表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
78/97

あとかたづけ③〜子猫拾いました〜

山賊たちのアジトの調査の依頼を受けたエルドナスたち。

エル君が新しい魔法を考えていると後ろに女の子が居たのでした。

みゃぁ〜〜〜!

「エルくんどうしたの?変な声出てたよ?」

声の方向を向くと、僕の奇声に反応してヒスイがひょこっと顔を出してきた。

「ひ、ヒスイ?僕の後ろに何か居る」

「何かって何?」

ヒスイはとことこと僕の周りを歩いて僕の後ろに居る何かを確認しようとすると、ギュッと服を引っ張られる感覚が強くなった。

その感覚に引っ張られて後ろを振り返ると、女の子は僕の後ろにピッタリとくっついていた。

改めて良く見てみると、うーむなんだろうなんだか違和感…

「にゃに?」

僕が振り返ったのに気がついて顔を上げた女の子がそのように言葉を発した。

違和感の正体に気がつくまでそれほど時間を要しなかった。

この子…ケモミミ!!

ケモミミがもふもふしてる!もふもふがもふっとしていて、ふわふわしていて…ケモミミだぁ!!

「ケモミミだ!!」

これまで当たり前のように角が生えている人(ドラゴンのヒスイ君)と一緒に居てもここまでエキサイティングすることなんて無かったんだけど、ケモミミは破壊力があるなぁ…

「あ、ホントだ。エルくんの後ろに何かがくっついてる」

僕の奇声とヒスイの存在に気がついたケモミミ少女はビクンっと体を震わせ僕の体からものすごい速さで離れてどこかに隠れてしまった。それはもうものすごい速さで今までであった生き物でいちば…いや、目の前から消えるくらいの速さで移動していた人外(エドガーさん)が居たわ。

「ヒスイ!あの子を追うよ」

「え?なんでさ?」

「考えてみろ。ここが元々どういう場所だったかを」

僕の言葉ではっとしたような表情をするヒスイ。

そう、ここは元々先日僕が戦った山賊たちの倉庫として使われていたのだ。倉庫に置かれるのは()()である。

「ただここに迷い込んで来てしまった可能性もある。だが、もしそうでなかったとしたら、今回の僕らの調査対象であることに変わりはないだろう?」

「そうだね。どっちにしてもほっといていいわけないよね」

ヒスイと2人で女の子が移動をしていった方向へ進んでいく。

この洞窟の一番奥にたどり着いた僕達はあるものを見つけた。

「これはどう見てもあれだよね?」

「そうだね…きっとえるくんが想定していた最悪の状態だと思うよ」

僕らが一番奥で見つけたのは…鉄格子だった。どこからどう見ても何かを閉じ込めるためにあるためのものだった。幸いなのかどうなのかわかんないけど、今はその出入り口は開いていた。

「ところでヒスイ。なんとなく答えはわかってるんだけど…この国って奴隷制度あるんだっけ?」

「んー…どうだったっけ?僕はそういうの興味無いから知らないや」

そもそもこいつは興味があることしかやらないドラゴンだったわ。

「でも、これはどう見ても…ねぇ?」

「そうだよね〜。とりあえずヒスイ。さっさとさっきの子を見つけよう」

「うん」

近くにある荷物の裏側だったりいろんな箇所を探してみるけどなかなか見つけることができない…

よく売れない探偵とかの依頼の中に猫探しってあるけど、これめちゃくちゃ難しくないか?

今回は猫っぽい人だから大きさが違うからかくれんぼの鬼くらいの難易度だとは思うけど、普通の猫を探すのって至難の技じゃないか?毎回良く見つけてるなあの人達…すげぇわ。

「エル君にヒスイキョロキョロしてどうしたの?今回の依頼はここに何があるかを調べるだけじゃない」

「いや、実は…」

僕とヒスイが見かけた女の子の話と、奥にあった牢獄の話をエーシェに説明をした。

「そんなことがあったのね」

「えーシェ。確認なんだけど、この国って…」

()()()()()()()()()。そもそもうちの家族はみんな奴隷制度に反対しているわ」

少しだけ心の中に引っかかっていたものが取れたような感覚がした。無いとは思っていたけど、確証を得られていなかったから可能性があるだけでも心に何かが引っかかっていたような思いがあったのだが杞憂だったようだ。

