ユールスニアへ!⑦〜そろそろ本題!!〜
ユールスニアに入ったエルドナスたち。
入って早々によくわからんゴロツキたちと出会い、タバコの名産地である村で自分たちについて考える時間を作ったりと…
完全にここに来た目的を見失ってしまっていたのではないでしょうかという展開ばかりが続いておりました。そろそろエル君もここに来た目的を思い出してほしいものです。
「さて、忘れていたわけじゃないんだけどさ、いろいろと寄り道もしちゃったわけだからそろそろちゃんと始めようか!」
宿屋でご飯を食べているみんなに向けて唐突に話し始める。
「何よ急に…いつものことだから良いんだけど」
「それもそうだね。エルくんってそういう所あるよね〜」
「まったく…いつもつきあわされるこちらの身にもなってほしいものですわ」
えっと…なんかごめんなさい。
「お兄ちゃんたち次は何するの?」
「そろそろミナのお父さんとお母さんを本格的に探そうと思ってね」
「ほんとに?」
「うん。ミナの話だと大きな街の近くに家が会ったって言ってたよね」
「うん。おっきな塀のある街だったよ」
大きな塀のある街か…
「そうと慣れば行き先は1つだ。目指す場所はユールスニアの中央都市だ!みんな明日の朝には出発するから今日のうちにしっかり休んでおけよ」
「わかったわ」
「ほーい」
「わかりましたわ」
「うん!」
その夜はそれで解散になって朝を迎えた。
「よし!みんな行くぞ〜」
張り切ってちゃんと早起きできたから清々しい気持ちで外で出発の決意を口にしたのに後ろにいるうちのメンバーたちは不思議な顔をしている。
「なんだよ…なにか言いたそうじゃん」
「だってエルくんがこんなに朝早くから起きててこんなにちゃんとしているなんて誰も思ってなかったから…ちょっとびっくりしてるんだよ」
うるさいぞそこのドラゴン。
「これは嵐の予感ですわ。きっと大きな嵐が起きるのです。エーシェそうだと言ってちょうだい」
「エル君が行くところに何も起きないなんてことなかったからどうせ嵐みたいなことが起きるとは思うけど…今回の嵐はとっても大きそうね…」
ほんとにこいつら…
「なんだよちゃんと気合い入れて起きたのに!なんだよ!ふてくされるぞ!」
誰に何と言われようともふてくされてやるんだもんね!
「お兄ちゃんどーしたの?」
あ、なんか大人気なくてごめんなさい…
「よし!もうなんかどうでもいいや!さっさと行くぞ野郎ども〜」
「「「お〜!」」」
なんとも元気のない残念な返事であるがそれでいい。こっちとしてもそんなに気合を入れられても出鼻をくじかれてしまっているからこれくらいが丁度いいのだ。
みんなが馬車に乗ったのを確認して、僕が運転席(と呼んでいる場所)に座り馬車を動かし始める。
「昨日のうちに街の人達に聞いたら中央都市まではだいたい2日くらいかかっちゃうのと途中に集落もないらしいから残念だけど一回野宿をしないとだめらしいよ〜」
「嫌よ」
「嫌ですわ」
おぅ…女性陣からの反発が半端ねぇ…
「そんなこと言っても距離は変わんないからね…」
実際の距離は変わらないんだから変えられるのは…スピードか!
「ヒスイ…とりあえずあがいてはみるからいるもの魔法よろしく」
「えー…だるいけどそれ以上にこの二人がイライラしているほうが困るなぁ…わかったよ〜ほい」
ふわっと馬車を走らせていた時に感じていた正面から風が弱まるのを感じる。
「オッケーオッケー。ただ、これだけじゃ倍の速度までは出ていない気がするなぁ…」
ここまでの経験でも残念ながら2倍の速度で移動ができたことはなかったもんな…
今までの経験上だとヒスイのこの魔法で得られる効果はだいたい1.5倍程度、もう少しなんだけどなぁ…
「ヒスイこの魔法ってもう少し強くかけることできたりはできないの?」
「本気でやってもいいけど、きっと馬車の周りが真空になるよ?僕とカミラはなんとかなるだろうけど、エルくんたちは…」
うん。それはだめだね。血液が蒸発するんじゃないかな?
「それはそれは酷い死に方するだろうから一旦本気でかけてもらうのはやめてもらうことにするよ。というか微調整ってのはできないの?」
「そんな難しいこと言わないでよ〜僕涼しい顔してるけどこの魔法結構難しいんだからね?動き続けるしくねくねしている道でもそれに合わせてるんだからもっと褒めてくれても良いんだよ?」
こいつさらっと恐ろしいこと言ってくるな…
確かに僕がこういう物を対象とした魔法を使うときは魔法の発動起点を対象の物体の座標に固定するからそういうめんどくさいことはしないんだけど、その概念のない他の人達は細かな調整を常にしているってことに…
「待って?今の話だと【道具箱】使ってる時もいつも微調整し続けているってこと?」
「んーあれだけは別かなぁ〜まぁそんなわけで微調整は常にやってるからむ〜り〜後はエルくんなんとかして〜」
それならば仕方がないか…
「じゃ、カミラはなんかできたりしない?」
「これまた唐突ですわね。私が使えるのは影の魔法と水系統の魔法しか…」
ですよね〜
「じゃ、可能性は低いかもしれないけどエーシェは?」
「終始失礼ね。そのとおりだから更にムカつくわ」
なんかごめんね…
「そうしたら…どうすっかなぁ〜母さんみたいに重力魔法なんて使ったことないしなぁ〜」
「「「それだぁ!!!」」」
一斉に馬車から響く声に体がビクつく。
「なになに?みんなどうしちゃったの?」
急に周りのみんなが大きなお声を出すからミナも驚いているようだ。
「お母さんが使えるならエルくんだって使えるはずだよ」
「そうね。それにエル君はまだ使ったことないだけで使えないと決まったわけじゃないわよ」
ほほー?君たちは何を買いかぶってくれているんだい?
