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ガルさんと一緒

「お嬢さん、良いのかい? 玉の輿ってやつのチャンスだったんじゃないかい? 」


「ガルさん、どこでそんな言葉覚えてきたんですか?」


 私は若干呆れながらそう言った。


「うん? 里にいるお姉様方が言っていたよ。彼女達は人化出来るからね、人とも暮らしたことがある者もいるんだよ」


 さすが異世界、ドラゴン人化しますか。

 まあ、そもそも喋れてますしね。


「私は玉の輿に興味はないですよ。私は健康で、いっぱい食べられて、好きなところへ行けるのが好きなんです。貴族の世界なんて魑魅魍魎の世界じゃないですか。私なんて頭からパクパク食べられちゃいますよ。それに彼らには好意ぐらいは持っていますが、結婚とかになってくると話は別です。よく考えて下さい。私は孤児ですよ、平民です。本人同士が好き合っていても周りはそうはいかない、確実に精神がヤラレます。私、胃が痛くなりそうなことは嫌いです」


「はは、お嬢さんぶっちゃけるね〜。それでも夢を見るのが女の子ではないのかい? 」


「ガルさん、夢見るだけでは生きていけないんですよ? よく巷の物語の中では平民が王子に見初められて、王子の婚約者に虐められるけど、王子がその婚約者を断罪して平民と結婚してハッピーエンドなんてありますが、アレってヤバいですよね? そもそも婚約者がいるのに平民の子と仲良くなる点でアウト、正直王子の婚約者に同情します。そして物語は大体結婚しました。めでたしめでたし〜で終わりますが、絶対その後大変なことになってますよ? 平民がいきなり王子と結婚ですよ? 価値観が違うし、受けてきた教育が違います。苦労の連続で王子が愛した平民は精神ヤられて最悪死にます」


 私が一気に話した内容を聞いてガルさんがプルプル震えている。


「そ、そんなに大変な目に合うのかい? 」


「はい。エライ目に合います。少しの好意だけじゃ生きていけないです」


 ガルさんが涙目で現実って厳しいって呟いている。

 うんうん、現実をわかってもらえて嬉しいよ。


「と言うわけで、私はのんびり冒険者を楽しみます。まあ、ガルさんも飽きるまで一緒に冒険しましょう」


「そうだね、私は人に比べれば長く生きるからトアが生きている間は近くにいようかな?」


 アレ? ガルさんさらっと一生一緒にいる発言ですか?

 まあ、私も会話が出来る相手がいるのは嬉しいですから良いですけどね。





 それから私とガルさんは、一緒に冒険生活をおくることになった。

 私はもともとソロでやっていたから問題ないし、ガルさんも会った時があの残念な感じだったけど、さすがドラゴン、小さくてもブレス攻撃は大抵のモンスターを消し炭にしていた。


「ガルさんのブレスは凄いですね〜」


「私から言わせればお嬢さんの方が人外だよ。なんで私のブレスが当たってもピンピンしていられるんだい?」


 別にガルさんに危害を加えられたわけではない。

 ガルさんが悪いんじゃなくて、私の不注意の問題だった。

 採取に夢中になり過ぎてガルさんがモンスターと戦っている真っ只中に突撃してしまったのだ。

 ガルさんが焦ってブレス攻撃を止めようとしたけど時すでに遅し、ブレスは私とモンスターを飲み込んだ。


 まあ、ガルさんは泣いたよね。

 号泣だよ。

 幼気なドラゴンにトラウマを与えてしまった。

 んで、私は泣いているガルさんの頭をそっと撫でた。

 その時のガルさんの顔ったら………ドラゴンってあんなに表情変わるんだね。


 私のこのボディーはスキル『関取スーツ』で出来ている。

 これはあらゆる攻撃を防ぐと書いてあったが、私もまさかドラゴンブレスをノーダメージでいけるとは思わなかった。

 こんな実験したくはなかったけど、これによって私はどんな攻撃も防げるとわかってしまった。

 ガルさんのブレスと私の防御力、最強の矛と盾、サクサクとクエストが進むね。



 ガルさんと一緒に過ごし始めて三ヶ月、二人での生活にも慣れて来た頃なんか変なのが現れるようになった。

 たぶんだけど白銀の剣関係かなって思う。

 

「うんうん、なんか物語のような展開があるのかな? ドキドキするねぇ」


 ガルさん、めっちゃ人ごとですね。

 ガルさんにいろいろ吹き込んだお姉様達は一体、人化してどんな生活をしていたんだ?




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