そうだ!⑤〜不穏な知らせ〜
エルドナス母の魔法で親子喧嘩(?)も収まり、また平和なお話が始まる…はず?
やたらと強い父親と重力魔法を操る母親の全職とは?
そして、手紙の内容とは?
母さんの魔法で土に埋まっていた父さんは無事ヒスイが回収してくれてみんなで再び家に入る。
「それじゃ、いろいろとあったけどそういえば私たちの自己紹介がまだだったわね。ほら、あなたあなたからね」
自分で地面で埋めたのに自己紹介を父さんから振るという鬼畜な母親である。
「お、おう…そうだな。俺はアレンっていうんだ。よろしくな」
そういえばそんな名前だった気がする。
「私はカラティナよ。それであなたはエルと喧嘩までして何かわかったのかしら?」
「こいつが本気だってことはわかった。急な話で俺も動揺していたからな。気持ちの整理もついた」
うちの父親は人と戦わないと気持ちの整理が出来ないのか?もうちょっと考えて行動してほしいものですね。
「そんなことしなくてもちゃんと相手も連れてきているんだから本気に決まってるじゃない。そんなこと来たときからわかっていたのに…本当に男って…」
ああ、父さんがなんかちっちゃくなっていくように感じる…
「あの、カラティナさんは昔私と会ったことありますよね」
「あらあら覚えていたの?ああ、私のことはお義母さんって呼んでくれないとちゃんと答える気が起きないわね〜」
あらあら、我が母親が急に陰湿な感じに見え始めたの気のせいですか?どうしちゃったの母さん?
「えっと…お、お義母さん?」
「あらあら!いいわね!うちは男ばっかりだから女の子の声でそう呼んでもらえるのは嬉しいわね!」
それが目的かぁ…何だよ僕が高い声で呼べば解決したんじゃないですか?あーあ〜…うん。行けそうだ。お母さん!…だめかぁ…
『エルくん何してんの?』
あの、ちょっと…人の思考読むのデフォ設定にするのやめてもらえませんかね?
『いや、なんでもない…』
『悲しいことやるのはやめなよ…』
ははは…
「それで、お義母さんは昔王都で私と会ったことありますよね。あの魔法…重力魔法は見たことがあるんです。小さいときだったので記憶が曖昧ですけど」
僕は母さんのあの魔法始めてみたんですけどね?なんで見たことあるんですか?
「この魔法は基本的にいろんな偉い人とかに止められていたからね〜あまり使った覚えは無いんだけど…そう言えば一度お城の中で使ったことがあったこかもしれないわね〜」
見たことが無いと思ったら偉い人に止められるって母さん何者なんだよ…
「私のおぼろげな記憶が確かなら、うちの父…国王に向けて使ってませんでしたか?」
なおさら何をしてるんですか!?ほんとに何者なのこの人!!
「あー!そうよ!王様を説得する最後の材料として使ったんだったわ!あの時のエーシェちゃんってまだちっちゃかったのによく覚えているわね!」
「そ、それは…自分の親が地面に張り付いていたら嫌でも記憶に残りますよ」
そりゃそうだろ…
「お前…そんなことまでしてあそこ抜けたのか?」
「だって仕方ないじゃない!王様が家でもなんでも用意するから子供を産んだ後にゆっくり戻ってきてくれてもいいから何でもいいから残ってくれって私の意見を聞いてくれないんですもの。仕方なくよしかたなく」
「え、えーっと…僕も父さんと母さんのここに来るまでの話って詳しく聞いたこと無いなぁって思うんだけど…」
「エル君お父さんとお母さんのこと知らないの?」
ぐうの音も出ません…
「そういえば…話をしたことなかったか?」
「そうね。話したことなかったかもしれないわね。普通勉強とか始めた頃に気になって聞くものなのに、この子ったら勉強を始めたと思ったらすぐに全部出来るようになってるし、魔法とかそういうことにしか興味がなかったから話すのを忘れていたわね」
たしかに僕から聞いたことなかったかもしれないな…
「そうだな。5歳くらいになったら勉強をって思ったらすぐに全部できるようになってたし俺らなんかより頭が良くって天才だ神童だって2人で喜んでたんだなぁ。懐かしいな」
「あらあら、そういえばそうだったわね〜。ある日突然私達が教えられる最低限の勉強は全部出来るようになっちゃってってびっくりしたわ〜」
あ…それって…
「もしかして…それってエルくんが5歳くらいの頃ですか?」
「そうそう!それくらいの頃よ!最初は文字を読むのもおぼつかなかったのにある日から急に全部出来るようになっちゃったのよ!も〜天才ってなったのよね〜」
しらーっとした目線がこちらに…き、気のせいだよね?
