そうだ!④〜だから話を聞いてって〜
エーシェが爆弾を投下したしたことにより自体が急変したエルドナスの帰省。
さてさて、エルくんはどうやってこれまでの話をするのでしょうか?追い込まれたときほどエルくんは強いからどうなるか楽しみですね!
気まずい沈黙が続く。
すっごく笑顔なのに目だけ笑っていない母親と顔がずっと引きつっている父親の視線が痛い…
飲んでいたお茶の入った湯呑を机に置いて深く呼吸をする。
「えっと、どこから説明したらいいものか…とりあえず、さっきエーシェが言っていたことは事実なんだけど」
「聞いていないのだが?」
「私も聞いてなかったわね」
「今言ったからね!初めて話したんだからそりゃ初めて聞くだろうね!」
この親は…ほんとに…
「まず、僕らはここから一番近いところにあるエリーゼの村でたまたま同じ日に冒険者になるための試験を受けたんだよ」
「それで結婚したのか…それにしたって早すぎるんじゃないか?」
「そうね〜さすがに早いわよね〜」
「俺達だって出会ってすぐってわけじゃないからな…」
「出会いは最悪だったものね〜。会った最初の日はもうあなたに会わなくていいと思っていたもの」
「お前そんなこと思ってたのか…」
「何よ最初に喧嘩を売ってきたのはあなたじゃない」
「そうだったか?」
「そうよ!エーシェちゃん!覚えておきなさい!男っていっつもこうなの!言ったことを全然覚えてないの!本能だけで行きているのよ。この子もきっとそうだから覚えてなさい」
「…は、はい」
勝手に2人で話し始めて急にエーシェを巻き込む…自然災害かよ。
「それでまだ詳しい話が聞けていないのだけど?」
「全然説明になっていないぞエルドナス」
「…お前ら話を聞けよ…」
「あら、私達に向かってお前らですってあなた!反抗期?反抗期なのかしら!」
「今まで素直に育っていた分1人で半年も生活していたらそうなるか…来るものが来てしまった感はあるな」
「まさかこんな形で反抗期を実感するなんて思わなかったわ」
「どうせ反抗したところで意味のなかったことだって時間が経てばわかるんだから無駄な抵抗はよせ」
「そうよ!エル素直になりなさいって」
「そうだな。素直に話すべきだぞエルドナス」
「だから話を聞いてって!」
全く話を聞いてくれないなんてことある?
あれ?こんな浸りだっけ?嘘でしょ?こんなに話をが通じない人たちだったっけか?
「父さん母さんどうしたの?2人ともどうしてそんなに勝手に話を進めるんだよ」
「そんなことないわよねあなた」
「そんなことはないと思うんだがな」
「いやいやいやいや、待て待て…割と2人だけでぺちゃくちゃ話してたからね!」
ふーふーと肩で呼吸をするほどの怒鳴り声を上げてしまうほどにはイライラしてしまった。
「そうか…話すつもりは無いということだな」
おいおいおいおい話をするつもりはあるのに話を聞いてくれる人は個々に居ないんですか?
どこかに話が通じる人は居ませんか!
「エルドナス表に出ろ」
うん。かっこいいよ父さん。
やっぱり親子っていうのはこういうのも大事だと思うよ…でもね…普通そのセリフを言うときは1人で扉から出ていくものだよね?
なんで僕は引きずられながらこのセリフ聞いてるの?
「あの〜?お父様?普通に自分の足で歩けますからね?というか話すって言ってたと思うんだけど、話を聞いてくれませんか?」
「用意しろ。始めるぞ」
話の準備は出来てますよ〜?でもきっとお父様が言っている準備って違うやつだよね…?
「あーもーわかったわかった。そこまで頑なに聞いてくれないならこっちでやったほうが早い気がしてきた」
エドガーさんとの模擬戦のときに持って帰ってきていたらしい木刀を【道具箱】から取り出し両手で握る。
「お前も話すつもりが無いらしいからな。仕方がない」
いやいや、話すつもりしか無いですよ!?なんでこんなにも話が通じないんでしょうかね?
