特別IFストーリー 完全攻略本ゲーマー
18時更新予定だったのに、寝落ちによって結果的に完璧なエイプリルフールを決めてしまったぜ!
あ、念のため恒例の注意書きですが……
これはあくまでIFストーリーなので、このストーリーに登場する人物、団体、その他設定は本編とは一切関係がありません。
というていでやりますが、以降の本編は基本的にこれを読んでる前提で書いてるので結局読んでもらった方が楽しめるかと思います!
ではでは、どうぞ!
目の前の「こうりゃくぼん☆」……〈フォールランドストーリー アルティメットガイド 完全攻略編〉を前に、ゴクリとつばを飲む。
もし、ここに本当にゲームの情報が詰まっていたとしたら、これはもう革命級の出来事になる。
(――ミリしらのままこの世界で過ごして、十年。ついに、真実が分かる、のか?)
思えば、ここまで色んなことがあった。
六歳になって、自分が転生者であると気付き、ここが昔やり込んだ〈フォースランドストーリー〉と一字違いの〈フォールランドストーリー〉の世界であると、初めて気付いた。
そこから九年かけて本編である学園入学の準備を整えて、何も分からないなりにここまで原作イベントを守護ってきた。
その結果が、果たして正しかったのか。
今、分かるのだ。
(お、落ち着け。まだ、読めると決まった訳じゃない)
普通に考えれば、これは単なるフレーバー。
ただの換金用アイテムに、それっぽいガワをつけただけの、意味のないアイテムだ。
つまりこの「こうりゃくぼん☆」は、実際には読めないからこそ成立する「ネタ」なのだ。
ただ……。
(現実化したこの世界なら、違うかもしれない!)
僕は期待半分、恐れ半分の気持ちで手に取って、ページをめくると……。
――読める!!
そこに書かれている文字が書かれていることに、歓喜する。
「やった! やったぞ!」
思わず、喜びの声が口から漏れる。
「そ、その本がどうしたんですか? え、えと、そもそも、どうして薬から本が……?」
急に声をあげた僕に、メイさんは動揺しているけれど、しょうがない。
これが錬金術というものなんだ。
――こんな棚ぼた的なことは想像もしていなかったが、やっぱり錬金術は最高だ。
今まで手探りでやらなければいけなかった、トゥルーエンドルートの模索と魔王討伐。
それが、この本によって飛躍的に楽になるかもしれない!
僕は震える手で、あらためて、まずは最初のページを開いた。
そこにあったのは、「本書の説明」。
(あー、あるある。こういう攻略本って、最初に大げさな序文とかがついてたりするんだよね)
まあこういうのは、適当に読み飛ばそうと、さっと目を落として……。
――――――
世界一ファクトリーが初めて世に送り出す乙女ゲーム『フォールランドストーリー ~夢見るワタシは恋の闇夜に堕ちる~』。
恋愛ゲームでありながら、骨太でやり応えのあるSRPGでもある本作は、ほかでは得られない素晴らしいゲーム体験をプレイヤーに与えるポテンシャルを秘めていると同時に、世の乙女ゲーマー泣かせな難易度を誇っている。
本書はそんな乙女ゲーマーたちの助けになるべく、あらゆるデータを収集、戦闘面だけでなく、恋愛面についても本作をサポートする「完全攻略」本である。
――――――
「……へ?」
脳が、バグる。
「な、え? ……へ?」
夢見るワタシは恋の闇夜に堕ちる?
乙女ゲーム?
SRPG?
全く意味の分からない文字が目に飛び込んできて、くらくらしてしまう。
「いや、いやいやいやいや!」
SRPGなのは百歩譲っていい。
まあ、妙に一度に出てくる敵が多かったり、フロア単位で戦闘勝利が決定したりするのは、むしろそれっぽい。
でも……。
世界一ファクトリーは、フォースランドストーリーのような男性向けのギャルゲーをたくさん世に送り出してきたメーカーだ。
それが、今さら乙女ゲームを作るはずがない。
それに、それに、だ。
もしこの本が正しくて、この世界が乙女ゲームだとしたら……。
背筋に、悪寒が走る。
取り返しのつかないミスをしてしまったような予感がして、震えが止まらない。
(本当に、世界一ファクトリーが乙女ゲーを作るなんて、ありえるのか? いや、だとしたら、僕が、今までやってきたことは……)
僕は、考えた。
考えて、考えて、考えて――
「……うん!」
――手にした本を、部屋の隅に設置したゴミ箱に放り込んだ。
「ア、アルマ様!?」
メイさんが突然の僕の奇行に驚くけれど、僕はすっきりとした気分だった。
(――やっぱり、この世界が乙女ゲームだなんてこと、ありえないよね!)
つまり、あの本は見た目だけそれっぽくしたパロディアイテム。
中身はデタラメ、でファイナルアンサーだ!
(近道をしようとするのはよくないな。これからも地道に原作を守護っていかないと!)
改めてそんな決意を固め、僕は今日も勤勉に、原作を守護っていくのだった。
真実をゴミ箱へシューッ!
超、エキサイティン!!