『エルくんってお父さんとお母さんにあの話してないの?』
『し、してない…』
『それでかぁ…』
これはここでもカミングアウトしないといけないやつか…
『大丈夫よエル君。あなたの両親はあのことを話したくらいであなたのことを嫌ったりしないわよ。それに私達がついているじゃない』
そうだね。これ以上無いくらい心強い仲間が一緒だもんね。大丈夫だね。
「そのことなんだけどさ…実は2人にまだ話していなかったことがあるんだよね」
僕の言葉を聞いて2人はキョトンとする。
「どうしたんだ改まって」
「母さんもびっくりしたわ。どうしたの?これ以上私達が驚くことなんてそうそう無いわ」
たしかに急に帰ってきたと思ったら、ドラゴンと一緒に居ますってのと結婚しましたってネタを持ってきておいるんだからこれ以上驚かせるものでもないか!
「2人には話したこと無かったんだけど、僕転生者ってやつらしいんだ。家にいる時は実感が無かったんだけど、この2人と一緒に居てようやくわかったんだよね」
あらら?2人とも固まってる?
「あ、あの〜?父さん?母さん?」
「は!す、すまん。今日一番驚いてちょっと動きが止まってしまった」
これ以上驚かないって言っていた母さんはまだ帰ってこない!
「さっきこれ以上驚くことは無いって言ってたのに…頑張って話したのに…」
「すまん。ちょっと驚きすぎてな…ほら、母さんも戻ってこいって」
父さんが固まったままになっていた母さんの肩をゆさゆさと揺らす。
「あら、あらあら?私どうしちゃったのかしら?」
「ほら、こいつの話で俺たちびっくりしちゃって固まってたんだよ」
「そういえばそんな気がするわ」
「でも、これでこれまでのエルの変な部分にも納得がいくな」
「そうね〜急に文字が読めるようになったり勉強ができるようになったり私達が知らない言葉を話し始めたりとかも納得がいくわ〜」
僕ってそんな不思議ちゃんだったんですか?初耳なんですけど?ほら、そこの2人…わかるわぁ〜って目線をこっちに向けない!
「そうだな。いつもちっちゃい時にいつも言っていたファンタジーだって言葉はなんだろうって思ってたけど納得がいくよな」
あーそういえば、最初の頃はそれ口走ってたかも…
「そうか…うちの子は天才だと思ってたけどそれは違ったのか」
いや、天才だって思っててくれたままでいいですよ別に!
「あなた。そんなことないわよ。エルはエルなんだから。そうよね?」
そんなの…決まってるじゃないか!
「母さんの言う通りだよ。確かに僕は5歳の時に前世の記憶が蘇ったけど、それまでの2人との思い出も覚えているし、この世界のエルドナスであることは変わらないよ」
「そうか…不安になったのは俺たちだけだったらしいな」
「そうね」
ふふっと2人で目を合わせて笑い合う両親。
「それで…さっきの話なんだけどさ、僕が生まれるまでの2人って何してたの?」
「ああ、その話だったな。俺と母さんはここに来るまではエドガーと同じく王都に居たんだ。俺はエドガーと同じく冒険者をやっていたんだ」
「私は冒険者じゃなくて王宮魔法師団に居たわ」
そんな気はしたけどやっぱりそういうことだったか。
エドガーさんとは昔なじみって言っていた気がしたけど、父さんはやはりそういう繋がりだったのか。
それは置いておいて…母さん?王宮魔道士団所属ってびっくりなんですけど?
