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あとかたづけ④〜タダより怖いものはない〜

ナーシャの救出依頼から一晩明けてエドガーからの呼び出しをくらったエルドナスたち。

新たな依頼は山賊たちが使っていた他のアジトの調査だった。

調査の途中で一人の少女と出会ったのでった。

ヒスイが(リアル)ドラゴンモードになってもミナは怖がる様子もなかったのでみんなで背中に乗ってエリーゼの村へ戻ることにしたのであった。

ヒスイが飛んでいる間のミナもそれはそれは可愛くて…

「すご〜い!はや〜い!」

「鳥さんよりも高く飛んでる!すごいすごい!」

「あの山がちっちゃく見える!ふしぎ〜!」

ヒスイの背中から見える景色一つ一つに反応してキャッキャと嬉しそうにしているミナの様子を見ていた僕とエーシェは撃沈していた…

どっかの勇者(邪神入り)に胸を物理的に貫かれてしまった時には死にたくないなぁって思ったような気がするけど、今回のこれは…別に悔いは無いな…

そんなことを考えているうちに村の近くのヒスイ着陸地点(僕が勝手に呼んでいるだけ)に到着してしまった。

そこからみんなで歩いて村の入口に到着したのであった。

「ほら、ミナ見てごらん?あれがこれから行くエリーゼの村だよ」

「わー!すごーい!」

ミナはキラキラとした目で村を見つめる。なんだ?この村はそれほど大きな村では無いと思うのだが…

いや、まて、僕の家周りに山しかなかったわ。きっとあれだ僕の実家ってほどじゃないかもしれないけどそれはそれはたくさんの自然とのどかな風景が広がる土地で生まれ育ったんでしょうね〜。

「最初はちょっと僕達の仕事に付き合ってね。そしたらその後はお買い物に行こうね」

「うん!」

見る度にメンバーが増えていく僕らのことを当たり前のように受け入れてくれるこの村の懐の深さは計り知れん。関心が無いだけなのかもしれないが、それはそれとして…

まぁ、僕とエーシェがこの村の冒険者登録をしてから半年も経っていないのにいつの間にか倍になっていたらそれもそうだよな。

そんなことを考えている間に僕らは村の奥にある冒険者組合に着いたのだった。

「エドガーさーん。依頼終わりましたー」

「おーおつかれさん。…ん?お前らまた増えてねーか?何だその子?」

僕らが戻ってくる度に人が増えるのが恒例化してきたのだが、今回は小さい子供だったのでさすがのエドガーさんもスルーできなかったらしい。

「あー…えっと、とりあえず、今回の依頼の報告から始めますねー。これ報告書です〜」

みんながまとめてくれたものを代表して僕がエドガーさんに手渡す。

僕はそんなに仕事をしていないのは黙っておこう。

「例の場所で依頼をこなしていたらこの子に会いまして…そのままにしておくのもどうかと思ったので、連れてきちゃいました」

これがきっと電信柱の近くにダンボール箱に置いていかれてしまった子猫を拾うときの心境なんだろう。本当にあるんだなこういうことって…

エドガーさんはじーっとミナの様子を観察し、腕にある腕輪見てすべてを理解したらしい。

僕を手でちょいちょいとこまねくのでカウンター越しにエドガーさんに近づく。

「お前…また面倒なものを拾ってきたな…」

「だって、放っておけないじゃないですか〜」

「とりあえず、あの腕輪はうちの国だとかなり珍しくて悪目立ちするからなんとかしておけ」

やっぱりあの腕輪がその印ってことか…

「なんとかしろって言われても…」

「お前お得意の変な魔法でなんとかならんのか?」

人の魔法を変な魔法なんて言わないでくださいよ!失礼しちゃうわねー本当に!