「そんじゃ…どこからでもかかってこい」
「今日こそ勝つからね」
急に始まった親子喧嘩をよそに家の中ではガールズトークが始まっていた。
「それでエーシェちゃんだったわよね?どういう経緯なのかはわからないけど、家の子でいいの?」
「まだ私達も実感が無いですけど、私は間違っていないと思ってますよ」
「それならいいわ。でも、あの人と一緒であの子もだいぶ狂ってるけど大丈夫かしら?」
その言葉を聞いたエーシェは飲んでいたお茶を吹き出してしまう。
「けほっ!た、確かにおかしいなって思うことはありますけど、それも含めて楽しいですよ?ねーヒスイ」
「そうだね~。エルくんと居ると全く飽きないよ」
家の中で繰り広げられている楽しそうな会話とは打って変わって殺伐としている外の現場からはビリビリと殺気が漏れまくっている模擬戦が繰り広げられる。
「ちょっとはまともになったみたいだなエルドナス」
「ちょっとは強く慣れたとは思ったんだけど、ほんとに化け物だよね…改めて父さんの強さには憧れるよ。だから本気出すね」
あえて大ぶりで誘って強めに弾いてもらい距離を取る。
【武器交換】で木刀から魔法銃に持ち替える。
「お前…そんな高価な物どこで…まさか悪いことをしているんじゃないだろうな?」
「普通に買ったんだけど?そのへんも話そうと思ったんだけど聞こうとしないじゃん父さんたち」
【魔法弾装填】
属性:火
弾数:各8発
装填完了!
エドガーさんと父さんには遠慮なんて言葉は必要ないからね。本気で行かないとこっちがやられちゃうから。
【時間認識強化】を発動して大技の準備に入る。
できるだけ速く、まっすぐに目の前に居る物を撃ち抜く…
【銃弾の雨】!!!!
「目くらましにもならん」
目の前位には魔法弾しか見えない状況なのにも関わらずまったく動揺する様子も無い恐ろしい父親である。
「だよねー。知ってた」
この技でもきっと父さんを動揺させることが出来ないことまではなんとなく想像がついていた。
もともとこれだけで終わるつもりなんてのはさらさらない。
【魔法弾装填】
属性:火
弾数:1発から25発
特性:一定時間後に分裂し中心に向けて発射
装填完了!
さてさて、まださっきの着弾してないけどやっちゃおう!
全方位弾発射!!
どどど!っと【銃弾の雨】が父さんに当たったタイミングで全方位弾が父さんが元いた場所から半径2メートルの半円状に展開される。
球状だった魔法弾が矢の形に変わったタイミングで中心に向けて発射される。
土煙が更に舞い上がり父の姿を完全に見失う…これさ土煙上がらない方法無いかなぁ?毎回この後探すのに苦労するんだよ。
「魔法はある程度上達したじゃないか。これほどの攻撃は久しぶりだったぞ、成長したなエルドナス」
声が聞こえたと思ったら右手に持った木刀の一振りで土埃を吹き飛ばしやがった。ほんとにばけもんじゃねーか…
さてさて、もう残っている手は…あれか〜…さすがにあれは人を殺害してしまうほどの可能性が秘められている技だからなぁ…
でも父さんだったら大丈夫かな?でも時間稼ぎしないとな…
「終わりなら俺から行くぞ」
エドガーさんもそうだけどさ、この人達なんなんだろうね?なんで勇者にすら効いた(はず)の魔法が全く効かないんですかね?この世界のパワーバランスおかしくないですか?力の配分間違ってませんか神様!
時は少々遡り、エルドナスが【銃弾の雨】を放つ少し前。
「あらあら、王都でそんなことがあったのね。大変だったわねエーシェちゃん」
「私も大変だったんですけど、エルくんとヒスイの方が大変だったと思いますよ」
外から聞こえてくる木刀同士がぶつかり合う音などには全く知らぬ存ぜぬで進むガールズトーク。
「あの子がこの家を出てから半年で私達が想像していたよりもいろんなことを経験していたことはよくわかったわ。2人とも家の子と仲良くしてくれて本当にありがとうね」
「そんな感謝されるようなことなんてしてないですよ」
「そーそー!僕達はエルくんと居たいから一緒に居るんだよ。毎日楽しいもん」
「良かったわ。それにしてもエーシェちゃんきれいになったわねぇ」
「え?どこかでお会いしたこと…」
どどど!っと家の外から振動が響く。
「あらあら、これはちょっとおいたが過ぎるようね…」
すっと立ち上がったエルドナスの母親の表情を見てヒスイから念話が飛ぶ。
『エーシェ…エルくんのお母さん目が笑ってない…』
『さっきよりも怖いわ…』
「そろそろ止めに行きましょうか?」
がちゃっと扉を開けて外の2人の様子を見てヒスイが驚く。
「エルくんあれ使ってるの!?あれ普通の人に使っていい技じゃないよねエーシェ」
「あれって勇者に向けて使っていた地面からたくさん槍が出てくる魔法よね?さすがにまずいんじゃないかしら?」
「あら?エルったらそんな怖い魔法まで出来るようになったの?大きくなったわね〜成長が嬉しいわ。でも、それはさすがのあの人でもまずいかもしれないわね」
戦況を確認して一歩前に出るエルドナス母。
夫と息子に向けて右手を構える。
「エーシェちゃん、ヒスイちゃん。よく見ててね。これが2人の止め方よ?【超重力】」
詠唱が終わると対峙していた2人が地面に膝をつく。
「な、何?急に体が重たく!?」
「か、母さん!?その魔法は封印するって言ってたんじゃ…」
一歩一歩2人のもとに歩み寄って来る母親の姿を見てこの状況を作っているのが母親だということをすぐにわかった僕は動かない体を無理やり【筋力強化】で動かして土下座の態勢になる。
「あら、エルは反応が早いわね。それに比べてあなたは…」
もうすでに僕の視界には地面しか見えていないんですけど、父さんの方から悲鳴というかうめき声が聞こえてきたような気がするんですけど?
