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未来に行ったって変わりはしない。

作者: 鼎ロア


僕は、見えている。未来が。

次に何が起こるのか、次になにができるのか。

そんな未来が見えている。




夜道を歩く。

誰もいない夜道をひとりでに、考えず歩く。


なにやってんだろう。

自分でもそう思うくらいに時間の無駄なことをしていた。


「どこに行った方がいいかな」


どこにも行くところがないから、僕は自問する。

それは問いを出すことができずに僕の内側で反復しやがて消える。

「はぁ」

そうため息を漏らしつつまた歩き出した。


「そうだ、未来を見てどこに行くか決めよう」


そう思いつき未来を見に行く。



白い景色がゆっくりと広がり、僕を包み込んだかと思うといつの間にかにそれは消えて道路らしき地面が見える。


道路を沿ってたんたんと歩き続ける僕がいた。

どこに行こうとしているのかさっぱりわからないがそれを同行する。

途中途中、電信柱が邪魔となり道路側を歩いてはいつものの、朝方だからなのかまったく車が走らない。


(ん?なんだろう、あれ。男?こんな時間に?)


僕は僕の進行方向にある一人の男性に目を通す。

その男は確かに人間で、電信柱にもたれ掛かりながら気を失っている。


あまりにも生気の抜けたような様子なのでさすがにびっくりする。

近くに行ってみると「すぅすぅ」と寝息のようなものが聞こえる。

別に死んでいたわけではないようだ。


しかし、どうしたのだろう。

その男は確かに寝息はあるもののまるで生気を感じない。

まるで安定同位体のように動かないロボットのようで、とても存在感が薄い。


するとその近くに僕がやってきた。

「まあ、もういいかな」

少し男性に近づいた後そういい、僕は目をまた前方に向け、歩いていく。

どうしようもなくなり僕は現実世界へと戻ろうと思った。

それは瞬く間に形へなっていきまたもや白いまばゆい光が僕を包み込んだ。



「ただいま」

いつの間にかにそういっていて少し恥ずかしいと思った。

そう考えつつ、結局なにも決まらなかったので僕は道路沿いを歩く。


それから、たぶん3時間程が経過した。

その時にはだんだんと夜明けが見えてきていて薄青い光が見えていた。

また少し歩いていくと電信柱に横たわった男らしき物が見えた。


なんだろう、あれ。


そう思いつつ歩みを進める。

そして近くまで行き、顔を見る。

その顔はまるで生気を失ったかのような青ざめた顔だった。

確かこの人は気を失っているんだっけかな?

だとしたらお酒かな。


(いや、お酒を飲んだだけではこうはならんだろ!)


そう心の中でセルフ突っ込みを入れつつ、一応生死の確認をした。

うん、しっかりと寝息立ててる。未来の通りだ。


「まあ、もういいかな」


そうつぶやき、また行く当てもなく歩きつづける。


どこにも着かずに、目的地を作らずに、ただただひとりでに歩みを進める。

安定同位体のように安定した、変わらない行動をとって、僕は動きつづける。

未来を見て、行動を変えずに、未来の通りに僕は進める。

未来を変えてしまっては、いけないから。


Thank you for reading!

久しぶりですね。

さて、今回のお題の発表です。

お題は!「電信柱」と「同位体」でしたーーー。

正直、同位体に関してはさっぱりでした。

わかんないです、あんなの。

なのでこれかな?って言う感じでやってます。なんか違かったら教えていただけると幸いです。



未来は、変えるんじゃない、沿うために存在する──。

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