5/69
日課の散歩
薬師は朝の散歩が日課
『ふう、昼の散歩は気持ちが良いなあ』
『お前、朝も似たようなこと言ってなかったか?』
のんびり川辺を歩く薬師に聖職者がぼやく
『1日三回の散歩は体に良いんだぜ』
『おじいちゃんか…』
『うるせえ』
聖職者の肩には二羽の鴉が止まっていた
足場が悪いからか聖職者の体が揺れる度にフギンとムニンの体も揺れた
クァクァと困った様に鳴いている
『ほら、フギンもムニンも歩きにくいって困ってるじゃないか』
『いや、そいつら肩に乗ってるだけだろ?』
フギンとムニンはクァクァと鳴いているが、どうやら薬師の散歩に文句を言っている訳では無いようだった
ムニンが翼を羽ばたかせて川の向こうへ飛んで行く、それにフギンが続いた
『どうした?フギン、ムニン』
聖職者が慌てて追いかける
『何かあったのか?』
薬師も後に続いた