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第十四話;愛されぬ者

「ねぇ・・・高倉さん。」

愛が涼蘭にハンカチを渡しながら微笑みかける。

「美術部来なよ!今なら皆いると思うし、こんな所で一人マンガ見ててもつまんないって!」

「わ、わたくしはここで・・・」

「いいから!!」

愛は戸惑う涼蘭の手をひき、階段をあがっていく。

「美術部って目立たない部だけど・・・本当につらいときはこの部が一番だよ!!皆優しくて・・・

私を先輩って呼んでくれて・・・温かく迎えてくれる・・・!」

愛の言葉を涼蘭はただ黙って聴いている・・・。

愛はさっと美術部の扉を開けた。

「先輩遅いですよ〜」

「ってなんで高倉さんまでぇ!!?」

後輩達がぞろぞろとあつまり愛と涼蘭を取り囲む。

「さっきそこで会って連れて来たんだ!!みんなの作品見せてあげて?」

「は〜い」

愛が言うと後輩達が涼蘭の手をとりどこかに行こうとするが、愛は慌てて呼び止める。

「ねぇねぇ!春花は?」

「新藤先輩ならあそこに・・・―」

一年生が指差した先に、春花はいた。

何か絵を描いていてこちらなど見向きもしない。

「春たぁ〜ん!高倉さんが遊びに・・・―」

「ウザイ・・・」

春花の言葉に愛が固まる・・・。

春花は乱暴にスケッチブックを閉じるとすっと立ち上がった。

「は、春花・・・お、お、怒ってる・・・?」

愛が聞くが春花はシカトして涼蘭の元に歩み寄る。

「よくもまぁ・・・こんな所にこれたわね・・・」

「は、春花さん・・・」

涼蘭の顔がいっきに青くなったのが愛にも分かった。

<怯えてる・・・高倉さん、怯えてる・・・>

「愛に連れて来られたのか知らないけどねぇ・・・私がこの部に入っている事知ってるでしょ!?」

「す、すみません・・・本当にすみません・・・」

涼蘭の体が小刻みに震えている・・・。

それなのに春花はきつく睨みつけている・・・。

この二人はどんな関係なのだろう・・・

「や、やめなよ!!遅れてきたの私なんだから怒るなら私を怒って!!」

愛が慌てて春花を抑えようとするが、春花は愛を床に突き飛ばす。

「きゃあッ・・・」

「愛は黙ってて・・・」

春花はそういうと涼蘭を睨み付ける。

「不愉快だから早く帰ってくんない・・・?」

「な、何言ってんの!?高倉さんかわいそう・・・―」

「失礼・・・しました・・・!!」

涼蘭はだっと美術室から出た。

その目から涙が出ていた事を愛は見逃さなかった・・・。

愛は怒りに震え春花の襟首を掴み壁に叩き付ける。

春花はわずかに顔をしかめた。

「あの子に謝りなさいよ!!!あの子は何も悪い事してないでしょ!!?

それなのになんで・・・」

「愛はあいつの事を何も知らないからそんな事が言えるんだよ・・・!」

春花は愛の手を振り払い、キッと睨み付ける・・・。

眼鏡の奥の瞳は・・・愛を見据え、ただ憎しみに燃えている・・・。

もはやその目は愛の知っている目じゃない・・・。

冷たく・・・冷酷な目・・・。

「涼蘭と何話したか知んないけどね、あの子は愛の思ってるような子じゃない!!へこへらして、猫かぶって前に進んできた奴なの!!」

「ち、違う!!高倉さんは・・・―」

バァン・・・

春花が机を叩き愛の言葉をさえぎる。

「愛は簡単に人を信用しすぎなの・・・人を疑がわないと分からない事だってあるぐらい理解出来るでしょ?」

「そんな事無い!!そんな疑うだけ人だなんて人に愛されてない証拠じゃない!!」

「・・・何ソレ・・いやみ?」

春花が愛を見て鼻で笑う・・・。

背筋に悪寒が走った・・・。

「わ、私はそんなつもりじゃ・・・!!」

「別にいいよ・・・どうせ本当の事だし、私は愛と違って人に愛されたいなんて思わない。愛された所で何かいいことでもあんの?たかが自分の感情をコントロール出来なくなった時に使う手駒でしょ・・・そんな事に私は興味ないわ・・・」

<は、春花・・・何言ってんの・・・>

愛はこんな異常と言っていいほどの春花をはじめて見た。

愛はなんと言っていいのかも分からずただ首を横に振るしかない・・・。

「ようするに・・・」

春花は手にスケッチブックを持ち、愛を見た。

「涼蘭とは、もう二度と口利くな・・・今度話してるとこ見たら私、愛と絶交するから・・・」

バァン・・・!!

