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初依頼③~お肉を焼いた匂いは食欲を刺激する~

一角熊の討伐に来ていたエルドナスとエーシェの二人。森に入ってみて出てくるのはスライムとスライムとスライムと…。この森スライムしかいないんじゃないかという不安に駆られるくらいにはスライムにあってきた二人。さて、お目当ての熊さんに出会うことができるのでしょうか?

森に入って1時間以上が経っただろうか。

残念ながらスライムフィーバーは終ることがなく、僕はエーシェからの攻撃により命の危機を感じていたのだった。

「だいぶ森の奥まで来たんだけど、そろそろエーシェからの攻撃にも飽きてきたんだよね」

「スライムが出てくるのが悪いのよ。あと…」

「僕がエーシェとスライムの射線上にいることが悪いんでしょ。それはわかったから」

「それにしても出てこないわね一角熊。森鹿も出てこないんじゃ困ったものね」

今回の依頼のターゲットは一角熊だが、同時に見せられた依頼書の中にあった森鹿もまだ見ていない。というかスライム以外の敵はほぼ見ていない。

「大き目の石みたいのあったら座って休憩したいねー。ずっと気を張っているのも疲れるからね」

「そうね。そうしま…また出た。【火弾フェーゴ】」

「わっ!ちょっ!」

ボシュというおとともにスライムが解けていくかのように縮んでいく。ほんとビビるわー。

スライムに関してはサーチアンドデストロイなのやめてほしいんですけど…。

「ほんと早く出てきてくれないかな熊。僕もスライムと一緒になってしまいそうだし」

「そうね早くしないと日が暮れてしまいそうだし、天気も変わりそうだからさっさと済ませたいわね」

いや、そういうことじゃないんだけど…でも、それ言うとたぶん話長くなるから言わないでおくんだ。僕ってほら平和主義だからね。

「顔に出てるわよ?」

「はい。すいませんでした」

無駄口をたたきながらも森を進んでいくと、ちょうど探していた大き目の石というか岩があった。

「エーシェ休憩しよ!」

「なんでそんなに休憩に貪欲なのよ」

「だって、なんか結構奥に来たから熊とかがいつ出てきてもおかしくないじゃん?休めるときに休んでおいた方がいいんじゃないかなと思って」

「一理あるわね」

ということで、岩に飛び乗って休憩をすることに。持ってきておいた携帯用の干し肉をかじりつつ飲み物を飲んであたりを見回してみる。

「やっぱり熊がいるのって洞穴なのかな?」

「森に洞穴なんてあるのかしら?」

「うーん。でもこの森そのまま山に続いているから山に近い位置にはあるかもしれないね。可能性の話でしかないんだけどね」

「そうするともう少し奥まで行かないといけないわね。帰るときには完全に夜になってしまうのは心配だけど、そこまで行ってみるのはありね。今日の収穫が何もなしって言うのも嫌なのよねー。何よりこんなにスライムだらけの森に来たのに何もなしって嫌じゃない」

一番は最後のが理由だろうな…。

「んじゃ、方針も決まったし!行きますか山の方に!」

休憩を切り上げて山の方に向けて歩き出す。やはり途中でスライムさんにはエンカウントしてしまい火の玉が飛んでくる事件は発生しましたが、もうこの数時間で慣れてきたので何とも思わないわけではないんですけどもう諦めました。

「やってきました山!見つけました洞穴!」

「で、見つけるのはいいんだけど、どうするのよこれ」

「それはねー。一つ思いついたことがあるんだけど、試してみてもいい?」

「私に危害が加わらないならいいわよ?」

「思いついたら試してみましょっか!」

背中に背負っていた弓を手に取って構える。

創作するのは一定時間後に爆発する弓矢。

設定時間はどうしようか…どれくらいの距離があるかわかんないからあれだ着弾した瞬間に爆発することにしよう。威力の調節はよくわかんないんだよなー。ちょっと火が出る程度でもいいんだけど、目的は熊を驚かせて外に出てきてもらうことだからな。ちょっと強めにしてみようか。

「行くよー。エーシェはちょっと離れてて~」

天に向けて構えた矢を前に向けて構えながら左手の親指と右手の親指を話して構えていく。火の矢を装填して放つ。

ひゅんという音とともに弓が打ち出される。ちょっとだけ中が見えたけど結構深いらしいなこの洞穴。

「何にも起きないじゃない」

「そうだねー。あれー?おかしいn…」

ドゴォオオオオオオオオオオオオオオオオン!!!

