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紅の魔女の怪異譚 月蛙村

掲載日:2026/07/19

 山道を進むバスの荒い振動に顔をわずかにしかめながら、私は今度は何週間居られるだろうかと考えていた。

いわゆる宗教二世と呼ばれる私は、両親からネグレクトされて育てられ、唐突に宗教施設へと連れ込まれたかと思うと、そこで過酷な労働を強いられた。結局、彼らは自業自得で空中分解してしまったが、その事件で保護者を失った私は親戚の間をたらい回しにされ、言い方は悪いがこんな片田舎にある限界集落にまで厄介払いされてしまった。

ここまでの経緯は忘れよう。こっちが悪いわけでもないのに胃が痛くなってきた。よくもまあ、あんな杜撰なやり方で組織を運営していたものだと思う。もうちょっとこう、やりようがあっただろうに。中学生の私ですらもっといい方法をいくらでも思いつく。

なぜ、こう人運に恵まれないのかと嘆きながら、到着したバスから降りた。

荒れた農地を横目に、手元のメモを確認しながら今回お世話になる家へ向かう。周囲からのいぶかしげな、あるいは嫌悪の滲んだ視線を無視しながら目的地へと到着する。

そこには六十代ごろの老人が一人で暮らしていて、いかにも面倒くさいという態度でここでの過ごし方を教えられた。

「ここでは農業をやっておる。まあ、おぬしみたいな女には役立つこともないじゃろうが。あと、裏山には入るんじゃねえぞ。遭難されても面倒じゃし、村の掟でもあるからのう。」

 ぶっきらぼうにそんなことを告げると、部屋にだけ案内してさっさと外へ出て行ってしまった。最後に「なぜわしがあんな小娘の面倒を見にゃならん」とかぶつぶつ文句を言っていた。

そんなこと言われても私にはどうしようもない。荷物のほとんどをそのまま箪笥にしまうと、家を見て回ることにした。

 家の中を見て回って、不可思議な物を見つけた。神棚に普通の像だけでなく、蛙のような像も置いてあったのだ。

変わった点はまだあり、その蛙の像は三叉槍のような物を持って、それを掲げていた。ここは山間の村で、近くと呼べる場所に海はない。

なのになぜ、海辺で使うはずの三叉槍を持った像があるのだろうか。それとも、私が知らないだけで三叉槍は山でも使うのだろうか。

いぶかしく思いながらも今は気にする事ではないかと思い直し、スマホの充電だけして、夕食を一人で済ませたらすぐに眠った。

 この場所に来てから一週間。ようやく中学校の転校手続きが終わり、平日は村の外にある学校へ行くことになった。

他に三、四人しかいないスクールバスを使って通学する。学校で授業を受けたら放課後は部活動には参加せず、図書館か空き教室で時間を潰し、下校時間になったらバスに乗り込んで村へと戻る。週に二回ほど学校近くのスーパーで自分の分の買い物をして家に戻ったらさっさと家事を済ませて食事をとって眠る。

幸い、お金だけなら諸事情で困っていない。この家の家主は私をいないもの扱いしているらしく、こちらから関わらなければ向こうから関わってくることもなかった。

今までがひどすぎて、この対応ですらありがたいと感じてしまう。いや、それが異常だとはわかっているのだが。

そんな生活がそれなりに続き、村の人たちからの視線こそ厳しいが、それ以外は快適に過ごしていたある日のこと。

 学校から戻ると、村が異様な雰囲気に包まれていた。周囲からは「田中が殺された」とか「祟りじゃ」などという話が漏れ聞こえてくる。

どうやら殺人事件か何かで、その田中さんが惨い殺され方をしていたらしい。体には無数の穴が開けられ、相当苦しんだらしく、余りにも壮絶な死に顔だったという話だ。

そして、なぜか私へ一層厳しい視線が向けられていた。中には憎悪さえこもったものもちらほらと見える。

……あぁ、これはあれか。誰かがよそ者のせいだとか、あいつが問題を持ってきたとか、そんな噂が出回っているんじゃないだろうか。もしくは村長あたりが不満のはけ口としてこちらにそれとなく罪を擦り付けた感じだろうか。

