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2ー⑦

今回は短めです。


(…うーん…可能性があるとしたら…やはりここかなぁ…)


 そこは神聖な力を宿す木(エーデルオーク)のすぐ近くにある祠だった。

 ディスティニーは可能性としてはなんとなく気付いていた事でも出来れば外れて欲しかった可能性を禁書庫で見付けてしまうと今までどうしても認めたくなくて目を逸らしていた可能性を視野に入れる必要もあると考えを改めてそれを回避するために仮病を使い学校を休んでいた。

 その間は探知魔法も使いながら家の敷地内で怪しい場所がないかを探りながら隅々(すみずみ)まで探っていて邸内の全ての部屋を改めても特に何もなかったので仕方なく聖域とされる森にある大きな木に向かってみることにした。

 そこで探知魔法を使用してみると祠の地下に不自然な程に真っ直ぐで細長い空洞があったのでそこに移動魔法で向かってみる事にした。

 中は真っ暗だったが火の魔法で灯りを点けると全体が明るく照らされ壁一面に壁画が描かれていたのでゆっくりとそれを見ながら進むと一つの絵に釘付けになった。

 それは白い服を着た人が一心に何かに向かって祈りを捧げていた。

 そこから次の絵は人の中から光が抜け落ちて何かの木に吸い込まれる絵だった。

 更に木は神聖なものとして人々に崇められ…次は…祈りを捧げていた白い服の人が木の枝に絡まっていた。


「これは…つまり…そういう事なのかな…」


 絵を前にしてポツリと呟き更に奥に進むと行き止まりなのか一つの部屋に辿り付いた。


「ここは…」


 中に入ると通路の時とは違い壁に設置されていた魔導具の丸い玉が自動で仄かに光り部屋全体を優しく照らしていた。

 そこは床が特殊な美しいエメラルド色の宝石のような美しい石で作られている部屋でよく見ると壁も同様の物で出来ていて宝石質の石で出来た美しい壁は仄かに光り不思議な事にそこは埃一つ無い部屋だった。

 正面には琥珀色の透き通った祭壇の台のようにも見える石碑のようなものが置かれておりそこには人が祈る姿が浮き彫りのような手法で描かれていた。


「なるほど…ここで祈るのか…これで最後ならここに来るのも悪くないだろうなぁ…」


 あれだけ必死になっていたにも関わらず今は自分でも信じられない程に穏やかで冷静な声が出ていて驚きつつも妙に納得していた。

 床には幾何学模様や何かの文字のような絵などが組み合わされた独特の紋様の魔法陣が描かれており恐らくその中心で祈るのだろうと漠然とではあるが理解した。

 とりあえず魔法陣を解析しようとして見ていると何故か頭がぼんやりとして何も考えられなくなり足が勝手に動いた。

 彼女が一歩、また一歩、と歩を進めるごとに壁からも魔法陣が現れて光りが強くなっていくと中央に着く頃には目を開けられない程に光り輝いていて最初は壁と同様に緑色をしていた床の魔法陣の光も中央に着く頃には七色に輝いて彼女は魔法陣の中央で気を失った。


(もう、いいや…)


 これが彼女の最後の想いだった。

 この時に意識が遠退き気絶している筈の彼女は部屋の中央で膝を付いて祈りの姿勢を取っていてそのまま何処かへ消えた。


「ようこそ…我のためだけの人。我は君の訪れをずっと待っていた」


 何処かで優しく温かい声がしたが足掻きすぎて心から疲れていた彼女は『挨拶しないと…』とは思っても目覚めたくなかった。


「眠り続けるならばそれもよいだろう。

 君は人として多く傷付いてきた…人は我を栄華を極めるためだけに閉じ込めてきた。

 虐げられてきた私達はとてもよく似ている…君の気が済むまで眠りなさい」


 声が終わるとなんだか心地よいもので包まれる感覚がして彼女はこの時に漠然とした感覚だったがやっと安心して心から休める場所に辿り着けた気がした。

 そしてこのまま眠り続けるのも悪くないと思えるとそのまま意識を手放した。




*****




「ディスティニー!何処だ!何処に行った!」


 彼女の父親のエドマンドは使用人達が慌てた様子で報告した事で娘が居なくなった事に気付くと青ざめていた。

 邸内の何処にもおらず庭などを探している時に空に異変を感じて見上げるとまた青ざめた。

 そこには昼間なのに美しいオーロラが空に現れていてそれはエーデルオーク侯爵家に伝わる古い昔話と酷似していた。


「ま、まさか…まだ早すぎる!」


 すぐに我に返ると慌てて国王への謁見を申し出ると国王も異変に気付きすぐに許可した。


「陛下!今すぐあの場所へ向かう必要があります。許可をください」


 急いで通された小部屋に入るなりエドマンドは慌てて口を開いて国王ノイリエスにはそれだけで通じると厳しい表情ですぐに移動した。


「そ、そんな…やはり…」


 そこには巨大な地下空間があり仄かに光る大きな木とその根本には人が余裕で入れそうな大きく透き通った薄桃色の花弁(はなびら)の蕾があった。

 その中にディスティニーの姿があり彼女は蕾の中央で穏やかな表情で横になっていた。


「ではやはり彼女は…」


 国王も初めて見る光景に驚いていた。


「ええ、間違い無いでしょう。この子は不思議な巡り合わせの日に生まれた特別な子供でしたから…」


 その声にはやるせなさが籠っていた。

 エーデルオーク家では古くから特殊な生まれの子供には親は愛情を注いではならないという仕来りがありそれは捧げ物として生まれる子供なので親が愛情を注ぐと本人が嫌がり親も儀式の邪魔をするからとされていて子供が生まれたら接触しないようにと厳しく決められていた。

 特に母親には会わせない決まりとなっていてそれは将来的に親と子が互いに割り切るためのものだった。

 そのため彼女は両親からの愛情を知らずに育ち親代わりなのは使用人達のみで家族間は冷えきっていた。

 婚約者も王族からと決められていた。選定方法も人を蔑むような者を選ぶのが仕来りでそれが当時に悪戯が酷かったアズライルだった。

 しかし今回は彼がディスティニーに興味を持ってしまった。

 それが良かったのか皮肉にも儀式は恙無く行われると誰にも邪魔されず達成されていた。





ここまで読んで下さって有り難うございます。

ディスティニーは休みの口実で具合の悪いふりをしてたので邸の中は大慌てです。

そしてとうとう真実に辿り着いてしまったディスティニー…優しいけど話し掛ける言葉は微妙な声の主は誰だ?

急な展開で彼女の父親はこの事実を認めたくない様子…捧げ物とは一体誰に?

ほぼ出てるのですがいよいよ全ての謎の詳細が明らかになる…予定。

謎が明かされた時に残された者達はどう行動して選択するのか…彼等の選択を温かい目で見守って下さると幸いです。

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