あとかたづけ②〜みゃぁ?〜
ナーシャ救出作戦も無事に成功したエルドナスたち。
作戦を始める時にした約束が予想外の方向に転がってカミラが仲間になったのだった。
日の出を確認してから眠ったので、エル君はいつもどおり…始まるよ♪
今日も今日とて目が覚めると残念ながら太陽は天高く登っていた。
「ふぁ〜もう昼か〜。この世界は目覚まし時計が無いから決して僕が悪いわけではないのだよ。うん」
「なんで起きてすぐにそんな言葉が出てくるのよ。自分が悪いんでしょ自分が」
「んあ!?エーシェ!?」
どうして当然の如く僕の泊まっている部屋に居るんだろうか?そっちのほうがなんでだよ。
「エル君が起きてこないから起こしに来たんじゃない」
あ、はい…いつもいつもすみませんねぇ…
「今日はなんにも無いはずだしゆったりしたいんだよ…魔力の使いすぎなのか何なのかわかんないけど、体が重たいんだよね〜。だるい〜ねむい〜今日はだらける〜」
「そうも言っていられないみたいよ?朝エドガーさんが来たわ」
グッバイ何も無かったはずの一日。
「それで伝言よ『はぁ?エルドナスはまだ寝てやがんのか。しかたねぇな。起きたら組合の方に顔を出せ』だそうよ」
なんかあれだねエーシェがエドガーさんの口調を真似をしているのってなんだか新鮮だね。
ふむ…そうかぁ…組合に来い…ね。
どうせ行ったらまた仕事を頼まれるんだろうからめんどくさいな…
「今日は一日魔力の使いすぎで起きなかったってことにするのはどうだろう?」
「何を急に言い出すのかと思えば…」
そんなに大きめのため息をついて頭を抱えなくてもいいじゃないか!
「わかったよ…じゃ、準備して行きますかね〜。どうせ面倒なことを押し付けられるんでしょうけど」
「面倒な仕事かどうかはわからないけど、仕方ないじゃない。だってあんなことがあった直後のナーシャに仕事を任せるわけにはいかないでしょ?」
それを言われてしまうと働かなくてはいけないような気がしてくるな。
エーシェを部屋から追い出して、すぐに支度を済ませて部屋を出る。
「みんあおまたせ。そんじゃ、行こうか」
「おまたせじゃないよ。エルくん遅いよ」
「この人はいつもこうですの?」
「そうね。いつもどおりよ。諦めてカミラ」
なんでみんなそんな事言うの!?やっと決心をして部屋を出たというのに、引きこもるよ??
「それじゃ、僕はいやいやだけどエドガーさんのところ行こうか」
みんなで宿屋を後にして、冒険者組合に向かうのであった。
「顔出したので、帰ってもいいですか?」
冒険者組合の重たい扉を開けてエドガーさんの顔を見た時にそんな言葉が僕の口から出てきたのだった。
「はぁ?何いってんだお前。お前らはこっちだ」
残念ながらかることはできなかった。
そして、エドガーさんに引っ張られて奥の部屋に連れて行かれた。
「ひーとーさーらーいー!!」
「お前…この前ナーシャがあんなことになったのに良くそんなこと言えるな」
ああ、すいません。ちょっとデリカシーが無かったかもしれませんね。反省反省っと。
この前のナーシャ捜索作戦の時と同じ席順で座ってエドガーさんの話を聞くことになった。やばいもう帰りたい。
「急な話だったが、来てもらって悪いな。昨日で奴らの取り調べが終わってな。その結果と新しい依頼の説明だ」
やっぱり仕事かぁ〜今日はゆっくりしていたかったんだよなぁ〜ほんとに。
「まずは取り調べの結果だが、奴らの拠点はいくつかあることがわかった。だが実際のところ使われていたのはもう一つだけらしい。そこは奴らの倉庫として使われていたらしくてな、これまで強奪してきたものなどを
置いておくためのところらしい」
「それじゃーさ、僕らはそこの倉庫の中身を回収してくればいいの?」
僕と同じく話に飽きていたらしいヒスイが結論を急ぐ。
「いや、倉庫の中身はかなりあるらしい。それにそれをここに持ってこられても困る」
「え?なんでですか?」
「強奪された品は元の場所に戻そうと思うのだが…ここにはそんな荷物を置いておける場所が無いだろ?」
「「「あぁ…」」」
すっごく納得した。
「確かにそうですわね」
キョロキョロと当たりを見回して確信しましたわ的な感じでカミラがつぶやく。カミラさん?それは止めと言うんですよ?
