帰路につく④〜カミラ〜
ヒスイの知り合いというか追っかけ?だったカミラの話をみんなで聞くことになったエルドナスたち。
ヒスイの過去話回です!!
また…一緒に旅がしたい!?
カミラの言葉を聞いて僕とエーシェで一斉にヒスイの方を向く。
「どういうことヒスイ?」
それに対してヒスイはぎょっとしたような表情をしている。
「えっと…僕はそんなことをしていた記憶は無いんだよ…」
おっと?二人で意見が別れてますね…
「と、言ってますけどカミラさん?」
ああ、ほら見てごらんヒスイ…カミラ泣きそうになってるじゃん。
「そんな!緑竜様と一緒に旅をした日々は私の妄想だったというのですか!」
十分に可能性がありそうなんだけど…
「妄想なんですかヒスイ君」
「んー…ちょっと話が長くなるかもしれないけど大丈夫?」
お馬さんに頑張ってもらえれば問題ないだろうと判断して僕は頷く。
「わかった。きっとカミラが一緒に旅をしたって言っているのは数年前の話なんだよ」
え、カミラ数年間もヒスイを見つけるために一人で探し回ってたの?ヤバ!
「前にエル君たちと会った時みたいに僕は行きたいところに行って好きなことして過ごしてたんだよ。何年か前にこの大陸の北側に夏の暑さを避けに行ってたんだけど、そのときに会ってしまったのがカミラだったんだ」
会ってしまったって…そんな言い方良くないよ〜。
ほら、カミラ更に泣きそうになってるじゃん…
「北には僕らみたいな種族は少ないみたいで僕を見つけたカミラは…僕を追いかけてきて僕が飛んでいた姿の美しさについて僕に半日くらい語ってきたんだよ…」
わーすごいねカミラ…
最初っからその感じなんだね…
はいそこ!恥ずかしいですわみたいに顔を隠すんじゃない!さっきまでのはウソ泣きか!?
「まぁ、僕も暇だったから付き合ってたんだけど、それからつきまとわれるようになって…僕が移動するのにくっついてくるようになったんだよ。一人でずっと居るのも寂しいなって思ってた頃だったから来ないでとも行ってなかったらその後もずっとくっついてきたんだよ…」
はいそこ!てへっ☆じゃねーんだよ!なんでさっきから顔で語ってくるんだよ!
「そんな時間が結構続いていたと思ったんだけどさ…どっかに移動する度に僕の飛ぶ姿が美しいだったり何だったりと語られるのって恥ずかしくない?ふと気がついてから恥ずかしくて聞けなくなっちゃったんだよね」
途中まで気がついてなかったのかー。
これだから天然ドラゴン君は…
「ヒスイって鈍感よね」
「それは僕も思うよ」
「二人共ひどくない?」
まぁ、事実だし?
「話を戻すけど、それで、それに気がついてから恥ずかしいからやめてって言って注意した直後は良かったんだけど、何日か経ったら戻っちゃって…」
オタクに語りをやめろは呼吸をするなってことに等しいからな…仕方がないのかもしれないな…
「それでちょっと…嫌になって…」
急に口ごもり始めるヒスイ君。
おやおや?何かやましいことでも?
「どうしたのヒスイ?」
「きっと別れ方に問題があったんだろうねー。ほら、ヒスイ誰も怒らないから言ってみなよ」
「えっと…わざとちょうど良さそうな洞穴を見つけて…そこで一晩を明かすことにしました」
ちょうど良さそうな洞穴ってなんですかな?
「それで?」
「僕が寝たフリをして、カミラが眠ったのを確認して僕は一人洞穴から出ました」
あーそれで逃げてきたと…
「洞穴の入り口を咆哮で崩して…」
「「え!?」」
思わずエーシェと揃ってしまった。
「山の頂上の辺りにあった大きな岩を持ってきて上に乗せました…」
「やりすぎだよ…というかなんでそれでカミラさんは生きてるんだよ…」
「僕も今は反省しているよ…」
ヒスイがいたずらがバレた子供みたいに目線を合わせないで話してるのなんかかわいい!!