「じゃーしょうがねーか」

僕がほんとに考えなしに行動しているのを呆れているのか、それとも他のことに呆れているのかはわからなかったけど、呆れているのはよーくわかった。ごめんなさい。

「ちっちゃい嬢ちゃん。ちょっとその腕輪を見せてくれないか?」

腕輪のことを言われてミナはビクンッと体を震わせる。

「大丈夫よミナ。この人は見た目は怖いけど優しい人よ。ちょっと筋肉が多いだけよ」

「必要な筋肉だ。それに、見た目が怖いってのは余計だぞエーシェ。まぁいい。エーシェその子を抱きかかえてくれ」

エーシェが意外にもミナをヒョイッと持ち上げるから少しびっくりしたけど、体の周りに若干赤いオーラみたいのをまとっているから【筋力強化ボデラーソ】をさり気なく使っているようだ。

「ちょっと触るぞ〜」

エドガーさんが腕輪に触られミナは再び体をこわばらせる。

「よいしょっと」

バキンッという音が部屋の中に響き、腕輪の接合部が外れる。

「よし。これで大丈夫だ。怖い思いさせて悪かったな嬢ちゃん」

そう言いながら腕輪をぐにゃっと曲げてミナの腕から外すエドガーさん。

「ちょっ!?エドガーさん!?それって外していいやつなんですか!?こういうのってはずしたら毒とか呪いとかそういうのがあったりしないんですか?」

「何を言ってるんだお前は…これをはめられたらこれ自体が証になるからそういうのは必要がない。それに簡単には外れないからな」

いま腕力だけでそれを簡単にやってのけてしまった人が居ましたけど?簡単じゃないってどの口が言ってるのまじで。

腕輪が外れたことに安堵したのかミナは静かに泣き出す。

「おっと、すまん。痛かったか?」

どうしたのこの優しいエドガーおじちゃん。初めてこんな姿を見たんですけど…

「ちが…うの。これは絶対に取れないって…いわ、れてたから」

常に自分の視界の中に入ってくるこの腕輪に少女がどれだけ苦しめられていたのか…

前世から含めて僕の経験ではこの子のその苦しみを理解するのは到底無理な話である。

「そんでお前らこれからどうするんだ?」

「んー特に決まってないですね〜。この後ご飯食べに行くくらいですかねー」

「そうか。じゃあ暇ってことだよな」

嫌な予感しかしない…

「なんか用事を思い出しそうな気配がするのでそろそろ…」

「お前の用事なら俺が知ってる。この後村の役場へ行ってこい」

よかったエドガーさん特別講義別名僕がボロッボロのドロッドロになるわけじゃなかった!

…村の役場?なんで?

「村の役場ですか?」

「なんか知らんが俺のところに連絡が来た。とにかく行ってこい」

「わかりました…」

嫌な予感しかしない…色々とやりすぎてこの村出入り禁止にされたらどうしよ…そしたら王都に住むことに鳴るのかな僕達…

僕はそんなことを考えながらトボトボと冒険者組合を後にするのだった。

「エル君ちょっといいかしら?」

冒険者組合の外に出たところでエーシェから呼び止められる。

「エル君が村の役場に行っている間私達買い物に行ってきていいかしら?」

「え、いいけど…何か買うものなんてあったっけ?」

「ほら、ミナをあの服のままっていうのもあれじゃない」

ああ、たしかに。ミナが今着ているのは正直言ってボロ布だ。おそらく元の服はいいものだったのだろうが、同じものを来続けていたのか汚れなどが目立つ。

「私とカミラがミナの分の買い物をしてくるけど、ヒスイはどうするの?」

「僕も買い物についていこっかなー」

あれ?僕マジで一人?いいですけど…

「僕の方はどれくらい時間がかかるかわかんないからそれぞれの用事が済んだら林檎亭に集合ってことでいいかな?」

「わかったわ。それじゃ後でねエル君」

カミラがヒスイと林檎亭について聞きながら楽しそうに歩いていくのを僕は一人見送るのだった。

一人で行動するのって随分と久しぶりな気が…あれ?ほんとにいつぶりだろうか?