「そ、そんなわけで今回のお前たちへの依頼なんだが、そこに何が置いてあるかを調べてきてきて、この紙にまとめてきてくれ」
あら?思ったよりも物騒じゃない?
「思ったよりも簡単そうな依頼ね」
「そうですわね」
「そんなんだったら、僕らに頼まなくてもいいんじゃない?」
そうそう!エリーさんでもできそうだよね〜というかエリーさんに頼んだほうがいいんじゃないかな?
「それもそうなんだが、その場所がな…山の向こうなんだよ」
あーあのヒスイと会った場所か。
普通にあれだな山越えは…しんどいもんなぁ…
「だいたいあんな物騒な場所に可愛い娘を行かせられるか!それなら俺が行く!」
おいおいどうした!?エドガーさんそんなキャラじゃなかったよな?
「落ち着いてくださいって。わかりました行きますから!」
「よし。じゃ、頼んだぞ」
なんかはめられた気がする…。
「そんなわけで若干納得の行かない部分はある気がするけど依頼は依頼だからさっさと済ませちゃおうか。エドガーさん詳しい場所はどの辺りになりますか?」
「あーそうだなー…この辺だな」
エドガーさんが指を指した場所は地図で見てもよくわかんないけど、こういうときは…
「ヒスイ地図でどのあたりかわかった?」
「んーなんとなくならね」
「じゃあ、案内と移動よろしく」
「へ?」
僕の言葉を聞いてヒスイはかなりアホっぽい顔をしていた。
「いや〜僕気がついちゃったんだよ」
「始まったわね…」
「何がですの?」
「カミラは初めてよね…まぁ、聞いていればわかるわよ。今後もこんな感じだから慣れてね」
なんだよ人のことをトラブル製造機みたいな言い方してさ!
「移動ってめんどくさいよね。久しぶりに実家に帰ってわかったんだよ。長距離の移動をするのは時間がかかるのと効率が悪い。だとすれば楽な方法を探すか使うしか無い!」
「それで僕の背中に乗ろうとしているってこと?」
「そゆこと〜」
「エルくんなら新しい魔法を作るとか言い始めるかと思ったのに」
…
……
………
「その手があったか!」
いや〜まさかそんな手があったとは思っても無かったよ。
うまく作れれば移動も楽になるだろうし、王都に行くのも楽になりそうだ。
「あ、やべ…これエルくんまだ気がついてなかったやつだ」
「ま、移動しながら考えるからよろしくねヒスイ」
「あ、今回の移動はやっぱり僕なんだね」
「話はまとまったか?終わったら報告よろしくな。…そうだ。村の近くでヒスイがもとに戻るとこの前みたいに騒ぎになるからちょと離れたところまで徒歩で移動してからにしてくれ」
「わかりましたー。そんじゃ言ってきまーす」
依頼を受けた僕達は冒険者組合を後にする。
「エル君ちょっといいかしら?」
「どうしたのエーシェ」
「この依頼時間かかりそうよね。それであれば先にパンを買ってから移動したいのだけどいいかしら?」
あーたしかにそれもそうだな…そういえば僕まだご飯食べてないんだった。気がついたらお腹へったな。
「そうだね!僕も今何故かお腹へってるからパン屋さん行こうか」
「私パン屋さんに行くの初めてですわ。ちょっと緊張しますわね」
「あ、僕も初めてかも!楽しみー」
つい数十秒前に依頼を受けたのにも関わらず、興味がすぐに移り変わるうちのメンバー…
ほら…類は友を呼ぶって言うからね…
僕は自覚してますからね自覚していればセーフ的な?あ、そんなことないですか…すいません。
「エーシェそういえば前もパンを持ってたけど、パン屋さんって近くにあるの?」
「随分と前のことをよく覚えているわね。ここの近くだったはずよ」
そんなわけで腹が減ってはなんとやらと言いますからね〜…
と、いうことでエーシェがたまに行くパン屋さんでいくつかパンを買い込んで依頼に向かうことにする。
「エルくんそれなんで今食べてるの?」
「お腹が減ってるからだけど?」
「歩きながら食べるのははしたないですわ」
「そうね。エル君はしたない」
だってご飯食べないで依頼を受けることになっちゃったんだもん。しかたないじゃん?