「いや待て待て…使ったことない魔法を使えっていうのは無理があるよ」
僕の言葉に後ろから「いやいやいや」という言葉が聞こえてくる。
「エル君がそれを言うのは不思議でしょうがないわね」
「そうだね~。エル君が自分の得意技ができないみたいなこと言ってるのは冗談にしか聞こえないよ」
「私も今までと聞いている話が違いますわね。ふざけた魔法しか使わないという噂はどこにいったのです?」
知らんわそんな噂!!
「だいたい!僕が使っている魔法には基本的には自分の使える魔法を工夫して作ってるの!そもそも理論すらわかんないような魔法はできないって!」
「それを考えるのがエル君の仕事でしょ?」
えぇ…そんな無茶なぁ…
「理論がわかんないって言われてもなぁ〜エル君はお母さんにあの魔法がどんな物か聞いたことなかったの?」
「母さんがあれ使うときって父さんにブチギレてる時だから聞くに聞けないんだよ…興味はあったけど」
後ろから目撃者たちの同調の「あぁ…」という声が聞こえる。一人木陰の隙間からだけどね。
「というかヒスイ君?崇高なる存在である君ならあの魔法がどういうものなのか知ってるんじゃないの?」
そもそもヒスイは僕らの国に魔法を伝えたドラゴンなんだから知ってるはずだよね!ねぇお願い!知ってて!
「んーあれねぇ…僕が伝えた魔法とはちょっと違うというかなんというか…」
なんだろう珍しく歯切れが悪い気がするなぁ…
「どうしたんだよヒスイ。珍しく歯切れが悪いね」
「だってあれ…僕が伝えた魔法じゃないんだもん。あれはきっと僕が伝えた魔法が派生して生まれたものだと思うんだよね〜」
あれ?ちょっとまって?確か僕が聞いた話と違うなぁ…
「今ある魔法って全部ヒスイが伝えたものなんじゃないの!?」
「私もそう聞いてるわね」
「だいたい教えた側が全部その内容覚えてるなんてことありえないんだよね〜。でも僕がなんとなくでも覚えている内容の中にあんな魔法は存在しなかったと思うんだよね〜。ま、割と前のことだから忘れているだけかもしれないけど」
歯切れが悪かったのは…前のこと過ぎてあんまり覚えていないからってことか…このジジィめ
「だとしたらあの魔法を使うのは…」
「でもあれでしょ?あれって土の性質の魔法なんだからその性質を利用していると思うけど、僕はそういう小難しいことを考えるのはめんどくさいからエルくんに任せるよ〜」
まぁ、そういうのは僕の仕事だよねぇ〜
「じゃあ、僕達の知識王であるエーシェさん魔力の性質についてよろしく〜」
僕そういうのあんまり得意じゃないからね〜。
「はぁ〜…まぁ良いわ。最低限は知ってると思うけど、火は温度上昇、水はその逆、正属性は癒やし、風は物質の移動、土は物質そのものに作用するの。ここまでは割と明確なんだけど、それ以外の2つ光と闇に関しては少し曖昧なのよね。私の知っている一番しっくりくるのが光が神に近しい能力で闇は邪神に近い能力であるというものね。まぁ、これに関しては賛否両論あるけど今は関係ないでしょ」
賛否両論あるのか…そう言えばあれだ。実際の神と言っているアティの魔力は僕の使っている光属性の魔力とは異質な部分があるように感じるんだよなぁ。あれはなんというかそれはまた別の話って感じの物だったという抽象的な表現になってしまうなぁ。
邪神に近いと言えば例のあいつはその部類だったと思うんだけど、カミラが使っている魔力とはまた違う。近しいって表現は言い得て妙なんだろう。
「えっと…そうすると土属性の魔力は物質そのものに作用するってことだから…母さんのあの魔法はうちの父さんというある種物質に対して作用していたと考えれば良いのかな?」
「おそらくはそうね。私の記憶が蘇るくらいには唯一無二と言えるほどのものだから固有魔法に近い気もするけど、原理としては今のエル君の言っていたものが一番近いと思うわよ」
「そういうことなら…その逆をやればこの馬車自体の質力を減らすことができるってことになるよね〜。あーなんとなくわかってきたかも…」
そう言って頭の中でイメージを膨らませていると後ろの馬車から話し声が聞こえてくる。
「おにーちゃんたち何の話をしてたの?」
ミナ…可愛い反応をありがとう。
「ミナは気にしなくていいですわ。あの程度でわかってきてしまうのですから変人の領域ですもの」
おいこらカミラ…
「あはは!確かにそうかも!エルくんってこういう時はいつもと違うんだよね〜。なんていうか話す時にいつもよりも早口になるいうか説明口調になるというか…」