「この国ではってことは、他の国ではあるんだね?」

「そうね。むしろ奴隷制度を採用していない国のほうが少ないと思うわよ」

やっぱりそうだよね…どう見てもここの世界の文化レベルから考えるとありえるよねぇ…なんか実際あるって言われると、なんだか変な気分になるな。

「ところでなんでエル君とヒスイはお得意の【探索(ブスカー)】を使わないのかしら?」

「「それがあったか!!」」

ヒスイと二人で顔を見合わせてその可能性を全く考えていなかったことを悔いた。

この洞窟の広さは…それほど広いわけでは無いかもしれないけど…僕の魔力を全部使ってギリギリ行けるか?

「じゃ、僕が探すねー」

ヒスイ君天才!そういうところ大好き!!

おそらくこの洞窟の中心に当たる場所に移動をして、ヒスイを中心にふわっと魔力が広がる。

「うーん。なかなかみつからないな〜」

ヒスイが目を閉じながらそんなふうにつぶやく。

ふと、再び僕は後ろに気配を感じて後ろを振り向くと…変態がいた。

「はぁ…はぁ…なんですのこれは?ヒスイ様の魔力を体で感じることができますの?あぁ…し・あ・わ・せ♡」

僕が振り向いたときは、口元からだらしなくよだれを垂らした美人吸血鬼さんがいただけだったのだが、セリフを聞くと変態度がかなり上がった。やべぇ…うちのメンバーに変態が入り込んでる!

「見つけた!僕らがさっき居た方向とは逆の方。入り口の方に移動してる!」

どうやらターゲットは外に出ようとしているようだ。ただ、さっきの格好を見ると山を超えて村まで辿り着くのは難しいだろう。外にはあの子にとって危険な動物が多く居る。

「みんな。一旦他の作業を止めて僕らがさっき見た子を保護するよ。カミラは魔法の準備を。あの影の魔法でうまいこと人を捕まえることくらいできるでしょ?」

「そんなこと造作もないですわ」

こういう風に普通に話しているだけならただただきれいなお姉さんなんだけどね…さっきの行動と言動と顔を見なければ…美人さんなんだけどね〜…仕事もできる系吸血鬼なんですけどねぇ…

いいところよりも残念なところの方が見えてしまって、カミラが残念な人カテゴリに分類されてしまうんよねぇ…

いやいや、今はそんなことを行っている場合ではなかったな。

「いくよ…3・2・1。今だ!」

ばっと僕らが目の前に現れたことで混乱をして…シャー!っと威嚇している?かわえぇ…

「カミラ!今だ!」

元々僕らとは反対側から回り込んでいてもらっていたカミラに指示を出し、僕の声が聞こえたタイミングで魔法を発動させる。ちょうど威嚇(?)をして動きが止まっていたから簡単に捕獲をすることができた。

「な、なにこれ?とーれーなーいーにゃー!!」

グイグイと自分の体に巻き付いていた影を引っ張り逃げ出そうとジタバタしている。

右腕を見ると彼女の体格に似つかわしくないゴツい腕輪をしていた。

「エーシェ…あれってやっぱり」

「おそらくそうね…どこの国のものかしら」

僕とエーシェが彼女が何者であるかを確認したところで彼女はカミラの魔法から脱出するのを諦めたらしく、ぐったりしていた。

「諦めたところで僕の話を聞いてもらえるかなー?君が逃げないと約束をしてくれるならその魔法を解くけど?」

コクコクとうなずいたのでカミラに目配せをするとゆっくりとおろしてもらった。

「まずは、僕はエルドナスって言うんだけど、君のお名前は?」

「ミナ…」

少女は小さな声で自分の名前を口にした。

「そうか。ミナちゃんね。じゃ、最初に僕達は君に悪いことしようとは全く考えてませーん。むしろ、君がなんでここに居るかを聞いてそれからこの後を決めようと思ってるんだ」

「エル君…それ…ほんとに信じてもらえると思ってるの?」

「エルくん…なんでこういう時になるとこう…残念になるんだろう?」

「そうですわね…ほら、ミナが怯えていますわよ」

僕も今のは無いなーって思ったけど、みんなそこまで言わなくても良くないですか?泣いちゃおっかな?