もぐもぐ…
もぐもぐもぐもぐ…ごっくん。
ってことで僕がパンをもぐもぐしているうちに村の外まで出ていたのだった。
「じゃ、ヒスイよろしく〜」
「はいはい。わかったよ〜」
人の姿からドラゴンの姿に戻ったヒスイの背中に乗る。
「3回目になるとなんか慣れてきたわねこれも」
「はぁ…はぁ…ヒスイ様の凛々しいお背中…はぁ…」
「はいはい。1人変態居るけど木にせず出発するよ〜」
「あ、2人とも【魔法障壁】忘れずにね。前からの風が結構強いからね」
ブワッと大空に浮かび上がったヒスイの背中での移動は毎回思うが前から風が叩きつけてくること意外は快適である。
空から眺めてみるとあれだけ大きいと思っていたエリーゼの村も小さく見える。
これだけの高さだと、山の向こうの森まで一望ができる。
『ヒスイ。このまままっすぐ行くとエドガーさんが地図で指さしていたところだと思うんだけど』
『あ、そーだね。じゃ、このままビューンっていくねー』
なんとなくで移動したのだが、思いの外簡単に山賊のもう一つのアジトが見つかってしまった。
「こんなに簡単に見つかっていいのかな?」
「いいんじゃないかしら?楽だもの」
「そうですわね。見つからずにずっと探し回るよりはマシですわね」
確かにそうですわねカミラさん。ずっと探し回るのはめんどくさすぎて死んじゃうかも。
「ふぃ〜。ついたついた。それでエル君思いついた?」
「えっと?なんだっけ?」
「移動が楽になる魔法考えるって言ってたのに忘れちゃったの?」
あ、完全に忘れてたわ。
「よーし。今から考えるからあれだ。みんなに調査は任せたよ」
「そう言って仕事しない気でしょエル君」
「いや〜別にやりながら考えててもいいんだけど、きっとどっちかで間違えるよ僕」
「さぁ、エルくんが考え事をしている間にさっさと済ませちゃおっか」
「そうですわね」
うんうん。それでいいぞ…なんか気になる言い方をされたけど、まぁ、いいか。
みんなが洞窟に入っていくのについていきながら魔法の理論を考え始める。
そもそも、移動用の魔法ってどういう理論で移動をしているのだろうか?
単純に僕という存在を一定の点から点へ移動させることが正解なのだろうか。
移動すると言ってもどうやって移動するのだ?
一番初めに思いつくのは空を飛んで移動をする方法だ。
確かに今しがたヒスイの背中に乗って空から眺めた光景は素晴らしいものだったが、あの高さまで自分の体を持っていくことができれば…
いやいや、待て待て。あの高さまで飛んだ後にどうやって高度を維持する?それでさらに移動をする必要があるのだからその推進力はどこから来るのだろうか?無理やろ…
うーんあれだ。漫画の中の先人たちは言っていたじゃないか自分の力をコントロールして飛ぶ技があると!