すっと首を捻り父親が居たほうを向くとそこには地面に無惨にもめり込んでいる父親の姿があった…
「2人とも?なにか言うことがあるんじゃないかしら?」
うん。すぐにわかったよ。ここで僕の取るべき行動が!
「暴れまくってごめんなさい!」
「あら、反抗期かと思ったけどエルはやっぱり素直で良い子ね」
母さんの言葉が聞こえたと思ったら体がすっと軽くなった。
こういう時は謝るに限るね!!
頭を上げると父さんはまだ魔法を解いてもらえていないようでまだ地面に埋まっていた。
「エルはちゃんと謝ったのに父親のあなたは何も言ってこないなんてどういうことなのかしら?」
「いやいや、待ってくれよ母さん。俺この状態だと誠心誠意謝るなんて出来ないから魔法を解いてもらってからじゃないと…」
「エルは魔法の中でもちゃんと謝ったのに?」
「ぎゃあああああああ!!!!!」
地面に更に埋まっていく父親…完全に地面に埋まってしまった…父さんピクピクしてるけど大丈夫じゃないよね!?
「か、母さん?そろそろ父さんの魔法を解いてあげないと今後も永久に土の中に埋まることになっちゃうんじゃないかな?」
「あら、そんなつもりはなかったのだけど、そろそろ許してあげましょうか」
すっと右手をおろしてこちらに微笑む母。やっぱり目は笑っていません。
「さて、もう一回お茶でも飲みながらお話しましょうか」
何事もなかったかのように家に戻っていく母親を呆然と見送るしかない僕はなんて無力なんだろうか。
「あんな魔法始めてみた…母さんってすごいんだ」
そんなことをつぶやきながらよろよろと立ち上がった僕のもとにエーシェが駆け寄ってきてくれる。
「エルくん大丈夫?」
「大丈夫だよ。ちょっと母さんの魔法にびっくりしちゃっただけだよ。それにしても母さんがあんなすごい魔法を使えるなんて始めて知ったよ」
「きっと私達じゃエルくんのお母さんの足元にも及ばないわよ」
「え?どういうこと?」
「きっとこの後わかるわよ。私あなたのお母さんと昔会ったことあるみたいなのよ。あの魔法にも見覚えがあるわ」
なんで僕より僕の母さんのこと知ってるのお姉さん?
エーシェに手伝ってもらって僕は家に入る。
なお、父さんはまだ地面に埋まっているのだった。
ヒスイ…後は頼んだ…
【そうだ!④〜だから話を聞いてって〜】最後までお読みいただきありがとうございます。
タイトル通り全く話を聞いてもらえなかったエルくんでした。可愛そうに…
更新まで時間がかかってしまいましたが、ここまでとは言いませんがまったりと更新していけたらと思います。ちょっと更新の間が空きすぎてどういう話にするかっていうのを完全に忘れちゃってて困りましたよ。
前回作っておいたサブタイトルからこんな感じの展開にしてみました。エルくんが父さんと戦うところと母さんの魔法で解決することは覚えていたのでなんとかなりました。ふー良かった良かった。
いろんなことを忘れたついでに父親と母親の名前の設定まで忘れてしまっていました。どうしましょ?次回までに考えておきますね…
【次回予告】
ざー「最近君たち僕に対して塩対応過ぎると思うんだけど」
エル「そうかな?」
エー「そんなことないと思うわ」
ヒスイ「そうだよね。いつもどおりだよ」
ざー「僕が色んな方法で頑張って次回予告考えているのに…最近読み上げてすらくれないじゃん!」
エー「状況を考えてほしいわね。エルくんがボロボロになっているときにあんな物張られても困るわよ…」
ざー「うん。それは反省しているよ?でも読み上げてくれてもいいじゃん!」
ヒスイ「そっか〜…ざーさんも悩んでたんだね〜」
ざー「え?やめて急に優しくされても心が動くわけないんだからね!」
エル「おっさんのツンデレなんていらないんですけど…ほら、今回は久しぶりの更新だからってあとがきがいつも以上に長くなってるよ?そろそろやらないと」
エー「そうね。次回!【そうだ!⑤〜不穏な知らせ〜】お楽しみに!…お楽しみに出来るようなタイトルじゃないわね」
ヒスイ「そうだね〜。ざーさんはどんな気持ちでお楽しみにって言わせているんだろうか?」
ざー「…」




