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ユールスニアへ!④〜血統魔法〜

タバコを手に入れた流れからヤニゾンの家で勝手に始まった魔法講義会。

ヤニゾンの存在感はほとんどないかもしれない今回ですが、ま、いいでしょう。

「んで、その血糖魔法ってのが異質だってのがわかったんだけど、何がそんなに違うの?カミラには悪い気もするけど、カミラのあの魔法は魔力を纏う影が敵を襲うものでタネにさえ気がつけば対応をすることはできるよね」

「「「それはお前だけ!!」」」

一人この会話に取り残されてしまっているヤニゾン氏以外の3人から全く同じツッコミを入れられる。

「はぁ…ほんとにエル君は自分の特異性に気がついていないようね」

割と深めのため息をつきながら解説担当のエーシェはうなだれる。

「エルくんが自分のことをどう評価しているかしらないけど自分が思った通りの魔法を自分で作って使うなんて僕らみたいな存在でも難しいことなんだけどそれわかっていってるのかな?」

「きっとわかってないですわ。ヒスイ様や私のように長い命を持つ種族ならありえることかもしれませんが、人間にはありえない話ということを全くわかってませんわ」

なんで僕こんなに責められないといけないの?

「よし、エーシェ先生!話をもとに戻そうか!このままだと僕の心が折れちゃう気がする!」

「はいはい。エル君のさっきの質問だけど、まぁ…エル君なら対策を立てることはできるかもしれないわね。ただ、それはあくまでも丁度いい物を持っていた時に限ると思うわ。実際、エル君はカミラと戦ったときは()()()()丁度いい魔法を持っていただけだと思うわ」

そう言われればそうであると納得してしまう。

「そう。だから、もし今後エル君が対応できる魔法を持っていない相手に遭遇した時にはどうすることもできないと思うわ。それが血統魔法や固有魔法と呼ばれる物の怖いところよ。他の人が使うことができない魔法つまり未知の魔法というだけで警戒することに越したことはないわ」

確かに知らないことが最大の敵になるかもしれないな。

そうと決まれば情報集めをするしかないな。

「ヤニゾンさんはこの国にある血統魔法がどのようなものなのかご存知ありませんか?」

となれば、地元民に聞くのが一番の近道ですよね!

「っは!な、なんですか!?」

おい、ヤニゾンお前今の話聞いてなかっただろ…

「だから、血統魔法のことについて知ってることはないかなって聞いたんだけど」

「いや〜。いかんせんそういった魔法を使う方は限られていますから、噂程度の話しか聞いたことはありませんな。この国で噂になるような血統魔法を使うのはこの国を裏で牛耳る4つの家系の長と言われています」

4つの家系ね。

とりあえず納得したふりをしてみたけど、全くわかんないのは黙っておこう。

「4つの家系とは東のコニーニョ家、西のウッチェロ家、南のトーポ家、北のカヴァッロ家です。彼らは国の政府が統治しているこの国を裏からすべて牛耳っていると言われています。その家の当主が奇妙な魔法を使うと伝え聞いたことはありますが、それがどのようなものなのかまでは詳しくは流れてきていませんね。唯一聞いたことがあると言えば、家名はその能力を表すと言われているくらいですかね。これもどこまで信じていいものやら」

長台詞をありがとう。コニーニョってのはこの前のゴロツキたちが所属していたところだよな…それ以外は聞いたこともないな。

えっと、まとめると…

東西南北にそれぞれこの国を裏から操っている家系が居る。

その家長と呼ばれる者たちが血統魔法を使う可能性がある。

その能力に関しては不明だが、家名と関連がある可能性がある。

ってところか。

「僕にはその家の名前が何なのかよくわかんないんだけど、この国の古い言葉だったりするの?」

「そうです。コニーニョはうさぎを表し、ウッチェロは鳥、トーポはネズミ、カヴァッロは馬を表します。ただ、それ以上のことは何も」

うさぎに鳥、ネズミ、馬…全くわからん!!!

「えーっと、情報は得られたんだけど、そもそも論の話で悪いんだけど、この世界にの人間が魔法を使えるようになるきっかけを与えてくれたヒスイ君に聞きます。お前なんか知ってることあるだろ?」

僕の言葉にほげーっとしただらしない顔をしたヒスイがこっちを向く。

「きっかけを与えたからと言ってそのあとの発展のことまで詳しいわけ無いでしょ?」

それもそうか…

「確かに」

「でしょ?そんなことまで僕興味ないし」

そうだった。それがヒスイだった。

「そもそも僕、カミラの魔法を初めて見た時はびっくりしたくらいだからね?こんな魔法もあるんだ!って」

うーん。そういうもんなのか…ということでこの人外たちは参考になりませんな。それでは英才許育を受けたお姫様よろしく!

