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第百九十九話 思わぬ過去

調子に乗ってトーナメント表作成サイトで表作ってたら遅くなっちゃいました!

挿絵が見れない人向けに、簡易トーナメント表をあとがきにも貼っておきます


「――うん。あの金髪ドリル……じゃなかった、リスティアさんは、何かやってるね」


 それが、トーナメント表を見た僕の見解だった。


「これだけで分かるの!?」

「うん。ほとんど間違いないと思う」


 トーナメント表をじっと見つめ、僕は力強くうなずいた。


「……ただ、あの人が何を企んでいたにせよ、それは抵抗出来ないほどの障害ではない、と思う」

「そんなことまで!?」


 トリシャが目を丸くしているが、現代のゲーマーがこの表を見れば誰でも同じ結論に至るはずだ。

 まず、トーナメントの組み合わせを、分かりやすくまとめるとこんな感じになる。



挿絵(By みてみん)



 学園は、出来た順に番号が振られているので、番号が小さいほど基本的に強い。


 つまり、順当にいけば第一学園である僕ら帝国の学園が一番強く、最近出来た特区の第六学園が一番弱い、ということになる。


 それを頭に入れた上で、僕らが勝ち上がった場合の対戦相手を見てみると、すぐに分かる。


 一回戦の僕らの相手は、第三学園。

 そして、その次の二回戦がリスティアのチームか、第五学園のチーム、ということになるが、これはちょっと不自然だ。


 なぜなら、チームの強さで言うと、特区のチームや第五学園も、一回戦目で当たる第三学園よりも格下。


 ――そして、ゲームの盛り上がり的に考えて、「二回戦で戦う敵が、一回戦で戦った敵よりも弱い」なんてことは、ストーリー構成上ありえないからだ!


 この大会は原作イベントっぽい会話や強烈なキャラが関わっている以上、ランダムイベントではなく、筋書きがガチガチに固められたイベントだと見るのが自然。

 だとしたら、「試合が進んでいくにつれ、対戦相手も強くなっていく」と考えるべきだろう。


 だとしたら、リスティアが何かイカサマを使って、一回戦の第三学園戦以上に戦闘の難易度を上げてくる、と考えるとしっくりくるのだ。


(でも、言ってしまえばリスティアのチームと当たるのは所詮は二回戦。決勝戦じゃない)


 もし何か小ズルい手を仕掛けてきたとしても、その脅威度は、決勝で当たるチームには及ばない、ということになる。


「……やけに自信あるみたいだけど。ほんと、レオっちって一体何を考えて生きてるのか、頭の中を覗いてみたいよ」


 どこかじとっとした視線に、僕はパタパタと両手を振った。


「まあ、これは単なる予想だから。一応、何か仕掛けられる前提の心構えでいた方がいいと思うよってだけだよ」


 実際には、あれだけ前振りをしたリスティアのチームは僕らと当たる前に負ける出オチの可能性もあるし、単純にリスティアのチームに何かイレギュラー的な強者がいて、第三学園を上回る強さを手に入れているだけかもしれない。


 ただ、


「……はぁぁ。分かった。分かったよ。いや、理屈はぜんっぜん分っかんないけど、レオっちが言ってることだし、無視出来ない。リスティア様が何かをしているって前提で、ちょっと調べてみるよ」


 トリシャは僕を信用してくれたらしい。

 どこかやさぐれた様子でそう言って、人ごみの中に消えていってしまった。


「……トリシャ、働きすぎで倒れないといいけど」


 その後ろ姿を見守って、「さて僕はどうしようか」とつぶやいた時だった。



「――ならその時間、わたしにいただけませんか?」

「えっ?」



 驚いて振り返ると、そこには完璧な笑みでこちらを眺める、フィルレシア皇女がいた。



 ※ ※ ※



 十分後。

 帝国の選手に用意された一室で、僕はフィルレシア皇女と向き合っていた。


「アルマさんにも無関係な話ではありませんし、少し、わたしが子供の頃の話を聞いていただこうと思って」


 そう切り出した皇女様の言葉に、リスティアたちとフィルレシア皇女が知り合いだったことを思い出す。

 そもそもリスティアたち特区組は、僕らというよりも、フィルレシア皇女個人に対して対抗意識を向けていたように思える。


 こちらの準備が整ったことを鋭敏に読み取って、フィルレシア皇女はゆっくりと話し始めた。


「あれは……そうですね。確か、わたしがまだ五歳になる少し前くらいの時だったと思います。その時のわたしは魔法が上手く使えなくて、誰も味方もいなくて……。いつも自分の部屋の隅に隠れて、一人で静かに泣いていました」

「え……?」


 突然の独白に、僕は思わず言葉に詰まってしまった。

 絶句してしまった僕を愉快そうに眺めて、彼女はクスクスと笑う。


「ふふ。わたしだって、生まれた時から何でも出来た訳ではありませんよ?」

「それは、そうだと思いますけど」


 今の完璧な皇女っぷりからは想像出来ない言葉に、思わず動揺してしまった。

 ただ、どうやら今回の話は、それが本題ではないようだ。


 彼女は懐かしそうに眼を細めると、続けた。


「ですが、五歳の誕生日の直前。『とある出会い』が、わたしを大きく変えたんです」


 ここまで言ったら、もう分かりますよね、と言わんばかりの視線に、僕もうなずいた。



「つまり、その時に出会った人物こそが、リス――」

「はい! レイヴァン・レオハルト! 貴方のお兄様です!!」



 ………………はい?

唐突に始まるのろけ話!



果たして幼き日のお兄様は何をやらかしたというのか、詳細は次回へ!

明日更新です!





付録 挿絵見れない人向けのトーナメント表


特区Aチーム

(リスティア)

第五学園チーム


第三学園チーム

帝国Bチーム

(アルマ)




特区Bチーム

第二学園チーム


第四学園チーム

帝国Aチーム

(ファイブスターズ)

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― 新着の感想 ―
更新できてて、すごいです! ウスバー先生は流石の筆力。 応援してます
“「――ならその時間、わたしにいただけませんか?」” ヒロインレース参戦か!? “ 貴方のお兄様です!!」” そっちかw
確かに無関係な話じゃない。 悪役令嬢さんの話に続かない訳でもない、かも知れない。
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