どちらにしても、本当にやめてほしい。こちらは高校になるまで何もされなければさっさと出ていくというのに。そもそも――

「おい、よそ者。」

 そんな益体もない思考をつらつらと並べていた時に、四十代ごろのおじさんがこちらをにらみながら近づいてくる。

自分の周りにいた学生たちは巻き込まれてはたまらないとばかりにバラバラに逃げ去っている。白杖者め、とは思わない。私だってそうするし。

「お前がやったんか?お前さんがあいつを殺したんだろっ!?このよそもんがぁ!!」

 前置きもなく、いきなりそう問い詰められても、何を指しているか分かりにくい。

まあ、周囲の噂話についてであろうことは察せられなくもないが、この人はあまり人の話を聞くようには思えない。

だっていきなり中学生を恫喝するような人種が他責思考じゃないわけがないし。

 目の前で叫び散らかす男との問答が面倒くさくなって、私はいつもの常套句を使うことにした。なんでこう、私の周りはこんな人間ばっかなのだろうか。

他にいるのは他責思考・コソ泥・空虚な自信家・差別主義者・陰謀論者・無責任者・性悪女・あほビッチ・何かの人格破綻者か社会不適合者ぐらいか。まったくろくでもない。

「証拠は?」

「はっ?」

「だから、それは証拠に基づいた発言ですか?その証拠はありますか?と聞いています。」

 こういう人間には理詰めが手っ取り早い。根拠を出せと言えば、大抵は用意がないから黙るしかない。恨みも買いやすいが、まあ必要経費として割り切ろう。

真面目に相手する方が面倒だということは人生経験で嫌というほどわかっている。

 こちらが無表情で淡々と告げると、男は舌打ちをしてこちらをにらんできた。

しかし、正直まったく怖くない。自分が死ぬことに無頓着というのもあるが、もっと怖い存在をごまんと見てきた。

 こちらの表情が変わらないのを見て、一瞬ひるんだように後ずさると、気味が悪そうに「知るかよ。」といってそそくさと逃げ去ってしまった。周囲の村民もこちらから視線をそらし、ちらちらとこちらを見ながらひそひそと話し始める。

ここまでテンプレな閉鎖村落も珍しい。ありとあらゆる場所をたらいまわしにされてきた私が言うのだから間違いない。

私は、こっそりため息をつくと、何事もなかったように家への道を歩き始めた。

 あの事件から一週間。警察の調査をもってしても事件の犯人は見つからなかった。

それどころか、この一週間の間に追加で三人の被害者が出た。それが余計、周囲の私への疑念を濃くしたらしい。

こっそり隠れて耳をそばだてると「呪殺した」だの「未知の薬品を使ったんだろ」だの「神様がよそ者に怒ったんじゃないか」だの、お前たちはいつの時代の人間で、私はアニメの暗殺者か呪術師か何かと勘違いしているんじゃないかというようなばかばかしい意見が村中に広まっていた。

あと、その中で知ったのだが、あの神棚に置かれていたのはこの村の守り神とやらしい。老人などは「月蛙様」とか言っていた気がする。

もう一つ、不可解なことがあった。最近、村長の家から複数台の小型トラックで何かが運搬されていた。

この時期に収穫するものはないらしく、何人かの村民もいぶかしがっているようだ。裏山からキノコや山菜が取れるらしいが、それだって小型とはいえトラック複数台に詰めるような量を村長一家だけで取ってくるのは難しいだろう。

もっとも怪しいのは村長の息子(五十代)の顔で、ずっとにやついているというか、とにかく満面の笑みが浮かんでいるのだ。そして、最近羽振りがいいらしい。

 ここまで調べて、私はなんとなく察してしまった。たぶんそう外れてはいないはずだ。まあ、途中の経緯は想像で埋めるしかないが、私だけが知っていればいいので無視することにする。次の行動はたぶんきっと――ー。