「私の記憶が確かなら、エル君のお母さん王宮魔道士団の団長も努めていたのよ」
「え!?ええ!?」
「そうなのよ〜。ああ!そうだったわ!それでなかなか私が結婚して違う場所に住むって言ったらぜんっぜん首を縦に振ってくれなかったから垂直に落としたのよ」
垂直に落としたってなんだよ…
「そしたらやっと認めてくれたのよ〜」
それは力ずくで認めさせたの間違いなんじゃないかな母さん…
「いやーあれは大変だったな〜」
そりゃ国として主戦力2人が抜けたら困るだろうよ…
「ちなみにこの2人が抜けた王都ってどうなってたのエーシェ?」
「私はまだ小さかったからあまり覚えていないけど、お父様が魔法師団長を決めるのが大変だったと行っていた気がしたわ」
なんともまぁ…うちの家族全員がすみませんね…
父母は勝手にこんなところに移り住むわ息子は自分の末の娘を奪っていくわで…
「次に王様に会った時はちゃんと謝っておくよ…」
「あら、じゃあお願いねエル。私達はもう王都に入るつもりすら無いから」
そこまで王都に行きたくないと言われるとなにかもっと深い事情が有るんじゃないかって思っちゃうよね。何があったんだよ…
「そういえばエル。あなた達急に帰ってきたけど、いつまでうちに居ることが出来るのかしら?」
あー考えて無かったかも…
「いや〜それが、いろいろとあって僕らの家…なくなっちゃったんだよね〜次の家を決めるまで厄介になろうかなって思ってるんだ〜」
「家がなくなった?何があった?」
ここまで色々と話しをしていた気がするけど、家がなくなった話はしていなかったな。
「なんかここ最近この近辺に山賊が現れているらしくてね。そいつらがエリーゼの村まで来た時に僕らの家が事故で燃えちゃったらしくてね…帰る場所も無いからここに来ちゃった」
「お前よくその状況で笑ってられるな…」
ま、あれだよ…割とショックだったよ?でもみんなで前に歩きだそうって決めたからね。なんとかなったよ。
「じゃあ、ゆっくりしていけるのね。良かったわ」
なんだかゆっくり出来るのは久しぶりな気がするな…この前はゆっくり出来ると思っていたらエドガーさんにぶち壊されちゃったからな〜。
「2人も自分の家だと思ってゆっくりしていってのよ」
「ありがとうございます」
「はーい!」
僕がここに居た時は父さんと母さんの3人だけだったからこれだけ人数が居ると賑やかでいいな。
ちょいちょいと母さんが手を拱いているので近づくと他の2人に聞こえないように耳打ちをしてくる。
「いい子たちね。みんなで仲良く居るのもいいけど…私早く孫の顔見てみたいわ〜」
「なっ!?急に何!?」
「あらあら、赤くなっちゃって。いつまで立っても可愛いわね」
急に何を言い出すんでしょうかねこの親は…そういうのっていうのは手順とか色々とありましてね…ほら、まだ今はソウイウ段階じゃないんだよ…そういう話はまた今度!
「あ、そうだわ!あなた達急に来るものだから夕食の用意が足りないわ。何か取りに行ってきてもらえないかしら?」
「それなら得意だよねエルくん!」
「えっと…熊でいい?」
「熊はでかいなぁ…さばけるかな俺…」
なんで急に自分の料理スキルに疑問をいだき始めているの父さん?大丈夫…大丈夫だよエドガーさんも出来ていたから!