「じゃ、こういうことに詳しいエーシェさん!追加解説をよろしく!」

「ないわよ」

「え?」

「だからないって言ってるでしょ?私達の国ではそういった特殊な魔法を使う人達はほとんど居なかったの。だから自然と凡庸性の高い一般魔法を研究することが中心になったの。だから、私がこれ以上知っていることはないわ」

えぇ〜頼みの綱だったのに…

あ!そっかそういうことか!

「ってことは、2ついいこと思いついちゃったんだけど、聞いてもらえるかな?」

僕の思いつきにはいいことがないんだよなぁと諦めた空気が流れる。

「1つ目は、臨機応変に対応すればいいんだよ!主に僕なんだけど、必要な魔法を作ればいいだけなんだからなんとかなるでしょ」

やっぱりという残念な空気が流れるがお構いなしに僕は話を続ける。

「2つ目はみんなの協力が必要なないようなんだけど…みんなが強くなることが必要だと思うんだ」

「「「!?」」」

話を聞いていたみんなが目を見開く。何故かヤニゾンまで。お前は違う。

「カミラは見ていたからわかると思うんだけど、本気で僕らが最後に戦ったのって王都のときだと思うんだよね。ヒスイはどうだったかわかんないけど、少なくとも僕はできることを全部やりきってもあいつに勝つことはできなかったと今でも思う。あれから強くなったなんて微塵も思っていない」

「そうだね。僕も正直なところ元の姿に戻ったとしてもあいつには勝てなかったと思うよ。でも、どうして急にエルくんはそんなことを思ったの?」

これは前世の時にゲームをやっていた感覚からくるものだからなんとも言いにくいものだな…

「だって、レベル差が開いた状態なら素手でボコればよくね?」

なんて言えたらなんて楽なんだろうか…

「いや、敵がいくら強くても僕らのほうが強かったら勝てるよね?」

これが残念な僕の頭がひねり出した最善解である…

「あはは!確かにそうだね!僕もその意見には賛成!」

「そうですわね。これまで強くなろうなんて思ったこともありませんでしたが、苦戦するくらいならばそれもいいですわね」

すごく笑顔の人外(二人)とすごく嫌そうな顔をする人間(一人)

「エーシェすごく嫌そうな顔してるけど、エーシェがちゃんと戦っているところみたのすごく遠い記憶なんだけど?」

「それは、どんなときでもエル君が突っ走ってくからでしょ?それに最近はヒスイも一緒になって行くし。たまにカミラも。だから私は戦う必要はないの」

そう言って正当化しようとしているが、残念ながらそうはいかない。

「エーシェさん最近動いていなかったから…ね?」

「エル君!?何が言いたいのかしら?」

いや〜だってエーシェさん確実にちょっと…むちっとしたよね?

確かにここまでエーシェさんにお願いしていたのは後方支援だけど、最近あれですよねほんとに動いてないですよね?そろそろダイエットの時間が必要かと思うんですけど…

「わかったわよ。たまには運動も必要よね。そう。たまには必要なだけよ。健康な肉体を維持するためにはこの二人と一緒じゃだめなのよね…」

そうなのよねぇ〜この二人は食べても全く体型に対して影響ないからね〜一緒と思っちゃだめだよ。しょうがない人外だから。

そう考えると人外種って色々とずるくないか?ヒスイはあれだけ肉を食べても…いや、あれはそういう魔法だから別に見た目はいくらでも変えられると考えると最凶だよな…カミラは、そうだよね。体の構造から違うんだろうねきっと多分おそらく。

「みんなで強くなるのを目標にすることはいいんだけど、どうやって強くなればいいの?」

「私もわかりませんわ。そもそもそういった目的のために行動したこともありませんから」

あー…1個だけいい案思いついたんだけど今言うことではないか。

「エル君悪い顔してるわよ?何か思いついたんでしょ?」

なんだよ。言ったら全員全否定してくるくせに。言うけどさ。

「エドガーさんに…」

「「「それは絶対嫌!」」」

ですよね〜。あの人は人外より人外だから…

まぁ、なんだ。よくわかんないけど、とりあえずそれっぽいこと言ってみるか。

「あれじゃない?自分とは何かを見つめ直せばいいんじゃないかな?ヒスイならドラゴンというものを見つめ直して、カミラなら吸血鬼という自分を、僕とエーシェなら人間にできることの可能性を考えてみるだけでもちょっとは変わるんじゃないかな?」