なんだかすごく久しぶりな気がするなぁ…あれか無人島生活依頼かもしれないのか…随分と昔に感じるなぁ…

これまでずっと周りに人がいる状況で行動をしていたので、一人になると途端に寂しく感じる。

そういえば、完全に忘れていた【迷いロスト・パーソン】も発動するんじゃないかとビクビクしながら村役場まで向かう。でも、まぁ…今回はもう目的地見えてるから迷いようが…あれ?終わった後ちゃんと林檎亭にたどり着けるのか僕?

はぁ…っと大きめのため息をついたところで村役場に到着をした。

何度も目の前を通ったことはあるけど、実際に中に入るのは初めてかもしれない。

目の前にあるこの村で一番立派な建物を目にしてふと思う。冒険者組合も国の施設のはずなのにあまりに扱いが違いすぎるのは…どうしてだろうかと…

そんなこと僕の知ったこっちゃないので、ドキドキしながらも役場の扉に手をかける。

大きいのに不思議と冒険者組合の扉よりも軽い!なんでだろう不思議!(すっとぼけ)

扉の奥にはたくさんの職員の人がせかせかと働いている空間が広がっていた。お勤めご苦労さまです。

「いらっしゃいませ〜!ようこそエリーゼの村役場へ!本日はいかがされましたか?」

急にテンションの高い受付のお姉さん(?)に話しかけられた。テンション高いなぁ…どこの夢の国だよ。

「あの、僕エルドナスといいます。冒険者組合のエドガーさんから連絡をもらってここに来るようにと言われたのですが」

「ああ!噂の…いえ、何でもありません。エルドナス様ですね!どうぞこちらへ!」

え?今噂のって言ったよね?僕のことそんなに噂になってるんですか?いい噂だったらいいんだけどなぁ…

テンションの高い受付のお姉さんに連れられて建物の一番上の階に通される。

「そんちょー!エルドナス様がいらっしゃいましたー!」

村長!?なんで!?なんでエドガーさん言ってくれないの!!

というか、本当に僕がこの村から出入り禁止にされる可能性出てきたんじゃない?ほんとに何したんだろう?あれかな…この村で家を買ったにも関わらず住民登録を忘れていたことを今思い出したこととかかな?

「おお!どうぞお入りください!」

扉の奥から優しそうなおじさんの声がする。

テンション高めの受付のお姉さんが扉を開くとそこには…割と身長が低めのおじさんがニコニコと出迎えてくれたのであった。ああ、この人はあれかな村長の秘書的な人なのかな?

「これはこれはエルドナス様。本日はようこそいらっしゃってくださいました。ささ、どうぞこちらへお座りください」

ちっちゃいおじさんに促されるまま、席につく。

それにしてもこの人すごく腰が低いな…物理的にもだけど…

「まずは私のご挨拶から。私はこのエリーゼのむらの村長をしておりますヒックイ=シンドラと申します」

お前村長だったんかーい!!

「ご丁寧な挨拶ありがとうございます。冒険者のエルドナスです」

「本日は急なお招きに答えていただきありがとうございます。冒険者の方なので急にお仕事で他の地域に言ってしまわれることもあるかと思いましてエドガー氏にお願いをしていたのですが、こんなに早く来ていただけるとは思ってもおりませんでした。ありがとうございます」

今の所歓迎されてるってことでいいのかどうなのかまだわからんな…

「あ、あの…村長さん。僕はなんでここに呼ばれたんでしょうか?」

「おや?エドガー氏から聞かれていませんでしたか?確か要件はお伝えしていたと思ったのですが…」

あの人はほんとに…そういうところだよ!?

