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春プリスタッフ独占インタビュー

ノリと勢いだけで書いたらクッソ長くなったので二話構成で出します!


本編とはあまり関係ないですし、こんなん通すゲーム会社は流石にない(と思う)ので、読みたい人だけ半笑いで読んでみてください!

乙女ゲーム市場に超新星のごとく現れ、たった数年で屈指のビッグタイトルに成長した「春プリ」こと、「遥かなるプリンスさま」シリーズ。

その成功のカギはなんだったのか?


今回は「遥かなるプリンスさま」を製作した世界一ファクトリーから、シリーズのプロデューサー兼ディレクターの「世田よだ たくみ」氏と、シリーズの立ち上げに企画段階から参加し、現在もシリーズのメインライターを務める「一介いちすけ」氏をお招きし、春プリの知られざる誕生秘話についてお話を聞かせてもらった。





| 乙女ゲーム開発のきっかけ |



記者:

早速ですが、お二人にお聞きします。

世界一ファクトリーはSLG、RPG要素の強い作品を開発してきた会社で、どちらかというと男性向け作品を多く出しているという印象だったのですが、どうして乙女ゲームを作ろうと思ったのでしょうか?


世田氏:

これは直球で来ましたね。


一介氏:

いきなり答えにくいところを(笑)


記者:

忖度なし、というのがうちの売りなので(笑)


世田氏:

まあ一言で言うと、当時ちょっとした閉塞感というか、頭打ちになってきてるな、というのは感じていたんですよ。

もうこの分野(男性向け恋愛ゲーム)だけで進むのはちょっと限界だぞ、みたいな空気が、会社全体に蔓延していたんですよね。


記者:

なるほど、それで女性向けの方に舵を切ろうと。


世田氏:

まあ、そうですね。

とはいえあくまで変化の方向性の一つ、という感じで、そこまで具体的に考えてはいなかったんですが……。


記者:

何か決断のきっかけがあったんですか?


世田氏:

なんと言っても、「フォースランドストーリー(※世界一ファクトリーが開発・販売したRPG)」ですね。

こいつはギャルゲー要素と硬派なRPG要素を合体させた、いわばうちのお家芸のような作品で、これを新しい看板として三部作くらいで作ることを検討していたのですが、お恥ずかしながら……。


一介氏:

売れなかったんですよね、全然!


記者:

ああー。

それで、「じゃあ次は乙女ゲーやるか」と?


世田氏:

それが……。


一介氏:

だったらよかったんですけど(笑)


記者:

どういうことでしょう?


世田氏:

乙女ゲーを作るのは、「次」じゃなかったんですよ。






| 初めての乙女ゲーム開発は「苦肉の策」!? |



世田氏:

さっきも言ったとおり、フォースラ(※フォースランドストーリーの略)はシリーズ前提だったんですよ。

なのでバグ取りの段階に入ったところから、見切り発車で並行して続編の開発に乗り出してたんですが……。


記者:

ああー(何かを悟った顔)


世田氏:

はい(笑)

お察しの通り、あまりに初動がひどすぎて、「これじゃ続編なんて出せないぞ」となりまして……。

ただその時点で、続編の開発は結構進行していたんですよね。


一介氏:

特にシステム班は手応えがあったみたいで、開発中止を告げたらガックリと来ちゃってまして。


世田氏:

その時に一介さんが言ったんですよ。

「じゃあもういっそ、これを乙女ゲーに改造するか」って。


一介氏:

いや、こっちは完全に冗談だったんですよ。

ですけど……。


世田氏:

私の方が真に受けたというか、「面白そうだな」って思っちゃったんです(笑)

で、二人で「もし本当にやるなら」みたいな仮定の話で盛り上がって……。


一介氏:

あの時が一番楽しかったですね……。

ただ、それで済まないのがこの会社の恐ろしいところでして(笑)


世田氏:

完全に酒の席の与太話のノリだったんですが、話してる間に具体的なところが固まってしまって。

まあどうせ却下されるだろうと会議にかけたら……。


記者:

通っちゃったんですか!?


