盗人発見
『いやあ、楽勝だったな』
『まさかヴィーヴルのガキを見つけられる何てな、そこそこデカイ宝石を持ってやがったから本当にラッキーだぜ』
野盗くずれの連中が街道を歩いていた
『やりましたね頭!』
頭と呼ばれたガラの悪い男は血のついた手で赤い大きな宝石を弄びながらニヤニヤ笑っていた
『喉の宝石が割れたのが惜しかったがなあ』
『ありゃあ、頭が蹴ったからですよ、喉に当たって割れたんすから』
『強過ぎるってのも考えもんだなぁ、ギャハハハ』
下品に笑う男たちの背後から凄まじいプレッシャーが膨れ上がる
『そんな強いんなら、手合わせ願いたいねェ』
カッ、と目映い光が放たれ野盗の前に巨大な稲妻が轟音を響かせて落ち
そこに巨大な穴が穿たれる
そうしてバケツをひっくり返した様な雨が降り始めた
狼狽える野盗たちの前に、目付きの悪い二人の男が現れた
片方は灰色の髪に赤い瞳の長身な男、両肩に大鴉を乗せている
もう片方には和装の男が佇んでいた
鳶色の長い髪をした男
双方ともに口元にこそ笑みを浮かべていたが、目は一切笑っていない
『いやあ、ヴィーヴルから宝石盗んだのはお前さんらかい…探すのに苦労したぜ』
薬師が男たちに歩み寄る
『…単刀直入にいう、ヴィーヴルの宝石を置いてとっとと失せろ
そうすりゃあ手荒な真似をしないで、見逃してやる』
『はあ?ふざけんな、せっかく手に入れたお宝を誰が…』
言い終わる前にまた凄まじい音と共に稲妻が落ちる
『口の利き方に気を付けろよ、次はうっかりお前の頭上に落としてしまうかも知れんからな』
聖職者の手には赤い雷の槍が握りしめられ、バチバチと放電していた
肩に止まった鴉たちがけたたましく鳴く
『どうする?素直に返してくれりゃあ、手荒な真似をしないですむんだが…』
薬師が短刀を取り出す、凄味をきかせた声音で続けた
『やるって言うんならとことんやるぜ俺らは』