周囲にいぶかしがられない程度に自分の荷物をまとめ始める。衣類やスマートフォンは大丈夫なので、日持ちのする非常食を集めておき、すぐ取れるよう鞄に入れておく。

そうして、さらに一週間が経った土曜日の夜。

この1週間でさらに5人の村民が死んだ。とうとう私に話し掛ける村人もいなくなり、買い物すら困難なレベルの村八分になってしまった。

本来村八分は罪を犯した人をコミュニティから孤立させるための手段なのだが、どうやらこの村では村人のストレスのはけ口という扱いにすり替わっているらしい。

まぁ、何がいい対価と言えば、私が死んでも騒ぐ人はもういないほどに孤立しているということである。

なんとなく今夜来るかなと思い、準備を整えて部屋の箪笥に隠れていると、家の扉が開く音がした。そして、人よりも重たい生き物が歩く音が聞こえてくる。どし、どしという重たい足音とともに、どこかカエルの鳴き声のような、くぐもった鳴き声が聞こえてきた。

こちらが息をひそめる部屋の前を通り過ぎ、そのまま進んで隣の部屋の前で止まった。何か、名状しがたい鳴き声がして、扉が破壊される音が続いた。

そうして、数十秒の沈黙の後――

「ぐあああぁぁっ!?」

 という家主の断末魔が聞こえた。ついでにゴシャッという何かを押し貫く音も。

 おそらく村中に広まるほどの絶叫だった。あぁ、これでたぶん、何も証拠がなければ私が怪しまれて村八分にされるのだろう。もしくは警察にでも強制連行されるか。

冤罪だと叫んでも聞き入れられることはないだろう。だって私は「よそ者」だし。

しかし、そこまでこちらがおとなしくしてやる義理もなければ、ここに留まる理由も先ほど消えてしまった。私に必要なのは書類上の保護責任者であって、毒親に育てられた子どもをネグレクトするような老害ではないのである。

私は素早く荷物を背負うと、窓から外に出た。持ち出していた靴を履き、足音を立てないように素早く移動する。

そして、たどり着いたのは村長の家だった。用心深いことに扉も窓も閉まっていたが、中からは怒号とへらへらとした笑い声が交互に聞こえてくる。予想通りだ。

そして、数分経つと、町中が少しずつ騒がしくなってきた。おそらく村民が先ほどの悲鳴を聞いて、確認しに来始めたのだろう。極力死角になるような場所に隠れ、村長の家を注視する。

すると渋い顔をした村長と、喜色が隠しきれていない村長の息子が出てきた。そして迷いなく私の家だった場所へ移動を始める。しかし、普段から鍵を閉める習慣がないせいか、もしくは家にまだ人がいると過信しているのか、鍵を閉めずに行ってしまった。

「詰めが甘い……」

 私は小さく独り言ちると、音を立てないように注意しながら扉を開け、家の中に入った。

そして、家の調査を開始した。どうやら村長の息子の妻は、すでに眠っているらしい。かなり神経が図太いのだろう。しかし、孫はそうもいかなかったようで、部屋の中で落ち着かなげに歩き回っているようだった。

私は2階の村長の孫息子の部屋に近づくと、小さく扉をノックした。

一瞬、ビクッという感じに足音が止まると、恐る恐るという風に扉が開けられる。

私は扉の前にしゃがみ込んで死角に入ると、いつでも飛びかかれるように準備する。

「どうしたの、おふく……あれ?誰もいな」

私は素早く村長孫の懐に入り込むと、溝内のあたり、性格には横隔膜を強く、えぐるように押し込んだ。

孫息子は声をあげることもできずに悶絶し、前のめりに倒れ込む。私は音を極力たてないようにそいつの体を支えると、空えずきを繰り返す男の首を右腕で抱え込んで、そのまま締め上げた。