どうやったらミナに信じてもらえるのだろうか…今は僕が持てる残念な語彙力では怯えさせてしまうだけだからなぁ…

ぐぅぅっと誰かのお腹が鳴る音がしてふと思考が止まる。

「あら?もしかして…」

エーシェはカバンの中に手を入れてゴソゴソとなにかを探し始めた。

「エーシェ何してるの?」

「パンを探しているのよ。ここに来る前に買ったのあったでしょ?」

あぁ、そんなの買ってましたね〜。僕の分は全部胃の中に居るわけで完全に忘れてましたわ。

「あったわ!ミナちゃんこれ食べる?」

「…いいの?」

「ええ、いいわよ。それ食べたら私達と少しお話してくれるかしら?」

「うん!」

ぱぁー!っと明るい表情になってエーシェからパンを受け取るともぐもぐとパンを食べ始めたのだった。

もぐもぐ…というかもきゅもきゅの方があってそうな感じでパンを食べているところを見ると、年齢は…よくわかんねーけど、可愛いから保護対象ですね。

ミナはあっという間にエーシェからもらったパンを食べ終えた。口の周りにパンに乗っていたソースが着いているところがとってもキュートです。

「私はエーシェよ。よろしくね」

「エーシェお姉ちゃん?」

一瞬エーシェがぐらついたように見えた。きっとたぶんおそらく擬音をつけるのであれば、ズキューン!というやつだ。

「エル君…この子連れて帰りましょう。そして、可愛いお洋服を着せてケーキを食べてもらいましょう。そうしましょう」

「え、エーシェ?えっと…ミナちゃん?とりあえず僕らはここで仕事を終えたら近くの村に戻るんだけど、ミナちゃんはどうする?このお姉ちゃんは一緒に美味しいもの食べたいって言ってるけど」

これ、完全に食べ物で釣ってるじゃないか僕!!

「いいの?…痛いこと…怖いことされない?」

彼女の言葉に僕らは凍りついた。わかってはいたことだが、実際に本人から聞いてしまうと…

「えぇ…もう大丈夫よ。今まで頑張ったのね。ミナ」

エーシェが静かに頭を撫でるとミナはポロポロと涙を流し始めた。

「うっ…ぐす…もう、怖い…ないの?」

「えぇ…ないわよ。だから安心していいわ」

エーシェがぎゅっとミナを抱き寄せるとミナは声を上げて泣き始めた。エーシェ最近そういう役回りなのかな?

「エル君、ヒスイ、カミラ。私はミナと一緒に居るから残りの作業任せてもいいかしら?」

たしかに、今はそれが最善だろう。

「まかせてー!」

「当然ですわ」

エーシェはコクっと頷いて静かにミナを抱き続けるのであった。

そこからの僕らの作業は信じられないほど早く終わった。

みんなの気持ちが一つだったのだ。早くミナを安心できるあの村へ連れて行って…美味しいご飯を食べさせてあげようと。

「よっしゃ!終わり!!」

「意外と早く終わりましたわね」

「エル君こういう時だけ仕事早いよね〜」

こういう時だけって…ぼ、僕はいつでも真面目に仕事をしているつもりですけどね?

「それじゃ、帰りもみんなで飛んでいきますか〜」

「なんで僕の許可よりも先に決定事項なの?」

「でも、乗せてくれるんでしょ?」

「まぁ、いいんだけどね」

こんのツンデレドラゴンめ〜。ドラゴンがツンデレでも可愛くな…いや、今の見た目だとちゃんと可愛いのがくっそ腹立つ。

「あ、そうだカミラ。ちょっといい?」

ヒスイが急にカミラを呼びつけ何かを小声で…カミラが急に膝から崩れ落ちた!?