いや、やっぱり無理だよ…だいたい思い出してみてくださいよ。山賊の頭と対峙した時にかなりの量の魔力を体から放っていたけどそれをまとって移動することしかできなかったではないか。
「エル君今回のはかなりの難問みたいね」
「んぁ?エーシェ?」
考え事をしていた結果全く周りが見えなくなっていた僕の顔の目の前にエーシェの顔があった。
びっくりして変な声が出ちゃった。
「なんかうまく行きそうな感じがしなくてね〜。そもそも人類は飛べないんだよ」
「急に何を言い出すのよエル君…確かに私達は飛べないけど…飛べないなら飛べないなりに違う方法があるんじゃないかしら?」
飛ぶ以外の方法か…それはそれで…
移動ってのは今回の地図で見ると…
地図…?
「あ、なんかうまくいくかも?」
「そう。良かったわ」
それだけいうとエーシェはまた荷物を数える作業に戻っていった。
地図上で見れば今回の移動は村からこの洞穴までの移動だ。
直線的な移動をしたと考えれば…始点と終点だけ結ぶことができれば…?
だとしても、どうやって始点と終点を結ぶんだ?
場所と場所をつなぐのは鉄道だったり、車だったり…そもそも移動の始まりは…ドアだよな。
いや、待て?それ某ピンク色した扉と同じじゃないか?いいのかそれ?
でも、著作権は前の世界にあるわけで、著作権とかを確認する人たちもあっちの世界に居るわけなんだから…問題はなさそうか…
うーんうーんと腕を組みながらぐるぐると歩き回っていると、コートが引っ張られる感じがする。
「何?今ちょっと考え事しているから話なら後にしてほしいんだけど」
くいくいっとまだ服が引っ張られ続ける。おいおい僕の話を聞かないのは誰だ?エーシェか?ヒスイか?カミラってことは無いだろうけど…
「みゃぁ」
とうとううちのメンバーは人の言葉も話せなくなってしまったのか?
ぐるっと後ろを向くとそこには見たこと無い女の子がそこに居たのだった。
「みゃぁぁぁ!?」
そして、僕からはびっくりする言葉が飛び出していたのだった。
【あとかたづけ②〜みゃぁ?〜】最後までお読みいただきましてありがとうございました。
そんなわけでもうちょっとだけ3章が続きます。
それにしても移動魔法を考えた人は偉大ですよね。現実社会では発達した移動手段を全く別のアプローチから異世界で表現するなんて。天才ですね。
ところで、今回の後半の部分は怒られないか心配なのですが、変更があったら察してくださいね…
【NGシーン】
ナーシャ救出作戦のときと同じように、僕とエーシェが前の列に、ヒスイとカミラが後ろの列に…
「カミラ何してるの?」
「私がヒスイ様の椅子になります!さあどうぞ!」
ここに来て変態が前回である。
「え、普通に嫌なんだけど」
「そ、そんな…私の太ももではお気に召さないとでも…それであれば私が手と足で椅子になります!ささ、ヒスイ様はどうぞ私の背中に!」
「それも嫌」
すっげーヒスイがゴミを見るような目でカミラを見てるよ。
あんな表情見たことないわ。
「そ、そんな…私どうすれば…」
いや、普通にしていればいいんじゃないかな?僕はそう思うけどね。
「はーいそこまでー。カミラ…欲望を抑えようか。あと、ヒスイはそんな殺意のこもった目をしちゃ駄目だぞ?お前が頑張っちゃったら山一つ消えるんだから」
「…わかったよ。じゃあ、カミラを頑張って制御してよねざーさん」
「はいはい」
そう言ってこのシーンは取り直しとなり、みんな部屋から出ていった。
その結果、エドガーさんが普通にに入るのは面白くないって言い始めて僕が引きずられながら部屋に連れて行かれるシーンになったのであった…。
カミラがあんなことをしなければ…
「はいみんなお疲れー。3章も後ちょっとだから頑張ってねー。そんなわけで次回は【あとかたづけ〜子猫拾いました〜】お楽しみに」