ちなみに自分で言っておいて自分の答えは全くわかってない。

「自分を見つめ直すか〜やったことないねー。確かに面白そうかも!」

「種族を見つめ直すのですか…そうですねやってみましょう」

「私とエル君が同じくくりってのが納得行かないけどやってみるわね」

エーシェさんはなぜここで毒を吐くのか…嫌いじゃないけど。

そう思いながら僕は再びキセルに火を灯す。

スーッと一つ大きく吸い込んで香りを楽しみ、吐き出す。

「じゃ、今回の旅行…じゃなかった、依頼中に答えが見つけられたらいいねくらいの感覚で頑張ってみよう!」

ま、あれだろ…僕は最近静かな自称神様との約束も守らなくちゃいけないからね。

「そんなわけで、今回の依頼で成長することを一つ目的に頑張ってみようか!あ、ヤニゾンさん」

「え?な、なんですか?」

「タバコとりあえず10日分で!あと、道具一式もよろしくおねがいしますね」

「ありがとうございます!!」

そうして、僕らはヤニゾン氏の家を後にして再び宿屋に戻ったのであった。

「あ、そうだ。宿屋に戻ったら僕ちょっと長時間黙ってるかもしれないけど、気にしないでね。ちょっとした考え事するだけだから」

「うわっ!あやしい!普段のエルくんならそんなこと絶対言わないのに」

僕の言葉に最初に反応したのは口の悪いドラゴンくんだった。失礼だぞコノヤロー!

「そうね違和感を通り越して気持ち悪いわね」

そして、この奥さんの冷たい一言…僕らって仲悪いんでしたっけ?

「いいことではないですの?」

おお!?ついにこのパーティーに僕の発言に対して後方支援をしてくれる人物が現れるなんて!ありがとうカミラ!

「この人が喋るとろくなことがありませんから。いつもほんとに私達を振り回すことを生業にしてますもの」

やっぱりこのパーティーに僕の意見を押してくれる人なんて居なかった…

「へいへい。でも、ちょっと邪魔しないでね。真面目な考え事する予定だからね。みんなでお酒でも飲んでゆっくりしててくれ」

とひらひらと手を振りながらもちょっとふてくされて部屋に戻る。

1人部屋に戻り、ヤニゾンに用意してもらった僕用のタバコに火をつけて一息つく。

そして、声に出さずに自分の中だけに問いかける。

「最近忙しいと言っていたけど、今大丈夫か?」

〈あら、久しぶりねエル君。そうねーちょっと落ち着いてきたから大丈夫よ〉

久しぶりに自分の頭の中に響く頭の中の声を聞き、少し安堵する。

「じゃ、ちょっと悪いが付き合ってくれ。どうすればいい?」

〈それじゃ、ちょっと準備するから待っててね〉

アティがそう言ってから少しの間を置いて僕の意識が落ちていくような感覚がするのであった。

目を開けると、そこに居たのは久々に見る着物姿のアティであった。

「こうやってお話するのも久しぶりね。今日は何を聞きたいのかしら?」

そう言って僕の目を覗き込んでくる。

「今日はちょっと色々と聞きたいことがあってね。長くなっちゃうかもしれないよ?」

「全然いいわよ?最近久しぶりに仕事っぽいことしたら肩凝っちゃって。エル君とも話したいなと思ったのよ〜。それでそれで?最初は何?なんでもいいわよ!これでも神様なんですから何でも聞いて!」

ふふーんとちょっと荒い鼻息を吹き出しながら大きめな胸を張る。

「じゃ、最初は…()()()()()()()…かな?」

僕の言葉を聞いて、アティは表情を変える。

「いいわよ。いつかは話さないといけないと思っていたことでもあったから。エル君も薄々気がついている部分もあると思うけどそのあたりも含めて全部話してあげるわ」

【ユールスニアへ!④〜血統魔法〜】最後まで読んでいただきありがとうございました!

さてさて、珍しく意味深な雰囲気で終わってみました!

そんなわけで、依頼もそうなんですけどエル君たちのこの旅での目的も決まりましたね。作中で書こうかすっごく迷ったんですけど、入れなくてもいいかなーって思って入れなかった内容をあえてここで書きますね。

そもそも、なんで強くなる必要があるのかと言えば…それが僕のRPGのプレイスタイルだからです!だってしんどい戦いするの嫌じゃないですか〜。

僕が生まれて始めて触ったRPGは親からもらったおさがりのド○ゴン○エスト4(PSリメイク版)でした。小学校低学年だった僕は防御力強化とかなんてわからずとりあえず強い魔法と回復だけでなんとかしてました。そしたら、表のラスボスを倒すのに必要だったレベルが70でした(笑)。それ以来僕のプレイスタイルはパワーでぶん殴るになったわけです。

と、いうことで今回の章ではちょっとエーシェ・ヒスイ・カミラにフォーカスしたお話をやる予定です。まだまだ書きたい思いつきはたくさんあるのでそのあたりまで飽きずについてきてもらえるとありがたいです。


さて、次回ですがここまで引っ張っておいて割と一般的な副題にしてみようと思います。

エル君自身が言った自分を見つめ直すとはどのようなことなんでしょうか?

次回!〜異世界転生〜お楽しみに♪

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