えぇ…それは向こうの世界ではヲタク口調というんだと思うよ。
「それなのに基本的な知識には抜けがあったりして私もよくわからないのよね」
ほんとに興味のあることしか頭に残らないタイプのめんどくさいやつでごめんなさいね…
「さっきからうるさいぞ〜?とりあえず君たちが話している間になんとなくできたから試してみても良いかな?」
「良いわよ」
「はいよー」
「わかりましたわ」
「みんないつもこんな感じなの?」
僕らには僕らのノリってのがあるとは思ってたけど、ミナからすると不思議な環境なんだろうな。
「じゃ、行くよ〜。みんな違和感があったらすぐに言ってね」
【重力軽減】
魔法の発動対象は馬車そのものに設定。
重力の基本的な考え方は物体自体が地面…つまり惑星の中心に引っ張られている状態だと僕は思っているしそう定義して、それをへらすためには逆のベクトルの力が必要になると考えれば…
もう魔力で下から押し上げたら良いんじゃねってことになった。
ということで…下から同じ位の大きさの立方体を作っておりゃってやってみます。おりゃ!!
ぐんっともともとの重量で少し沈んでいた馬車が上に上がる感覚に襲われる。
「わわ!」
「ういてる〜」
「変な感じがしますわね」
「エル君これ大丈夫なのよね?」
ええ、きっとたぶんおそらくは…ね?
馬車自体の重さが軽くなったため今までと同じ力で引いていた馬たちも少し落ち着きがなくなっている。
それをなだめて少し経つとまた馬車自体の速度が早くなっているように感じる。
「これならさっき話してた時間短縮の話はなんとかなるかもしれないね」
そう…このときはそう思っていたんですよ…はい…。
〜1時間後〜
「エル君だんだん口数が少なくなってきているみたいだけど、どうかしたのかしら?」
後ろからエーシェの声が聞こえてくるけど…ぶっちゃけもうどうでもいい。しんどい辛いもう嫌だ。
「エルくんどうせ魔力が切れかけてるんでしょ〜?こんな魔法というか魔力を長時間出し続けてたらそりゃそーなるってわかりきってるのにね〜」
「意外と単純なことがわかっていないのですわね」
うるさいぞ人外ズ!!
「あぁ〜も〜むり!!限界!!」
魔法を解いた瞬間に馬車が少し下に沈む。
「ま、普通の人からすればエルくんの魔力はバケモノだよねー。僕らに近しい存在であるくらいには保有してるよね」
「ヒスイ様がそういうのでしたらそうなのでしょうが…私は人類の普通というものがよくわからないですわ。このあたりもエーシェに聞くのが良いんでしょうけど…」
「あれと一緒にしないでほしいわね。そもそもどのくらいの規模の魔法だったとしても継続して使用し続ければその間魔力をずっと消耗し続ける状態になるわ。保有している魔力の量が言葉を解する種族の中で一番少ないと言われている人類の中ではあれは異例中の異例と思ってほしいわね。ヒスイの言葉を借りるなら本当にバケモノよ。それで足りなくなったら相手から奪えるんだからそれもおかしいわよね」
君たちはこんなに頑張った僕に対してねぎらいの言葉の一つもないのですかな?
「おにーちゃんすご~い!」
ありがとうミナ…そんなことを言ってくれるのは君だけだよ…
その後馬と僕の休憩のために一度馬車を止め、若干嫌がるカミラとヒスイから魔力を勝手に奪い再び魔法を使い…僕達の視界の先に建物が見えてきたのだった。
「ミナが言ってたのはあれかな?」
「そう!あれだよ!」
やっと目的地が見えた!
到着するまでに魔力が若干足りなそうだけど、そのへんはアティの魔力を当てにすることにしますかね…
【ユールスニアへ!⑦〜そろそろ本題!!〜】最後までお読みいただきありがとうございました!
そんなわけでまた魔法の話でしたね。
この話を書くに当たって考えていた魔法というものを僕の中でももう一度考え直す機会になりました。そしたらこんなに遅くなりました(テヘペロ)
まぁ、ちょっと本業が本経していただけっていうのもあるんですけど、それは置いておいて、苦手って言っていた土属性の魔力もパワーで使いこなし始めるエル君は何なんでしょうね全く。今回の魔法がもしかしたら今後役に立つことがあるかもしれないですね〜。予定は未定ですが。
さてさて、今回も久しぶりの更新となりましたが、やっと舞台は物語の中心となる場所に…長かったなぁ…(更新と更新の合間が)
そんなわけで次回からは話がちゃんと動き始めると思いますので!ここからはパソコンに向かうモチベーションが大事という状態です!頑張れ僕!!
次回は…再会とかですかね。




