エリーゼの村での日常④〜ちょ、まっ…〜
話の流れでナーシャと模擬戦をすることになったエルドナス。
後輩に負けたくない一心でエルドナスは頭をフル回転させて悪巧みを…?
【魔闘気】と唱えたナーシャの体の周りには遠目でもわかる量の魔力が体に纏っていた。
いいなーそれ必殺技っぽくてかっこいい!
「【土操作】」
ズズズと地面の土が動き始め、僕とナーシャの周りにランダムに土で出来た柱のようなものができていく。
僕は土属性の魔力は苦手だからここまでの量の土の形を変えることは出来ないから羨ましいと素直に思ってしまうのは仕方がないのかも知れないなぁ…
「おいおい…これもとに戻るんだろうな?」
修練場が魔法で大変なことになってしまった状況をみてエドガーさんは頭を抱えながらそんなことをつぶやいた。あ、その作業に関しては僕パスで!
土製の柱が出来上がったのを確認してナーシャがその場から跳躍する。
ぴょーんって飛んでてバネあるな〜…いや、待てお前飛びすぎやろ!身長の3倍くらい飛んでるんじゃねそれ?あばばば!
ぴょんぴょんと土の柱を利用しながら移動をしているナーシャに対し魔法弾で対抗することにしましょうか。
当たるかなあれ?
【魔法弾装填】
属性:光
弾数:各8発
特性:ホーミング
さっきの状態でも避けられちゃってたりするからこれたぶん避けられるけど、何もしないよりかはマシか…
さてさて、狙いをすまして〜発射!
飛んでいった魔法弾は緩やかな弧を描きながらナーシャに向けて飛んでいくが、曲がっていく途中で柱に当たってしまった。
これだけ障害物がある状態ではホーミング弾は有効ではないんだな。良い学びをしたかも。
いくつかの柱を蹴っては飛び蹴っては飛んでいくナーシャは少しずつ僕の方に近づいてくる。
うん。当たらないならひきつけてから打てばいいか!
トンットンッと軽く動いてるけどあれ重力無視してるんじゃなかな?何でもありか魔法って…
僕の右斜め前の柱に飛び移ったナーシャは僕の方に向けて飛んできてくれた。ありがとうやっと狙えるよ。
まっすぐこっちに向かって飛んできているナーシャに向け残ってい魔法弾を全て打ち込む。
「効かないっすよ!!」
ばっと両腕を顔の前でクロスさせてそのまま魔法弾をぶち破ってそのまま飛んでくる。なにそれ!?
さすがにそんな状態のやつを迎え撃つのに魔法銃だとほぼ確実に死んでしまうので【武器交換】で木刀に持ち替えて力比べを剃ることにする。
「よっしゃー!思いっきりこい!!」
手にした木刀を上段に構えて飛んできたナーシャに向けて思いっきり振り下ろす!
ずざざざっと踏ん張っている両足がナーシャの攻撃のに耐えきれずもともと立っていた場所か押されていく。
重たいって言ったら失礼かもしれないけど…重たい攻撃だなぁ〜。
あ、体幹が…
グラッとバランスを崩したタイミングでナーシャの攻撃の威力で後ろに思いっきりふっ飛ばされる。
あれれ?僕のほうが絶対体重的に重たいはずなんだけど、こんな勢いでふっ飛ばされるのはびっくりだなー。
「まだっす!」
おいおい、待ってくれよなんで吹っ飛んでる僕より速くこっちに飛んでくるんだよ…
このままだと僕はあれですね。ふっ飛ばされたまま背中で受け身も上手く取れずに痛い思いをするか、ナーシャに追いつかれて地面に叩きつけられるかのどっちかですね〜。どっちも痛いじゃん!嫌だなぁ…
痛いのは嫌なのでなんとか緊急回避の方法を考えなくてはいけませんね。
あー1つ思いついたけどこれできるのかな?でも時間も無いしやるしか無いか〜。
【魔法弾装填】
属性:火
弾数:各1発
特性:魔力を広い範囲に放出する
上手くいってくれよ?魔力の注入を始める。
いつも使っている魔法弾だと反動は少ないから使う魔力はあるだけを突っ込んで〜…
一気に魔力を入れ込んで発射をしようとしたタイミングで体の異変に気がつく。
ドクンッ!ドクンッ!と脈打つように体の奥底から魔力が溢れてくるような感覚が襲ってくる。
なんだよこれ…魔力はもう枯渇したはずなのに…なぜ?