「じゃ、みんなお願いね」
さてさて、どこに居るのかな僕達の夕飯になる熊さんは…
「エルくんこの辺にもクマいるの?」
「たしか…居た気がする」
「気がするってほんとに居るの?」
「た…たぶん」
2人の視線から逃れるために空を見上げると空には鳥が飛んでいる。
あれ?あんな鳥見たこと無いんだけど?何あの大きな鳥?
「エルくん何かあの鳥こっちに向かって飛んできていない?」
「そうね。私もそう思うわ…あれは…」
ずんっと音をたてて大ききな鳥が地面に降り立つ。
大きさは1メートルくらいくらいか?今日の晩飯決定か?
「なにこいつ?」
「エル君。これは緊急連絡をする時に使われる連絡用の鳥なの」
えーそんな設定あったの?知らなかったんですけど?てっきり今晩のご飯になるものだと…
連絡用の鳥の右足には箱がついていてそこからエーシェが紙を取り出しす。
「エドガーさんからみたい。エル君読んで」
渡された手紙を開くとエドガーさんがかなり急いで書いたであろう文字が書かれていた。
エルドナス エーシェ ヒスイ
半年ぶりにエルドナスが実家に帰ったってのにこんな形の連絡ですまない。緊急事態だ。
お前らに会ってから依頼に出かけたナーシャと連絡が取れなくなった。
いつもあいつは朝に出かけたら午後には報告として組合に戻ってくるんだが、今日は一日帰ってきていない。
依頼が依頼なだけに心配になってしまってな。
せっかくのところ申し訳ないが、すぐに戻ってきてくれないか。お前らが戻ってき次第ナーシャの捜索に向かう。よろしく頼む。
うわーマジかこれ…
「エドガーさんなんて?」
「緊急事態だって。すぐに戻ってこいってさ」
「何があったのよ」
「ナーシャとの連絡が取れなくなったって。急だけど戻ろうか」
「「わかった」」
「ヒスイ!飛んで戻るから準備しといて!僕は父さんたちに伝えてくるから!」
「わかった!」
ドタバタと家に戻って扉を開ける。
「父さん!母さん!ごめん!急だけど依頼が来た!」
「エドガーか…おう!また帰ってこい!」
「あらあら、随分と急ね。怪我しないでね」
「うん!行ってくるよ!」
バタンと扉をしめてヒスイに飛び乗る。
「カミラ!どうせ近くに居るんだろ!出てきてくれ!お前の力を借りるかもしれないからついてきてくれ!」
近くの木からばっと影が現れヒスイの背に降りる。
「話はわかりませんが、ヒスイ様と一緒に居られるのであればどこへでも行きますわ」
やっぱり居たのね…でも、こいつがいれば心強い。
「そんじゃ行こうか!」
「わかった〜!全速力で行くよ〜」
「みんなーあれだ…【魔法障壁】張っとけー?それでたぶん振り落とされなくて住むはずだからああああああああああああああああああ!」
【そうだ!⑤〜不穏な知らせ〜】最後までお読みいただきありがとうございます。
今回もまったりペースでの更新となりました。
そんなわけで、エルドナス父と母の名前ですがタバコふかしながら考えてたらふっと降ってきました。ま、だいたいいつもこんな感じっすね。
さてさて、お話は急展開です。唐突に不穏な雰囲気が…ほらほら楽しい話ばっかりしていてもね?
【次回予告】
ヒスイ『みんな大丈夫?』
エル『魔法障壁張ってればなんとか?』
エー『これならすぐに村に着くことができそうね』
ヒスイ『カミラは振り落とされてもいいよ。なんでしぶとくくっついてきてるの?』
カミラ「っ…」
エル『これ、嬉しそうにしていないか?』
エー『ほんとね…』
エル『変態は置いておいて…そろそろやっておくか…うわぁちゃんとメモが置いてあるのムカつくわ…気持ちを切り替えて…と。次回!【山が騒ぐ①〜捜索作戦開始〜】お楽しみに!だから楽しめねぇって!』