「うぐっ!?」

数十秒力なく暴れていたが、ある瞬間にかくりと力が抜けてその場に今度こそ倒れ込む。柔道の占め技を流用した物だがうまくいったらしい。こういう時、宗教施設にいた時の訓練が役に立つのは脾肉というべきか。

私は適当に村長の孫をその辺に転がして、ついでに村長の息子嫁も適当に見つけたビニール紐で軽く縛ってから安全に室内探索を実行した。

だから、安心して神棚を見つけ出し、二重底で隠されていた複数の巻物を見つけることができた。

「やっぱり、怪異の類だったか。」

 私はそれを読み終えて、深く深くため息をついた。

もはや、人目をはばかるほどの気力も失せていた。

怪異、妖怪、あるいは神秘、都市伝説などでもいいかもしれない。そういった類が関わった事件には一家言ある。なにせ、親が信仰していたカルトはそのままがちの神様とつながっていた、間違いようのない怪異案件だったのだから。

しかも善神ではなく邪神の類である。あの神棚の像に魔力が宿っているあたりで嫌な予感はしていたのだ。

どうやら生贄の儀式系の怪異らしい。生贄と聞くと嫌なイメージがあるが、そんなことはない。別に人以外を捧げるのも生贄と言えば生贄なのだ。

対価と言い換えてもいい。分かりやすく言えば料理や酒、工芸品なども捧げられる対象になりうる。正月に五円玉を賽銭箱に入れるのだって、いいご縁をくださいという祈りの対価であり願掛けでしかない。

この村は生贄、特に生きた生物を捧げることで対価を昔から得ていたらしい。

これまでは年に一度、裏山のクマやシカ、イノシシなどを捧げて、豊穣や幸運の恩恵を得ていたのだろう。

本当にどうしようもない時は村人を捧げていたようだが、それだっていわゆる村八分になった犯罪者や、もはや寝たきりになった一人身の病人など、処理しても問題のない者だけだった。

しかし、村長一族の馬鹿……十中八九村長の息子が思いついたのだろう。もっと生贄を捧げれば、より多くの利益が得られることに。

きっと裏山の山菜などを大量に願って、それを売りさばいたに違いない。だってその取引書類まで見つけてしまったのだからほぼ確定だろう。

明らかに四人で取れる量とは思えないほどだったし。そして、都合よく視線をそらすよそ者、つまり私が現れた。

だから村人数人を生贄にして不審死させ、こちらに注意を向けさせたところで私の元家主を殺す。しかも今までと違って私には手を出さずに。

そうすれば、明日の朝には寝たまま殺された老人と、周囲から冷たくされていた子どもが残るわけだ。状況的に子どもが殺したとしか思えないだろう。

たぶん裏山への立入禁止も、資源保護とか毒性のある植物を取らないようにとか以外にも、この怪異が住み着いているかなにかで見られると困るからだろう。

そこまで推理したうえで、心に浮かんできたのは疲れたような呆れだった。いろいろな意味で愚かしいとしか言いようがない。

村の掟を何だと思っているのだろうか。村長も止めればいいものを、欲に目でもくらんだのだろうか……。

それ以外の人間は無理だ。妻は積極的に推進しそうだし、孫は発言できるほど胆が図太くなさそうだ。

まぁ、どう言い訳をするにしろ、掟を破った方が悪い。あれな言い方だがこの村の場合は因習化。

今までの掟にはそれなりの「合理性」か「必然性」が存在する。無数の失敗や調査・成功体験から導かれた存続のためのルールは破ってもろくなことにはならない。そういうのを変えていいのは、ルールの制定理由を知っている人間が、その問題を改善するめどが立ってからである。