「ここっす!!」
緊急回避をするために両腕を頭の上に上げていてがら空きになっていた腹にナーシャの容赦ない回し蹴りが炸裂する。
「ぐぇぇ!」
そしてそのまま背中から思いっきり叩きつけられる。
「がっは!!」
お腹も痛いし背中も痛い!涙出てきちゃいそう!あら目汁が…
「まだまだ行くっす!」
酷いよ酷い!!こんな状態の先輩にさらなる追い打ちは良くないって!
後輩が容赦無い件について…
地面に向けてさっき作った魔力弾の推進力でぐるっとバク宙をして態勢を整える。
「げほっげっほ!…あーしんど…」
「なんでピンピンしてるんっすか?」
「そう見えるとしたら眼科に行くことをおすすめするよ」
「ガンカ?なんすかそれ?」
あーこの世界眼科は無いのか。行ったこと無いから知らんかった。
さっきまでかけてた強化魔法の類は全て魔力不足で解除されてるな…今使えるのは…【魔力吸収】だけか…まぁ、無いよりはましか。
【武器交換】を使う魔力も無いから【道具箱】に自分で手を突っ込んで魔法銃と木製の短剣を交換する。
「もう痛いの嫌だから攻撃くらいたくないわー」
「じゃあ、降参してください」
「やーだー」
べーっと舌を出して小学生みたいな挑発をしている僕ですが、これでも精神年齢は成人男性です。
【魔闘気】を纏ってからは自分で作った柱を使いながらヒット・アンド・アウェイを貫いていたナーシャだったが、僕の挑発に乗ったのか初めと同じように近距離で攻撃を仕掛けてきた。
よしよし、これで魔力を回復しよう。
でも、今までと違うのは【時間認識強化】を使ってないので反応がかなり遅れること…
最初より速くて重くなっているナーシャの攻撃を何発かくらいながらもやっとまともに魔法が使えるくらいには回復してきたので、とりあえず【時間認識強化】を発動する。
これで痛い思いはしなくても済むかもな…おいおいギアを上げるな!まだ早さが上がるのかよ!
「まだまだ上げていくっすよ!」
嫌だ!!何この子怖いよ〜!
よし、動きを止めよう。もう嫌だ。
【人形作成】で土で手の形を作って〜【人形操作】でナーシャの足首を思いっきり掴む。
「ぎゃ!気持ち悪いっす!!」
気持ち悪いなんて…酷いじゃないか…
よーし。もう手段は選ばぬ。
右手だけ【武器交換】で短剣から魔法獣に持ち替えてさっきほど魔力は込めないで範囲弾(仮)を装填する。
「逃げられないなら隠れるしか無いね」
【道具箱】の中に入っていたマントを取り出してかぶる。
「逃さないっすよ?」
「でも逃げます」
地面に向けて範囲弾(仮)を発射し土埃を立てる。
【属性付与】でマントに光魔法を付与してフードをかぶる。
地面にあった土を握り固めて移動を始める。
土埃が収まった段階でナーシャの様子を確認すると僕のことは見えていないようだ。
これ、ほんとに見えているのか見えていないのかがわからないから怖いよなー。
さてさて、準備は整ったね。
さっき握り固めた土を左側に投げて自分は右側からナーシャの後ろに回り込んでいく。
握り固めた土が地面に落ちた音にナーシャは僕と反対側を向いてくれたので、ゆったりと音を殺しながら後ろに回り込み首元に木製の短剣を近づける。
「はい。おーわり」
「え!?」
気がついたときに首元に刃物があったらビビるよねー僕もビビる。
「姿を消すとかズルすぎるっす」
ふはははは!勝てばいいのだ勝てば!先輩のプライドにかけて勝たなくてはいけなかったのだよ…
主にプライドだけで今回の戦いを戦い抜きました。批判は受け付けません。
「そんじゃ、勝者エルドナスだな。2人ともよくやったな」
エドガーさんに褒められた…だと?
褒められた記憶よりも打ちのめされた記憶のほうが多いのが原因だろうなきっと。
「じゃ、見てて思ったことを伝えてくぞー。まず、ナーシャだが、まだまだ経験不足だな。想定外のことが起きた時の対応が良くなかった印象だな。今後の課題だな」
「目の前から消えるのを想定しろって言われても無理っす」
「あれは、例外だけどな。それ以外も自分の攻撃が当たらなくて焦ってただろ」
「ははは…バレバレっすか…」
あら、エドガーさんに戦っているのの総評をもらったこと無かったけど、割とちゃんと見てるんだな。
さすがにあれだけの戦闘力はセンスだけじゃないわな。
「まぁ、なってからの期間を考えれば、あれだけコイツを苦しめたのは十分合格点だと思うぞ」
うん。ほんとに冒険者になったばかりだったらきっとナーシャには勝てなかっただろうな。
「あー次にエルドナスなんだが…お前強くなったと言うかなんというか…」
コメントに困るってこういう状態なのか。頭ポリポリしてるし困ってるなぁ〜。
「まず、気になったのはお前の悪い癖だが戦ってる途中で思いついたの試すのやめとけ」
あーバレてました?