世田氏:

通っちゃったんです(笑)






| 生まれ変わった作品 |



記者:

そんなこと、あるもんなんですね。


一介氏:

いやいや、普通はないですよ。

絶対にない。

うちだけですよこんなの。


世田氏:

元凶が何か言ってる。


記者:

元凶(笑)


世田氏:

まあ、アレですよ。

今流行りの異世界転生って奴です(笑)


記者:

いやぁ、確かにある意味ものすごい異世界ですけど。


一介氏:

最悪の異世界転生だ(笑)


世田氏:

一応ですね、真面目な話もしておくと……。

うちは開発の人数の割に各方面の人材がそろっているというか、外注が少ないからそうなった、って部分はありますね。


記者:

そういえば世界一さんは毎回、絵も音楽も全部自社製でしたね。


世田氏:

ボイス関連とアニメの一部は流石に外に頼んでますけどね。

あとはデバッグも一応専用のチームがいますし……。


記者:

なるほど。

では、全部自社で賄えるから失敗しても損害は最小限で抑えられる、と。


世田氏:

というより、チームを遊ばせておくとそれだけで損失なんですよ。

今思うと、「何もしないよりは」という焦りの気持ちが強かった気がしますね。


一介氏:

安物買いの銭失いって奴です。

いや、コンコルド効果(※続けても利益が見込めないのに、それまでの投資が無駄になることを恐れて引くに引けなくなること)かな?


世田氏:

否定は出来ない(笑)






| 修羅場を乗り越えて |



記者:

ギャルゲーと乙女ゲーというのはだいぶ違うものだと思うんですが、改修の作業は大変ではなかったんですか?


世田氏:

大変でもあり、楽でもあり、ってところですね。

ただ、今までにやったことのないことをする楽しさ、っていうんですか?

それはすごく感じましたね。


記者:

やりがいはあった、と。


世田氏:

そうですね、間違いなく。

あとは、かなり身構えて始めたんですが、やってみると意外と何とかなるな、と。


記者:

というと?


世田氏:

当たり前なんですが、ギャルゲーと乙女ゲーは構造としては似ているので、意外とUIとか素材なんかはかなり使い回しが効くんですよ。

だから、前のものを残しつつ必要なものを足す、というイメージですね。


記者:

ああ、どっちも恋愛がメインなのは間違いないですからね。


世田氏:

ただもちろん、設定や何やらを変更すると無数に矛盾点というか、「ズレ」が出てくるんですよね。

それに都度対応して、というのが想像以上にきつかったですね。


一介氏:

いや、こっちは死ぬほど大変でしたよ。

もはや毎日エナドリが手放せなかったです。


世田氏:

まあ、あの時に一番割を食ったのは間違いなくシナリオ班ですからね。


一介氏:

絵とか音楽と違って、流用出来る要素がほぼなかったですからね。

ほとんど全部、一から作り直しですよ。


世田氏:

でも実はその元凶も、一介さんの軽率な(?)一言という。


一介氏:

そこはほんとね!

開発が進んでシナリオ班がどんどん修羅場になるにつれて、言い出しっぺが僕なのがバレやしないかずっと気が気じゃなくて……。


記者:

(笑)


世田氏:

まさに、お前が始めた物語だろ、ですね(笑)






| タイトルの意味 |



記者:

ではそんな苦難の果てに完成した乙女ゲーム……ええと。


世田氏:

あ、タイトルは「フォールランドストーリー」ですね。

略称は「フォルスト」です。


記者:

あ、なるほど。

「フォースランドストーリー」から一文字変えたんですね。


世田氏:

実は開発用の仮ネームだったんですけど、いつからか正式採用されてましたね。

あとで広報部の方からは「紛らわしい名前つけるな」ってめちゃくちゃ怒られましたが(笑)


一介氏:

そこに「~夢見るワタシは恋の闇夜に堕ちる~」って長い副題がついてるんですが、これはフォースラと混同させないためでもあるんですよ。

流石にこれなら間違えようがないですからね。


記者:

なるほど(笑)

ええと、では、そんな苦難の末に完成した「フォールランドストーリー」の反響はどうだったんでしょうか?


世田氏:

いやぁ……。


一介氏:

世の中そんなうまく行くものではないので。


記者:

ダメだったんですか?


世田氏:

フォルストはまあ売れなかったですね。

たぶんフォースラよりも売れなかったんじゃないかな?


一介氏:

どうでしょうね。

ただ、フォースラよりはじわ売れしてたって聞きましたけど。


世田氏:

まあどっちにしろ、ですね。

売り上げ的には一言で言って、爆死、でした。


残当!!





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二巻
ついでににじゅゆも


― 新着の感想 ―
[気になる点] 生々しいインタビューだこと。 業界にお知り合いでも?
[気になる点] 三部作? フォルスラの続編は「フォールランドストーリー 〜《前作とは異なる副題》〜」だったりするんだろ…
[良い点] ツッコミどころ満載インタビューの生々しさがすごいです! ありますよねこういうファンが凶器持参しながら読むタイプの愛に溢れた記事 [一言] なんでキャラゲーで歴史戦略SLGみたいなことさせよ…
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