春花はそういうと乱暴にドアを閉め、美術室を出て行った。

愛は呆然と立ち尽くすしかない・・・・。



学校の帰り道・・・愛は一人で歩いていた・・・。

あれから春花とは口を利いていない・・・。

口を利いても何を話していいのか分からないのだ・・・。

<春・・・花。なんであんな事を・・・―>

「す、鈴崎〜・・・」

どこからか声がする・・・。

愛が振り向くと諒が身を低くして両手に木の枝をもちながら呼びかけている。

・・・怪しい・・・

「な、何やってんの・・・?」

愛があきれたように話しかけると諒は慌てて口に人差し指をあてた。

「バカ!!新藤が近くにいたらどうするんだ!!オレはもうあいつの飛び蹴りくらうだなんてごめんだからな、こうして隠れて」

「いないよ・・・」

愛はうつむきながらつぶやく・・・。

「・・・は?」

「春花・・・側にいないよ・・・。」

愛はうわ言のようにいない、いないと繰り返す・・・。


「鈴崎・・・お前新藤とケンカしたのか?」






愛は諒に春花との出来事をすべて話した・・・。

諒は両手に木を持ちながら考え込む。

「高倉に対しての異常な反発から、ケンカに発展したのか・・・。」

「ケンカ・・・なのかウチにも分からないけどね・・・。」

「まあ・・・新藤が高倉に対して異常な態度を示したっていうのは、分からないでもないけどな」

「えっ・・・?」

諒の言葉に愛は戸惑いを隠せない・・・。

「どういう事?」

「お前知らないのか?新藤と高倉、いとこなんだぞ?」

・・・。

しばし状況の飲み込めない愛・・・。

そしてしばらくしてから・・・

「えええええぇぇぇ!!!!??」

「反応おせぇって!!」

諒・・・思わずツッコミ・・・。

「だ、だって・・・春花そんな事一言も・・・」

「言えなかったんだろ・・・」

「言えな・・・かった?」

愛が復唱する・・・。

愛には春花が黙っていた理由がまったく分からない・・・。

「新藤は高倉家から追放されたらしいんだ・・・。新藤の母さんは高倉家の跡取り有力者だったんだけどよその男と駆け落ちしたらしくってさ・・・高倉家からは目の仇にされたんだと・・・。そこに新藤が生まれたんだけど・・・お祝い事も誰にも祝福されないで今まで育って来たらしい。それなのに高倉は色んな人に愛されたから憎かったんだろうな・・・そのうえ高倉は自分に同情してくるからさらに憎んで・・・高倉は高倉でそんな自分に罪悪感感じて新藤には逆らえないんだろ・・・」

愛はそんな事実を知らなかった・・・。

親友なのに・・・大切な人なのに・・・

「諒君・・・なんでそんな事知ってるの・・・・?」

「うちの母さんが情報通だからな・・・母さんに教えてもらったんだ。」

<なんで親友の私が知らないで諒君が知ってんの・・・?>

春花の言葉が愛の頭の中でぐるぐるまわってる・・・。

あれはすべて春花の強がりだった・・・。

本当は寂しいくせに・・・

「鈴崎・・・お前泣いてるのか?」

諒が愛の顔を覗き込んでくる・・・。

この時初めて自分が泣いてる事に気づいた・・・。

「だ、だって・・・だって・・・」

「新藤は自分の事で鈴崎が泣いてるって知ったら悲しむぞ?」

諒は苦笑いするとさっと立ち上がる。

「さて・・・」

諒は泣いている愛にそっと手を差し出す・・・。


「お前は泣いてる場合じゃないだろ?そんな大好きな親友のためにもやらなきゃいけない事がある事忘れんな・・・」






 


こんにちわ〜、相変わらずヒマ・人子の私です!!

そしてプリンの実験に加えてある実験をしました!

題して・・・

『みかんにのり巻いて醤油をつけたらいくらになる』

という勇気ある実験・・・。

で、結果は・・・

甘!!しょっぱ!!のりキモ!!結論・・・他界・・・。

プリンよりヤバイ!!マジで視線超えます・・・。

それではご感想をお待ちしております。


by ざしきのわらし

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