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平安京陰陽奇譚  作者: 柚杏
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7

都を見下ろせる木の枝に、小鬼が3鬼寄り添って座っている。

3鬼で情報交換に勤しんでいる。


『最近、晴明見かけないな。』


『まだ報酬貰ってないもんな。』


『……。(コクコクと首を上下に振る)』


『でも、清明が最近凄い形相で、都を走り回ってるの見たって聞いたぞ。』


『それは怖いな。』


『……。(ブルブルと身体を震わせる)』


『落ち着いた頃合いを見計らって、清明捕まえようか。』


『そうだな、何も怒っている時に行く必要無いもんな。』


『……。(コクコクと首を上下に振る)』


「つれないこと言うなよ。」


小鬼たちの背後から、地を這うような低い声が聞こえ子鬼たちは驚き飛び上がった。


「やっと見つけたぞ、お前達。」


飛び上がった子鬼たちは、我先にと地面に飛び降りて逃げようとする。

しかし声をかけた人物の方が上手で、地面に結界が張られており子鬼達は逃げる事が出来ずに3鬼固まり震えている。


『俺たち何も悪さしてないぞ!』


『そうだ、悪いことしてない。』


『……。(コクコクと首を激しく上下に振る)』


震えながら訴える子鬼達はに対峙している人物、安倍晴明は頭をかきながら小鬼達に近寄る。


「別に滅しに来たわけじゃないから落ち着け。」


子鬼達は不信げな表情で清明を見返すが、清明は気にする様子も無く子鬼達の前にしゃがみ込んだ。


「お前達に良い話を持ってきた。」


『良い話?』


『なんだ、なんだ?』


『……。(フルフルと怯えて震える)』


「お前達が喜ぶ事だ、お前達俺の式になれ。」


『どこが良い話なんだ?』


『どうして良い話なんだ?』


『……。(首を横に傾げて止まる)』


「お前達式というのは、陰陽師の使役する格式高い者を意味するんだぞ。式になれば色々な恩恵を授かり、名を持つ存在になれるんだぞ。」


通常妖に名前など無く総称で呼ばれる。強い妖怪や悪霊が個体識別の為に名を付けられる、その為魑魅魍魎達は名への執着が高い。

もし式となり名を呼ばれるとしたら、名を呼ばれる度に世界に名を刻み存在を強く残すこととなり、存在を強くすれば妖の力が強くなるのだ。


この幼い子鬼達は式という存在を知らず、名をもらう価値すら気付いていないと言う事になる。

予想外だと思うが、こいつらを逃がす気など無いので、両端に居た小鬼の肩をグッと掴み、怯える子鬼達に脅す様に話しかける。


「お前達、俺様の式になりたいよな!そうだよな、まさか断るなんて勿体ないことするわけ無いよな?」


畳み掛ける清明の目は血走っており、座った目をしていて子鬼達は恐怖に震えてしまう。


「お前達、式になりたいよな?」


この清明に逆らってはいけないと本能で悟った3鬼は、激しく首を上下に振る事で返事を返した。


「よっしゃー!道連れ確保!」


大きな声で聞き捨てならない言葉を言う清明は、勝ち誇ったように笑っている。

自分達の判断は間違っていたのかと、子鬼達はお互いの顔を見る。陰陽師である清明の意見に逆らう事は、弱い存在であるこの3鬼には出来なかったのだから…。


「そうなれば、早速サクッと名前をつけてしまわないとな。」


壊れたように笑っていた清明が、高笑をやめてこちらを見る。

3鬼は寄り添うながら、どうにでもなれといった雰囲気で清明を見つめていた。


マジマジと子鬼達を見た清明は、指をさして名付けていく。


「お前は色味が赤っぽいから『(コウ)』。」


『俺の名前は、紅。』


「お前は白い角が綺麗だから(セツ)。」


『雪…、おいらの名前。』


「お前は何時も青い顔をしているから、(ヘキ)だ。」


『……。(コクコクと頷くように首を上下に振っている)』


早速清明は式符にそれぞれの名前を書き込み、親指の皮を噛み切って血を式符に垂らして呪文を唱える。

すると式符が宙に舞いそれぞれの子鬼の前に行き、一気に青い炎を纏って燃えあがった。


「おし、これからよろしくな。」


微笑む清明の足元に子鬼達は集まって、我先にと頭を撫でてもらう。

そんなほのぼのとした空気をかもしている時、何かを察知したかの様に清明の動きが止まった。そして立ち上がり、一点の方向を見つめて舌打ちをした。


「ちっ、もう覚醒しやがったか!」


子鬼達は、いきなり険しい表情を浮かべて立ち上がった主に反応して身構えた。


「お前達、俺に遅れないようについてこい!」


言い終わるなり、視線を向けた方角に走り出した。

その後ろを説明は無かったが主が急ぐのならと、子鬼達は一生懸命付いて走り出した。

子鬼達に名前つきましたが、最初三原色で信号機トリオにしようかと思ったのですが、某NHKの子鬼トリオを思い出したので雪にしました。(笑)

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