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愛情爆発

可愛くて可愛くて仕方がなかったんだよ

「街に帰ったらギルドマスターのテュールに引き渡すか」

「良いな、テュールは話が分かる良い奴だから…間違いなくこいつらギルドから追放されるだろうよ」

「ああ、テュールならやるだろうな」


小さな竜は親にとりすがり泣いていた、小さな池ができるほどだ


「……可哀想になァ……お前も、母ちゃんも、何も悪いことしてねェのになァ……」


侍が悲しげに親の竜に触れた、すると微かに竜の双眸が開いた


竜はまだ生きてたのだ、まだ息があった!


「聖職者ァッ!薬師ィッ!生きてる!竜の母ちゃん生きてるぞォッ!」


二人は急いで竜の元へ駆け寄る 竜の母は弱々しく鳴く そして、何かを訴えるかのように、視線を動かした


「良かった!生きてたんだな!良かった!」


「よしよしよし!今とっておきの薬草使ってやるからな!」


薬師が塗り薬を竜の胸の傷に塗る


「全力で癒してやるからねェ、待ってろよォ?」


侍は目を閉じ、愛の女神ヘルンに祈る


「女神よ、全ての者の母よ、どうか、この者らに慈悲を」


親の竜の傷口を輝く光が包み込む

その光はやがて消えていく 侍は竜の頭を撫でてやると、竜の子は嬉しそうに侍の手に擦り寄った。


「ほらよォ、母ちゃんとこに行きなァ」


侍に促され小さな竜は親竜に目一杯甘えている


その様子を見て

薬師は号泣し始めた、着物の袖で涙と鼻水を拭っている


「うっ……ひぐ……うぅ……よかった……ほんとに……よかった……うぅ……」


聖職者も、がらにもなく泣いていた


「泣くな薬師…泣く…っ…な……うぅ……」

「おい聖職者まで泣いてんじゃねぇかァ……」


「良かった…本当に良かった…」


竜の子は心配そうに聖職者に近寄りきゅうきゅうと鳴いた

そして聖職者の中の何かが爆発して竜の子を抱きしめた


「坊や!坊や!!本当に良かったなぁ!良かったなぁ! 」

「おま、聖職者?!」

「あちゃー……聖職者が壊れちまったぜェ…まァ気持ちは分からなくもないけどなァ」


侍が苦笑すると、竜の子は聖職者の腕から降りて侍の足元できゅうきゅうと鳴いた

まるで湖面に映った星の光りの様な無邪気な明かりを湛えて

【ありがとう!】と鳴いている様だった


「吾、なんかこの子を生んだ様な気がするんだがよォ?気のせいかィ?いや、きっと気のせいじゃねェなァ?生んだなァきっとよォ?」


そう言いながら竜の子を抱っこした 竜の子はきょとんとした顔で見つめてくる


薬師が叫ぶ


「待て待て待て落ち着け侍、絶対に生んでないから、吾、なんかこの子を生んだ様な気がするんだがよォ?気のせいかィ?じゃない、お前、絶対生んでないから」


「いや、絶対生んでるってェ、じゃなけりゃこんなに愛情は振り切れねェよォ?なァ?竜の坊主ゥ?お前も吾のこと好きかァ?吾もお前の事好きだぞォ?お前が吾の子供なら良いのになァ」


竜の子はきゅう!と鳴いて頬を舐めた


「ははは、可愛いねェ?」

「いかん!愛情メーターが振り切れて侍がおかしくなった!聖職者!なんとかしろ!」


「何をバカなことを言ってるんだ侍」


聖職者が前に出る


「そうだ言ってやれ!ガツンと!」


「俺も何か生んだ様な気がするんだ」

「聖職者ァッ!!」


聖職者は慈愛の微笑みを浮かべながら竜の子の額に口付けをした


薬師は頭を抱えて地に伏して叫んだ


「やめろぉお!てめぇら揃いも揃って愛情メーターが振り切ってんのかよォッ!?何か!?誰かを何かを愛したいのか!?」


薬師は地面に突っ伏して泣き始めた

竜の子が侍の腕から降りて薬師に近寄り涙が伝う頬を優しくぺろりと舐めてきゅうきゅうと鳴く、薬師が竜の子の方に顔をやると竜の子は薬師の顔に甘える様に頭を擦り付ける


「ごめんむり愛情メーターが振り切れてるのは俺もいっしょだわ、おいで坊主」


薬師が手を広げると竜の子は嬉しそうに飛び込んできて薬師の首元にすり寄る


「きゅうきゅう」

「ああー…無理ィ…可愛いィ…うちの子になるかぁ?」


親竜が【どうしよう、この人たち】みたいな顔でフギンとムニンを見る


フギンは【「ごめんね、ちょっと竜の子が可愛すぎておかしくなってるんだ」】と言いたげに鳴き


ムニンは【「しょうがないよ、あの人らそう言う性分だから」】と言わんばかりに肩をすくめる仕草をした。

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