第四百一話 えっ、錬成失敗!? 成功?
怒涛の連続更新だ!
早朝の道場。
開いた窓からさわやかな朝の空気が吹き抜ける中で、僕はへっへっへと笑いながら、大鍋をかき回していた。
「練れば練るほど、色が変わって……テーレッテレー〈世界樹の霊薬〉ぅ!!」
怪しい魔女ごっこをしながら僕がやっているのは、もちろん錬金術。
しかも今までのようなポーションではなく、スフィナさんから教わったレシピで作ったまともな薬。
そう、今回の主役となった〈世界樹の霊薬〉だ。
どうやら錬金釜を使った新式(?)の錬金術が、昔ながらの錬金術とはだいぶ趣の違ったものだったらしく、「うわーん、こんなの錬金術じゃないよー!」と泣き帰ってしまったスフィナさんだけど、レシピだけは律儀に書面に残して渡してくれた。
薬草の下処理をーとか、ここで葉をすりつぶしてーとか、フレーバーテキストも完璧なレシピ集。
まあ、実際には錬金釜を使えば素材の状態とかどうでもいいので、その辺は省略して材料だけを参考に、それら全てを釜にぶち込んで混ぜ混ぜ棒で練り練りすれば完成だ。
「うーん。面白いな、錬金術!」
これは、小学生の頃の自由工作とか、知育系のお菓子とか、そういうのを思い出させてくれる楽しさだ。
とにかく材料を入れて混ぜればいいのだから子供でも出来るけれど、使う素材と出てくるアイテムはガチなものというのもまたいい。
(〈世界樹の霊薬〉も、サスティナスに行った時にその辺りを歩いていたおじいちゃんに使っちゃったりして、結構減ってたからなぁ)
回復アイテムを自作出来る安心感というのは得難いものだ。
それに何より、
「ミニゲーム要素とかもないし、失敗しないのがいいよなぁ」
ああいうのはたまにやるのはいいのだが、必須のクラフトについているとだんだんめんどくささが勝ってしまうことも多い。
貴重素材を使うのであれば、なおさらだ。
その点、このゲームのシステムは失敗とかないから楽でいい……なんて、つい考えてしまったのが、フラグになったのだろうか。
「ひゃ、ひゃあああああ!!」
近くで掃除していたメイさんが、ちょっとした段差につまづいて、情けない声をあげた。
「メ、メイさん!?」
いや、それだけじゃない。
彼女が手にしていた花瓶の花が、まるで運命にでも導かれたように、すぽんと錬金釜に入り込んで……。
「ま、まずい!」
直後、錬金釜が奇妙に発光する。
嫌な予感を覚え、僕がメイさんを庇うようにして、その場に倒れ込むと、
――ボッカーン!
まるでテンプレのような間の抜けた効果音と共に、錬金釜が爆発する。
「メイさん、怪我は?」
「わ、わたしは大丈夫です。で、でも、錬金釜が……」
メイさんの無事を確かめてから、大爆発を起こした錬金釜を確認する。
しかし、
「いや、釜自体は大丈夫みたいだよ」
見れば、あれほどの爆発があったにもかかわらず、錬金釜自体はまったくの無傷だ。
ただその代わりのように、中に入っていた怪しい色の液体がきれいさっぱりと消えている。
「錬金失敗、か」
薄々想像はついていたが、さっきの爆発は錬金失敗のエフェクトだったらしい。
「ご、ごめんなさい! わたしのせいで……」
メイさんは真っ青な顔をして謝っているが、僕は錬金釜の中を覗き込んで、目を見張る。
様々な薬草や触媒を入れてどろどろの液体になっていたはずの釜の底に、今は四角い紙の束が置かれていた。
「……いや。もしかすると、ファインプレイだったかもしれないよ」
その紙束、いや、本を眺めて読み取れた情報は、とても興味深いものだった。
《こうりゃくぼん☆(換金用アイテム):異世界の電脳遊戯の攻略情報が書かれた書籍。使っても何も起きないが、好事家が高く買い取ってくれるらしい》
これは、世界一ファクトリーがたまにやるお遊び要素。
中世ファンタジー世界観に、ちょっとだけメタ的な現代要素をぶち込むお家芸だ。
それ自体は普通のことだけれど、今回はちょっと話が変わるかもしれない。
僕が一番注目したのは、その本の表紙。
何しろ、そこには……。
――〈フォールランドストーリー アルティメットガイド 完全攻略編〉という文字が、踊っていたのだから。
とまあそんなワケで、去年に味を占めて今年もやります!
エイプリルフール特別IFストーリー!
今年のテーマは
「アルマくんが原作ゲームの攻略本を手に入れてしまったら」
本編更新は今日の18時から!
IFでしか味わえないハチャメチャ展開をぜひお楽しみください!





