」

愛が恥ずかしそうにうなづいた。

まぁ・・・当たり前って言えば当たり前の事だ。

<何聞いてんだ・・私。バカじゃん・・>

愛がそんな事を思ってる間にも男の子は行こうとしている。

「ま、まって!!」

愛が大声を出して止める。男の子が振り返った。

「お、お礼させて!!き、今日の夜ヒマ!?」

「ひ、ひま・・だけど?」

男の子がとまどうように愛を見る。

愛自身、自分が何を言ってるか分からない。

ただ・・心臓が高鳴っているのはわかった。

「も、もんじゃ焼きでよければ・・おごるよ!!だ、だから・・」

愛の言葉に男の子がお腹をかかえて笑い出す。

「ははは、もんじゃ焼きか!」

「へ、へん・・・?」

愛が不安そうな声を出すと、男の子はにっこり笑い・・

「いいよ!じゃあ7時に学校の校門前な!!」

その言葉に愛はうれしそうにうなづく。

「う、うん!!あっそうだ、名前・・名前なんていうの?」

「オレ?桜井諒!君は?」

「す、鈴崎愛!!」

愛が顔を赤めながら叫ぶ。

「愛、か。じゃあ7時にな!!」

「うん!」

諒が廊下を走り、体育館に向かっていった。

愛は、手を振って見送っていたがピタっと止まる。

<ま、まてよ・・・?もしやコレって・・・>

「デェーーートォォォ!!!!??」

愛が今頃気づいた。

しかし愛の顔が自然にほころぶ。

「春花ぁぁぁぁ!!私、もんじゃでデートするよぉぉ!!!」

愛が大声で叫びながら廊下を駆けていく。

・・・そんな大声でもんじゃデートといい恥ずかしくないのか。


しかし・・・魔の手はすぐそこにいる・・。

「さぁて・・」

クローゼがどこかの教室の机に座り足をぶらぶらている。

「今日の夜でも少しご挨拶にでもいこうかしら・・・」

クローゼが手元にあったコンパスを黒板にすっと投げた。

ブスッ・・・黒板に貼ってあった愛の写真にささる。

「光の姫・・・ルーンベルト・・」

クローゼが、ギリっと歯を食いしばる。


今夜、またなにかありそうな展開だが・・愛は大丈夫なのだろうか。

愛はそんな事も知らずに意気揚々と美術室へ駆けていく。

 







今回、愛のデート先はもんじゃ焼き店ですが読者の

皆様は初デートどこですか?

私は・・・・・。

聞かないでください!!!<泣>

では、ご感想お待ちしております!!


byざしきのわらし

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