「え?ちょ?何?」

「やべ、ちょっと強すぎたかな」

目の前にあった洞穴からは火が吹き出し崩れてしまった。やべマジでやりすぎた。

「何を考えていたのよあなたは!」

「いや、生き物って本能的に火を怖がるじゃん?実際僕もエーシェの火の玉怖かったし。だから洞窟の奥に火があったら怖くて出てくるんじゃないかなと思ったんだけど、ちょっと威力の調整を間違えちゃったみたい」

てへぺろ☆とやってみたんだけど、許してもらえませんでした。

「次にやるときはもっと威力を押さえて私の火弾くらいの威力にして」

「了解!」

もう一回やっていいんだ。てっきりもう禁止って言われると思っていたというのは黙っておこう。

「というわけでもう一個見つけました洞穴さんです!」

「エル君威力は抑えるのよ?」

「あいあいさー!」

「そろそろ雨降りそうだからさっさとやるわよ!」

「あいあいさー!」

弓を引き絞って火の矢を作る。威力はあの時見たエーシェの火弾くらいの威力で…いつもよりも抑え気味で…よっしゃー!いっけー!

ひゅんという音とともに矢が打ち出される。

「今回も時間かかるわね」

「まぁ、待っていればそのうち」

ゴォという音と何かがこちらに近づいてくる音がする。

「どうやらビンゴみたいね。エル君準備!」

「了解!」

筋力強化ボデラーソ】発動!

ドッドッドという音が近づいてきている。さて、一角熊とはどんな奴なんでしょうかね?

洞穴から飛び出してきたのは、3メートルくらいあるけもくじゃらが出てきた。

「うわでっか!こっわ」

「ビビってんじゃないわよ!」

「ビビってないよ!思ったより一回り大きかっただけ!」

「そういうのビビってるって言うのよ!」

と言い合ってたら、こっちを敵と認識したのかけもくじゃらがこっちに向かって走ってきた。

「エーシェさんどーするよこれ」

「え、考えてなかったの?」

「ええ、まあ…」

「とりあえずよけなさい!」

走ってくる熊がこっちに突進してくるのをぎりぎりまで引き付けて横っ飛びしながら回避する。その間にエーシェは後ろの方へ距離をとる。

確か熊は時速40キロほどのスピードで走ると聞いたことはあるのだが、こいつ絶対それより速いだろ。

たぶん60近く出てるだろこれ。化け物めー!

「エーシェ!足下に向けて火槍を!」

「言われなくてももう準備してるわよ!」

僕が言うより先に体の周りに5本の火の弓を展開させ始めていた。さすがっすパイセン。

「【火槍ランツァ・ディ・フェーゴ】」

放った火の槍をよけながら僕の方にガンガン進んでくる熊さん。その巨体でどんな俊敏性視点だよこいつ。

さて、困った。こいつの機動力はなかなかのもので、こいつにぶつかられたらさすがに無傷ではいられないだろう。何とかしてこいつの機動力を奪う方法を考えなくては。

機動力を奪うとすれば足を攻撃するのが一般的なのだが、エーシェの火の槍を躱した機動力を考えると、僕の弓でも当たるかどうか怪しいな。

「と、いうことでとりあえず避けはできるんだけどどうするエーシェさん」

「一発当たればいいんだけどね。エル君何とかして止めてみて。当てるから」

「ちなみに聞きますけど、当てるのは熊ですよね?」

「何言ってんの当たり前じゃない?」

いや~前科ありますし?

とはいっても、止めろと来たか…どうしたものか…。えーっとできるだけ取りたくない方法なんですけど、しょうがないかぁ…。

「エーシェさん。とりあえず確認。なんかあったら回復してくれる?」

「え、まぁ当然するけど」

「OK!無茶するけど大目に見てね?」

「は?」

俊敏強化アジリダ】解除。【筋力強化ボデラーソ】×2!筋力強化極振りじゃい!

「ほら来てみろ森のくまさん!受け止めてやる!」

「え、本気で言ってる?」

「怪我したらよろしく!」

がしっと向かってくる熊を正面から待ち構えて首元をつかむ。うっわ獣臭い!生きているからしょうがないけど、想像していなかった攻撃だな…。エーシェさんはやくぅ…。

思ったより僕自身へのダメージはなさそうだが、筋力強化様様だな…。

「エーシェ!頼む!」

「任せて!【火弾フェーゴ】」

僕が組み合っているのとは反対側の足に火の玉が向かっていく。よかった…僕のこと狙っているわけではないんですね。ホッとしましたよ…。

火の玉が足に当たった時にギャッという声で僕は思いっきり吹っ飛ばされる。バカ力じゃねーかこいつ。

「エル君!」

「だいじょーぶ!」

くるっと回って地面に着地する。はい10点!でも、エーシェには通じないネタだから口には出さないけど。

「さて、狙い通り前足の片方をやったけど効果のほどはいかほどでしょうね…」

「走るそぶりはなさそうだからエル君行ってらっしゃい。火弾はいつでも打てるようにしておくから」

そんな人任せな…。

「ま、行きますよー」

剣を抜いて熊に突撃する。熊は攻撃を受けた足をかばうように腕を振ってくる。それを剣ではじいてみたんだけどやべえなこいつエドガーさんの一撃より重たいんだけど…。体重が重たいからなんですかねずっとこれさばき続けるのはさすがに厳しいな。

