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あけましておめでとうございます!
年末年始バタバタしており、更新が遅くなりました(汗)
本年もよろしくお願いします。
「敵では無いと言ったな、玉藻の仲間か?」
『選定で玉藻に会ったのですね。玉藻とは存在は違いますが、同じ主に仕えているというのは同じですね。』
ただただ巨大で溢れる圧は同じ様に感じるが、なにか違う点があるのだろうか?
「俺からみれば玉藻もお前も、強い力を持つ存在だと思うが。」
『玉藻は妖怪が神格化した個体で肉体を持ちますが、私はどちらかと言えば神に近いかもしれません。我々は肉体を持たず信仰心の力で象られた具像でしかありません、主の力を借りこうして姿形をこの現世に象って現れているのです。』
九尾で只者では無いと思っていたが、玉藻は既に神格化していたのか…。
その情報もっと早く聞きたかった、神格化した者に喧嘩ふっかけた俺よく生き残ったな。
この女の話しぶりだと玉藻と同格で、信仰心で存在しているって本当の神じゃないか!なんで普通に生活していたら出くわさない様な化け物級に、一介の陰陽師でしかない俺がここ数日で会いまくっているんだ?
しかもそんな存在を従えてる清華が凄いというか、清華が凄いから集まったのか?
頭痛してきた、考えるの辞めよ…。
「それで太陰…さんは、何故ここに?」
『清華様の力が増した為、こちらに現れる事が出来るようになりましたので。1番現状に相応しいと思う私が、こうして仕える為に参上いたしました。』
笑顔で応えてくれたのは良いが、聞き捨てならない言葉があったが…。
「現状に相応しいって…、さっきの我々って何人いるの?」
『我ら四神と八柱で、十二神将と名乗っています。
まだ弱く安定していない今の清華様のお力だと、この世に留めて置けるのは一神だけだと思うので、状況を我らで判断し代表が出てきています。』
玉藻みたいなおっかない存在が、さらに12人だと?危ない未来しか想像できないんだが!玉藻は清華が破滅を呼ぶって言っていたが、清華に従う者達だけでこの国簡単に滅ぼせるんでは…
現状に相応しいという状況で、太陰が出て来たという事は1番子守りができる人柄ということだろう。人柄?神柄?
太陰はまだ大人しい性格らしいが、残りの11人に苛烈な性格の者が居ると考えてもおかしくない。
思考しつつ太陰を見ると、こちらに少し寂しそうに微笑む。
『人ならざる存在は恐ろしいですよね。』
太陰からは強い力を確かに感じるが、その見た目は儚い花のように感じる。強者を恐れるのは本能だと思うが、太陰自体からは圧もなく恐怖は感じていない。
俺が必要以上に警戒を続けていたせいで、太陰を傷つけてしまったのかもしれない。
「確かに纏う大きな力に恐れはある、しかし太陰さんの事を怖がっている訳では無い。
無礼を詫びる、こんな俺だがこれから良い関係を築いていければ嬉しい。」
謝罪して握手を求めて手を前に伸ばすと、曇っていた表情が晴れ渡り、美しい微笑みで太陰は微笑んだ。
その美しい微笑みを見て、俺の鼓動がトクンと音を打った。照れて少し赤くなった顔のまま太陰を見ていると、握手を返そうと手を伸ばしてくれていて、この様に人との関わりで嬉しく感じるのは初めての事かもしれない。
あと少しで手が重なる瞬間、突如太陰の手の輪郭が薄れていく。
握る手を失い虚空を見つめた瞬間、首に刃物の冷たさが触れた。
正面に居たはずの太陰は居らず、青く長い髪を後ろで1つに束ねて流し。異国の鎧だろうか、胸当てを身に着けた鋭い視線で俺を睨んでいる女性が居た。
左手で器用に清華を抱え、右手に握られた槍の様に長いが、凪刀よりも刃先は彎曲して大きく長い獲物が俺の首に押し付けられていた。
『矮小なる人の身で、我らに触れようとするな下郎が!』
首筋に僅かな痛みが走り血が流れるのが分かった、この女は脅しではなく本気で俺の首をはねるつもりなのだと悟った。
両者の間に緊張が走った瞬間、大人しく抱かれていた清華が泣き出した。
「ちぇーりゅー、め!」
その瞬間目の前の女の輪郭がぼやけて、再び太陰が立っていた。泣きそうな表情の太陰を見て、身体に残っていた緊張の糸が切れて、その場に崩れ落ちた。
『清華様大変申し訳ございません、青龍が何か清華様の気に触ったようで。』
泣く清華を一生懸命あやし始めた、あの時清華が泣かなかったら俺の首は落ちていた。今更ながら恐怖で指先が震える。
「ちゃーいんちゃーいん、ちぇーめーの。」
察したのか太陰が清華を布団の上に置き、俺の首筋に走る傷を見て眉間に皺を寄せた。
『大変申し訳ございません、清華様の主様。我らの落ち度にございます、まさか青龍がこの様な事をするとは考えていませんでした。』
太陰の手が首の方に伸ばされ、先程の恐怖を思い出してビクっと身体に緊張が走った。その動きを感じたのか泣きそうな表情を浮かべた太陰は、首筋の傷に指を触れさせた。
確かに目の前に存在しているのに、触れられた首筋から感じるのは冷たい感触。
その冷たい指が、本当に人ならざる存在だと主張しているようだった。
おっかない系のお姉さん、青龍さん登場です。
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