「今回エルドナス様にいらっしゃっていただいたのは一つ相談させていただきたいことがあったのです。皆様が王都へ行かれている際に山賊が皆様のお宅を燃やしてしまったとお聞きしました」

そうなんですよ〜帰ったら家がなくなってるとかほんとにびっくりしましたよ…

「エルドナス様のご活躍はいつも私共まで届いておりまして、依頼でドラゴンと交戦されたり、王都での事件を解決したりと様々なご活躍があるのに今は家が無いとお聞きしまして」

僕らがやってることってそんなに噂になってるんですか?だからさっきのお姉さんも「噂の…」って言ってたんですね?情報源を潰しますので教えてもらっていいですか?

「更には王都での事件解決等のご活躍が認められ爵位も授かられ、私どもが困っていた山賊の件まで解決していただいた方が困っていると聞きまして、一つご提案させていただきたいのです」

ほんとになんでも知ってるな!!何?僕らの活躍は新聞の一面でも飾ってましたか!?

「私共からお屋敷をご提供させていただきたいのです」

「え?屋敷!?」

あまりに唐突な話で全く頭が回らない僕は変な声が出てしまった。

「そうでございます。ここまで私共の村で活躍をしていただいている方ですから。山賊の件には村人もかなり困っておりましたので全く問題がありません」

そうは言われてもなぁ…()()()()()()()()()()なんてそんなうまいだけの話があるわけない。

「お話は理解しました。ありがたいお話です。元々僕達はこの村に定住するつもりでしたから」

ここですかさず営業スマーイル!こういうときは笑顔で友好的に!

「おお!それではぜひとも!」

「ですが、さすがに僕達にとってうますぎる話であるので…条件などがあるのではないかと思っていたのですよ」

僕の言葉にビクンッと眉を動かすヒックイ村長。やっぱりか…

「さすがはエルドナス様そこまで考えていらっしゃるのですね」

いやいや、タダで家が手に入る方が怖いだろ普通…

「ですが、条件は等に満たしておりますので問題ありません」

んぁ?どゆこと?

「条件はこの村に定住していただくことでございます。他の地域に別宅などを構えて頂いても全く問題はありません。この村の冒険者としてずっとここに居ていただきたいだけなのです」

マジで言ってんのかこの人…そんな公費で…ほんとにいいんですか(ゲス顔)?

「それでは、こちらが屋敷の位置と屋敷の案になりますのでこの中からお選び頂いてもよろしいでしょうか?」

その後、僕は膨大な数の資料に目を通すことになり結構な時間がかかったのに結局のところ一人では決めきれなかったのであった。

【あとかたづけ④〜タダより怖いものはない〜】最後までお読みいただきましてありがとうございました。

次回予告が次回予告していないのは毎回のことだけど、サブタイを変えすぎの巻…

3章の途中までは手前で文章を一回3000文字くらいで作ってから5000文字に引き伸ばす作業をしていたのですが、最近それだと時間が足りなすぎたので最初っから打ち込んでいくスタイルに変えたらこんなことに…

それでも、時間ができるまではこのスタイルで行くと思いますので、矛盾とかあったら教えて下さい…

そんなわけで、元々③で終わる予定だった”あとかたづけ”ですがまだまだ終わりそうに無いです。

【次回予告】

エル「ざーさん正座」

ざー「藪から棒になんだね」

ざーさん普通に正座する。

エル「最近ちょっとぶっつけ本番感が強すぎるのでは無いでしょうか?」

ざー「反省はしています」

エル「改善する気はあるんですか?」

ざー「善処します」

エル「善処しても結果が出なければ意味は無いよ?」

ざー「なんでこんなに言われなければならんのか…だいたいお前らが想像以上にミナとキャッキャウフフしているから話が伸びたんだよ!次回なんて丸々1話その可能性高いからね?」

エル「そんなにかわいいキャラを作るあなたが悪い。僕らは幼女を愛でているだけだから」

ざー「110番って知ってるエル君?」

エル「こっちの世界にはそのようなものは無い!そもそも電話が存在しないからモーマンタイ!!」

ざー「こいつ…」

エル「さ、次回こそ【あとかたづけ⑤〜ごちそうだ!〜】でかわいいミナを書くのだいいな?」

ざー「御意」

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