さっきかけた三重筋力強化のおかげか前足の片方をケガしているせいなのかはじいた時に熊がバランスを崩したのを見てケガしたほうの足に追い打ちをかける。できるだけ弱ってるところをつついたほうが痛いもんね。人にされて嫌なことは敵対したときに思いっきりやってやれってのが信条なもので…。

足を攻撃したときに相手の足が焦げたにおいがふわっと香ってきた。こ…これは!

「エーシェ!」

「え?なに?」

「この熊って食べれるのかな?」

ひゅ~っという風が僕らの間を通っていった気がした。あれだ…滑った時のやつだ。

「た、食べれるんじゃないかしら?」

「よっしゃ!絶対食べる!」

「なんでそこでそんなにやる気になってるのよ!」

「おいしいごはん大事!」

グオオオオオオ!という大きな咆哮が熊から発せられる。怖いなー。でもお前は今日のご飯にけって下から絶対に狩ってやる!怖くない怖くない。あれはおいしいお肉。

「エーシェ火弾二つ用意しといて!一つは足近くに威嚇として、そうすると片足になるだろうから残っている前足にもう一回ぶつけてやって!」

「わかったわ!」

「カウントダウン行くよ~!3!」

走り出して熊の正面に出ていく。目標がまた前に出てきたことで完全に視線を僕の方に集中させている。狙い通りだ。

「2」

剣を構えて威嚇のために何度か剣を振ってみる。熊はそれに当たらないようによけつつ剣に集中をしているようだった。これも狙い通り。

「1」

思いっきり振りかぶって斬りつけるふりをする。

「0!【火弾フェーゴ】」

僕から見て熊の10㎝右側に火の玉が着弾する。狙い通り熊は片足をあげてよける。あげた足の方に移動する。

「エーシェ!2発目お願い!」

「わかったわ!【火弾フェーゴ】」

これも見事先ほど当たった足にもう一回火の玉が当たる。お肉の焼けたいい匂い…じゃなかった。自棄になったのかあげていた足を思いっきり振り下ろしてきた。これは、そろそろ決められそうだな。

「エーシェさん。耐えきれなかったら助けてね」

「え?」

ガキンと音を立てて爪を受け止める。先ほどかけていた筋力強化のおかげで耐えきれないことはなさそうだけど、耐久戦はきついな…。思いっきりやってやるか!

「うぉぉおおおおおおおおおおおおおお!」

一度沈んでから思いっきり上に向けて熊を押し上げる。バランスを崩した熊はそのまま後ろに倒れる。

「ごめんね」

熊に飛び乗り、そのまま首を切り落としてとどめを刺す。

「ということで依頼達成!達成部位はどこだっけ?耳?角?爪?」

「角よ。私解体とか苦手だからやってちょうだい」

ごろっと転がっている熊の頭から角を切り取って袋に入れる。これで依頼達成か…。

雨が降り始めてきた…。

「雨も降り始めてきたみたいだし帰りましょ」

「ああ…依頼終了だね…」

剣を弓に持ち変える。ここは静かにやらなくてはいけない。できるだけ相手に気づかれないように静かに構える。

「エル君?」

雲が広がる空に向けて弓を構える。ゆっくりと、ゆっくりとエーシェのいる方向に向けて弓を構えていく。使うのは自分の持っている矢の魔法の中でも最速の光の弓。気が付かれても避けられなければいい話なのだから。

「ちょっと、エル君?なんでこっちに向けて矢を向けているの?」

僕は静かに弓を構えずづける。

「確かに、何度か魔法を当てそうになっていたのは謝るけど、急にそんなことするなんて笑えない冗談はやめてよね」

雨脚が強くなり、周りの音は雨が降る音だけが包み込む。

「エル君も…そうなの…?みんな私を…やっと仲間ができたと思ったのに…いや…いやああああああああああああああああああああああああ!」

雨の音を切り裂くように響く。それをを聞き終える前に僕は矢を放った。

「初依頼③」最後まで読んでいただきましてありがとうございました!今回はいつもと違って最後の方がシリアスな雰囲気でしたね。割と精一杯の雰囲気作りだったんですけど…流れがちょっと強引すぎたでしょうか…?次回どうなっちゃうんでしょうね?

【次回予告】

一角熊を倒した二人だったが、急にエーシェに向けて弓を構えたエルドナス。エーシェの叫びもむなしく放たれた矢はどうなってしまうのか?二人の運命はいかに!?

次回「初依頼④」お楽しみに!

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