まぁ、生贄をやめるなら「意味がない」と言ってしまえば普通ならそれで済む。ただたまにこういうがちの恩恵があるから始末に負えない。

そんな風に考えながら巻物をななめ読みをしていた。

そしてそれは複数の巻物の中ほどに見つかった。十冊以上あるうちの四冊目ごろの、しっかり探さないと見つからない場所に書かれていた。

同じようなことをした者はやはり存在し、そしてその顛末も想像の範囲内でしかない。それを思い浮かべながら巻物を元の二重底に戻す。

ちょっとした親切心で二重底が見えやすいよう少しずらして閉めたが、まあ、結末はほぼ変わらないだろう。

もう、都合よく助けてくれる僧侶などいないのだから。きっと私がその立場だったのかもしれないけれど、あいにく、私は正義の味方でもなければ都合のいいデウス・エクス・マキナでもない。

別段この村に良くしてもらった記憶もないし、むしろ冤罪を賭けられている。そんな場所に無償で助けの手を伸ばせるほど、私はお人好しにはなれそうになかった。

 私が家の隅にある窓を開けて出たとほぼ同時に、村長宅の扉をあけ放つ音と、複数人の男の怒号が聞こえてきた。

 私は遠回りで村の外へつながる道まで歩いて行く。気が付くと、村長宅の辺りから火の手が上がり、その内に化け物の笑い声が聞こえ始めてきた。

そして、村民の絶叫も混じり始め、見ずとも阿鼻叫喚の地獄的な光景が広がっているのは明らかだろう。

でも、気にしない。だってこれは自業自得、因果応報、まわりまわった呪詛返し。

しいて悪い人間を挙げれば、この忌まわしい呪法を残した先祖と、正しく扱わなかった村長の息子だろう。

だって、あの書物にはかつて私利私欲のために神を利用した村長の弟のせいで村の人口が減少し、村民が真似をして召喚した神々同士が殺し合った末、通りかかった僧侶が封印するまでひどい被害が出たと記録されていたのだから。

私は、悲鳴をBGMに村をあとにしようとした。

しかし、直前で胸元のペンダントが唐突に熱を持ち始める。嫌な予感がして銀のチェーンにつながれた赤い宝石を取り出すと、それは光と熱を放ち、だんだんとその熱量を上げていた。

「あぁ、あの邪神関係ですか?」

 そう聞くと、その熱は一層強くなる。どうやら正解らしい。

「ということは、やれってことですね……やらなきゃいけないんですね……はぁ……」

 私はいまだに騒がしい村に振り返り、近くに落ちていた木の棒を手に取る。

そして、それに『力』を込めると、地面に『とある紋章』を刻む。そして、その真ん中に発熱するネックレスを置くと、

「……ー! ー! “$%&'&%$%&' ー! ー! $%&'&%$#$%&」

 この世のものとは思えない文言を唱えながら、天に手を掲げる。あぁ、こういうことをしていると自分が「魔女」なんじゃないかと思えてくるから厄介だ。

まあ、人の道からはそれなりに外れている自覚はあるが、まだ人の中で生きていけるレベルだと信じたい。

 そして、三分ほどの詠唱が終わると、紋章の上に三つの火の玉が現れる。特に種も仕掛けもなければ、燃料で燃えているわけでもない。

まあ、ありていに言えば怪異の類だ。しかも呼び出したのは私自身。今回は仕方ない。だって私の神様からのオーダーだったのだから。

「行け。我らが神の先兵よ。神敵を仕留めるのだ。」

 そう命令すると、火の玉たちは村の方へ飛び去って行く。これで村はほぼ完全に滅んだだろう。

どちらにせよ滅んでいたのかもしれないが、これはオーバーキルも過ぎる。下手をしなくても何も残らないぐらい燃え上がって更地になる可能性が高い。

 火の玉を見送っていると、発熱していたペンダントから熱が消えていた。これで問題なかったらしい。

私はペンダントを回収し、紋章を足でかき消すと、燃え盛る村を改めてあとにした。

 後日、警察署で聞いた話、あの村は謎の炎上で建物は何も残らなかったらしい。生き残った住民も発狂しているか廃人となっており、「バケモノが、バケモノガ」とか「炎が」とか、それしか言わないらしい。

さもありなん。私はネットニュースのページを閉じてため息をついた。

END


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