お友達?
「君、またこんな陽射しの強い日に来たの? 」
今私が介抱しているのは、最近よく見かける以前助けたコウモリ。
助けたからか懐いてくれたのは良いんだけど、遊びに来る日がお日様かんかん照りの日が多く、よくヘロヘロになっているのだ。
私は日陰に連れて行き、氷を出してあげる。
ほら、水分もとって。
ガルさんもこの懲りないコウモリには呆れている。
「来てくれるのは良いんだけど、もっと曇っている日に来た方がいいんじゃない? このままだと私のところに来る前に干からびちゃう日が来ちゃうよ? 」
この子、なんとなく私の言葉を理解しているような気がするんだよね。
案の定、私の干からびる発言にビビっているような気がする。
ところでコウモリって血も吸うのかな?
勝手なイメージで吸うのかなって思っているんだけど。
だから、軽い気持ちでコウモリに聞いてみた。
「ねえ、具合悪いんだったら私の血、吸う? 」
んで、なんでこうなった?
今私の腕の中には女の子がいる。
とても可愛い金髪、青い目のお人形さんみたいな子だ。
その子は私の首に可愛らしい牙でかぶりついている。
いや〜、軽い気持ちだったんだよ………。
まさかコウモリが、可愛い女の子に変わるとか思わないじゃん。
前にレインさんにあげたほどは吸われていないようだから、体型は維持されているけど。
「お〜い、コウモリさん。そろそろ回復したかな? 」
私の言葉に元コウモリが、ハッとした顔をする。
その顔もめっちゃ可愛いね。
「あわわわ! ご、ごめんなのだ! ものすごく美味しい血だからいっぱい飲んじゃったのだ! うう〜、本当にごめんなのだ〜。身体大丈夫? 」
涙目で私の心配をしてくれた。
「大丈夫だよ〜。私、健康そのものだし。それに血は、私が吸ってみたらって勧めたんだから気にしないで。それよりも気になることがあるんだけど………君はコウモリの獣人? それとも吸血鬼? 」
「はぅあーーー! 変身解けてるのだ! あ、あの、我は、その、えっと、うーんっと、………ごめんなのだ。我は吸血鬼なのだ。黙っていてごめんなのだ」
ふむ、このタイミングで吸血鬼ってことはレイン絡みかな?
私は素直に聞いてみることにした。
「君はレインの知り合いなのかな? 」
「ふえ〜〜〜。ど、どうしてバレたのだ? 」
「いや、だって、吸血鬼の知り合いなんてレインしかいないし、このタイミングで接触してくるならそうかなって」
「むーーー。そ、その、黙っててごめんなのだ! 我はレン。えっとレインの………親戚なのだ。その、アレなのだ! レインが初めて女のことを手紙に書いてきたから我も気になって。ほ、本当は遠くから眺めてるだけのつもりだったのだ。だけど、洞窟で大蜘蛛の巣に引っかかって………それで助けてもらって、優しい子だと思ったから近付いてみたのだ。で、でも、本当に悪いことしようとかは考えてなかったのだ! 」
「うん、別に君………えっと、レンちゃんが悪者だなんて思ってないよ。ただ、さっきも言ったけど暑い時にやって来てヘロヘロになっているから心配だっただけ。陽射しに弱そうなのに、なんでいっつもこんな日に遊びに来るの? 」
「そ、それは………こういう日の方が一族の者の動きが鈍いから抜け出しやすいのだ。でも、ここまで結構距離があるから、さすがの我もヘロヘロになってしまうのだ。でも、お主に血をもらったら元気になったのだ! お主の血はビックリするぐらい美味しいのだ! 」
「はは、私の血は吸血鬼の好みに合うのかな? レインも気に入っていたみたいだし」
「………決めたのだ! お主は今日から我の友達なのだ! 友達だから何かあっても絶対に助けるのだ! ………えっと、友達………なれるのだ? 」
「ふふ、喜んで。こんな可愛い友達が出来て嬉しいよ」
「う、うむ! 我も嬉しいのだ! 今日はもう帰るけどまた来るのだ! 」
そう言うとレンちゃんはまたコウモリに変身して元気に去っていった。
「お嬢さんはいろいろな者に好かれるね〜。さっきの吸血鬼は私よりも長生きしているようだったし」
「えっ?! レンちゃん子供じゃないの? 」
「あれは結構長生きだと思うよ。今度会った時にでも聞いてみなよ」