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人の祖
しかし、嵐の神も大層疲れはててしまいました
三柱の巨人を平らげたとは言っても
力をすべて振り絞り戦ったのですから
疲れた嵐の神は共に戦った雷の神に支えられ
巨人の骸から生まれた世界に降り立ちました
生まれたばかりの月の明かりが、虚ろだった世界に生まれたばかりの島を照らします
すると、死んだ巨人の体から蠢くものが現れました
それは小さな泥の塊の様な存在でした
意思を持たない、小さな存在でした
よろよろとあちらこちらにぶつかりながら、ゆっくりと
泥の塊は死の神の側に近付きました
何かを乞うように 死の神の足元まで来て
小さく小さく震えていました
雷の神が驚いていると死の神は静かに泥に歩み寄ります
弱々しく動くそれを見て泥の塊に触れました
不定形の泥に形を与えました
自分を模した存在を作ったのです
小さな小さな存在
それが人の祖になりました