「ちょ…ヒスイ何を!?」

「いや、ここに来る時にみんなで乗ってもらった時に背中がゾワッとしたから、たぶんカミらが変なことしたんじゃないかなと思って次やったらわかってるよねって伝えたらああなった」

カミラ…何をしたんだよ何を…

ちなみにカミラに近づいてみたところ「ヒスイ様の目が…あんなに近くで私の耳に息が…あぁ…」と言いながらトリップしていらっしゃいました。僕は残念なモノを見るような視線をプレゼントしました。

「みんな何をしているの?帰るわよ?」

「エーシェお姉ちゃんどうやって行くの?」

「見ててね〜?あそこに居るヒスイお兄ちゃんが変身するから」

ここでふと僕は思ったのである。これ、ヒスイが急に変身をしたらミナを怖がらせちゃうんじゃないか?

『ヒスイ!変身ちょっと待った!』

『何さ!急に念話なんて使って』

『考えてみろ、お前の元の姿はちょっと怖い。だから普通にいつもどおり姿を変えたらミナがびっくりするかもしれないだろ?』

「たしかに…でも、どうしたらいいの?』

『それはな…』

僕が思いつく最高のあんをヒスイに伝えた。

『えぇ…嫌だなぁ…』

『そこをなんとか!頼むよヒスイ!』

『じゃあ、エル君。今度いつものお店で一緒にお酒飲みに行こうね』

そんなことでいいなら任せろ!とグーサインで答える。

「ヒスイ?どうしたの?」

「な、何でも無いよ?じゃあ、行くよ〜!へ、へーんしーん!」

最後の「へ、へーんしーん」のところはなんだか恥じらいがあったような気がするけど、それはそれで良かったです。

さて、ミナちゃんの反応は…

「か、かっこいー!!ヒスイお兄ちゃんすごーい!変身できるの!!」

よかった!怖がってないようで安心しました。

【あとかたづけ③〜子猫拾いました〜】最後までお読みいただきましてありがとうございました!

今回ちゃんとセリフが初めて入って名前を出すことができたミナちゃん!かわいいですね~。

とりあえずどの設定よりも最初に決まったのは…可愛いことです。かわいいは正義なのです。

彼女は基本的に次回の章に向けてのキャラクターになりますので、そこまで凝った設定を作り込んでは居ないのですが、今回出してみて今後ももっと出したくなりました。

ちなみに、最後にヒスイがミナに褒められたタイミングでのヒスイ君はニヤケ顔が止まらない状態です。可愛いところもありますね。

【NGシーン】

「エーシェお姉ちゃん?」

どさっ!

ミナの言葉にエーシェはその場で倒れ込んでしまった。

「エーシェ!?どうしたの!?」

慌てて僕が駆け寄ると、エーシェの口からは絞り出すような声が聞こえてきた。

「尊いわ…もう、本当に尊い…」

ああ、駄目だこれ完全にやられてしまっている。

「私もどちらかというと小さくてかわいい枠だと思っていたのに、違ったわ…本当に小さな子には勝てないのよ。そもそも土俵が違うのに…」

自分のコンプレックスである”コンパクトさ”を明るみに出してまでミナの可愛さを称えるなんて…

「ちょっとストップ!エーシェ戻ってきて〜」

あ、ざーさんだ。前回もこんな感じだったけど、最近ハマってるんだなこういうの…

「エーシェ駄目だよミナの可愛さにノックアウトされちゃ…もう一回同じ場面やってもらうけど大丈夫かい?」

「つ、次は耐えてみせるわ」

エーシェから強い意思を感じた。

「それじゃ、NG出したからこれ読んでね」

ざーさんはぴらっと一枚紙を出してきた。

「あーこれね。私が耐えきれなかったのが悪いのだからちゃんとやるわよ。すーはー…次回!【あとかたづけ④〜タダより怖いものはない〜】お楽しみに」

不穏なサブタイトルである。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