「今までは上手く行ってたかもしれんが、今回は明確に失敗してたろ?」
今回の失敗…あれか、変な魔力を感じてロスが生まれた時か。
「そうっすねー。あれ魔力の効率悪かったですからねー」
「お前風魔法最初に使ってたんだからそれ使えばよかったんじゃねーのか?」
確かに!!
「あははー完全に忘れてました」
はぁ〜っと重ためのため息をついてるの割と傷つくんでやめてくださいよ…
「お前は魔力が切れたときの戦い方をもう少し見直したほうがいいな。基本的に魔法での戦い方が中心になってるからな」
たしかにそうだなー。第三者の意見って大事だな〜。
「全く魔力を使わない戦い方ってのも考えたほうがいいだろうな」
ふむふむ。じゃ、特訓よろしくおねがいしますね〜。
「あとは、あの時魔法弾が打てなかったのは想定外だったと思うんだが、あれはどうした?」
「なんか僕の想定では魔力が枯渇したはずなんですけど、体の奥の方から変な魔力が溢れてくる感じがしてなんだろうって思ってたら回し蹴りくらいました。痛かったです」
「へへへ」
うむ。良い攻撃だったぞ。いまだにお腹がじんじんするもん。
「変な魔力?聞いたこと無いな。ナーシャは感じたことがあるか?」
「無いっすよ。というか魔力が枯渇するとぐるっと目が回った感じがして立ってられないっすよ」
「そうだよな。そういうのとは違うのか?」
え?そんな感覚に陥ったこと無いんですけど?後でエーシェにも聞いてみよ。
「それとは違う感じですね…ま、原因は自分で見つけてみます」
「そうだな。もしかしたら、エリーも相談に乗れるかもしれないから後で聞いてみるといい」
理論とかそういうのに関してこの村でエリーさんの右に出る人居ませんもんね。
「さてと、この後お前らまだ時間あるか?」
「予定は無いですよ?」
「私もっす」
にやぁ〜っといい笑顔になるエドガーさん。
「じゃあ、お前らちょっと付き合え。お前らのことを見てたら俺も動きたくなってきたんだ」
「ちょ、まっ…」
「じゃあ、エルドナスは魔法を使わない戦い方についてでナーシャは予想外のことが無くなるように俺ができることを全部見せてやるから付いてこいよ」
さーっとエドガーさん以外の2人の顔から血の気が引いていく。
「行くぞ!」
「ひぃっ!」
隣りにいたナーシャから悲鳴のような鳴き声が聞こえる。
僕は木刀を握りしめたところまでは覚えてる。
瞬きをして目を開けると何故か宿屋の天井が目の前にあった。
「あれ?夢オチ?」
そんなことあるか?
【エリーゼの村での日常④〜ちょ、まっ…〜】最後までお読みいただきありがとうございます。
書いていて「ナーシャの戦闘力高すぎたんじゃないだろうか?」って思ったんですけど、そうじゃないと1人でやってけないからいいかってこのままにしちゃいました。
さて、結局エドガーさんが全部持っていきましたね。エドガーさんはそういう人ですからね。
次回からまたちょっとお話の方向が変わっていきます。お楽しみに!
【次回予告】
エー「最近やっぱり視線を感じるのよね」
ヒスイ「きっとカミラだよね…僕もそうだもん」
エー「きっとあそこにいるコウモリって」
ヒスイ「ほぼ確実にそうだね〜」
エー「打っていいかしら?」
ヒスイ「やめよ?村の中で魔法使うの今はよしておいた方がいいよ」
エー「それもそうね。あれ?何か張ってあるわね」
ヒスイ「それ知ってる。たぶんざーさんの仕込みだよ」
エー「あえて読まないのも一興ね」
ヒスイ「そうだね〜」
《「次回!【そうだ!①〜2通のお手紙】お楽しみに」って読んでね》
張り紙は風に飛ばされどこかに消えて行った。