「と、いうことでカミラさんはヒスイとはぐれたと」
「そういうことでしたのね。目が覚めると真っ暗でしたし緑竜様が居なくなって驚きましたがソウイウことでしたら納得ですわ」
納得するんだ〜なにこの人〜。
懐が広いとかそういうレベルの話じゃないな〜。
「それでも数日で出られたので問題はなかったのですが、それよりも緑竜様を探すのに時間がかかってしまったことのほうが私にとっては辛かったですわ」
へ、へぇ〜…
ちょっと僕にはわからない世界の話ですね…
「ヒスイがそんなことをするなんてちょっと驚きね。それで、カミラは一緒に旅をしていたって言っていたのだけど、ヒスイはそう思っていないわけね」
ヒスイの方を見る。
「僕が行きたいところに移動するとカミラが勝手に付いてきただけだよ」
カミラの方を見る。
「ずっと一緒に居たのですから旅をしていたと言っても過言ではありません!」
エーシェと顔を見合わせてため息をつく。
これはずっと平行線を辿りそうですね…
「そしたらカミラさんはヒスイと一緒に目的地を決めたことはあったかな?」
「私の目的地は緑竜様が居るところと決まっていますから」
胸を張ってのすっげードヤ顔…
あ、うん。なんかごめんね?
「それで…あれだよ話は戻るけど、カミラさんはまたヒスイと旅をしたいって言ってるけどヒスイは?」
「謹んでお断りします!」
すっげーいい笑顔!!
「そ、そんなぁ〜」
演劇でよよよと泣くような仕草をするカミラ…器用だなぁ…
あーあーほんとに泣き出しちゃったよ。
まぁ、もう自業自得というか因果応報というか…何も言うまい。
「僕はあの時みたいにいろんなところを飛び回るつもりは無いんだよ。今はエル君とエーシェと一緒に居るのが楽しいからね」
おうおう嬉しいことを言ってくれるじゃないか。
「二人はエリーゼの村に戻ってからまたどこかに行く予定とかあるの?」
「私はゆっくりしたいからどこかに行くつもりは無いわよ。王都でちょっとお腹いっぱい」
そうだねー。僕ら洗脳されたり柱に埋まったり胸を貫かれたりって忙しかったもんね!
「そんなわけで僕らはまったりと過ごす予定だから旅には行かないんだ」
「…」
カミラは無言で涙を滝のように流し始める。
ちょっとそれ怖いから…
「じゃ、そういうことだから。エル君行こ?」
えー薄情だな〜。
「えっと…さすがの僕もあの状態の人を置いていく精神は持ち合わせていないんだけど!?」
さすがに良心が痛むってやつですよ〜。ホントだよ〜?
「それでもカミラは勝手についてくると思うよ。だから置いていっても問題ないよ」
えーそれはそれでいいのかなぁ?
ぺたんと座り込んで泣き続けるカミラをよそにヒスイは馬車に戻ろうとする。
「そうですわ…簡単なことでしたのにどうしてすぐに思いつかなかったのかしら…」
ピタッと涙を止めてゆらゆらと立ち上がり始めるカミラ氏…おいおいホラーだよそれ。
「あなた方が邪魔なんですの。私と緑竜様の旅のために消えてくださいます?」
目から光を失った状態で話始めるカミラからブワッと魔力が広がり始める。
「あーあ。あれブチギレちゃってるじゃん。どうすんのヒスイ」
「えー僕が悪いの?」
「今のはヒスイが悪いと思うわよ」
「えー…じゃあどうする?みんなでやったらさすがに弱いものいじめになっちゃうよ?」
弱いものいじめって…
「それじゃ、エル君頑張ってね。私は見てるから」
「そしたら僕もそうかなー。僕は敵じゃないみたいだし」
「お前ら…まぁいいけどさ…ヒスイはカミラさんの情報ちょこちょこ教えてね」
「わかったよー頑張れエル君!」
こいつらほんとに許さん…
「そんなわけで僕が相手になるよ。じゃー先にまいったと言ったほうが負けで、相手の言うことを1つ聞くって言うのはどうかな?」
「いいですわ。私は吸血鬼カミラ。ただの人間に負けるはずは無いですわ」
その言葉と共に更に魔力が溢れ出してくる。あー怖い怖い。
「あ、そうだ。僕はただの冒険者のエルドナスだよ〜。よろしくねカミラさん」
そう言いながら【道具箱】の中から短剣を取り出す。
それと合わせて【筋力強化】と【探索】を頭痛が出ない範囲で発動する。
「僕は準備出来たよー」
「では…行きますわ!」
カミラの足元にあった影が変形して手のような形になってこちらに向かってきた!?
半径5メートルで展開している【探索】の範囲内に入った段階でこの影がどのような物なのかを分析する。
僕の魔力をかき分けて来る感覚があるということは見た目通りこれには実体が有ると考えていいだろう。
おそらく影を魔力で操り実体を作り出すような魔法なのだろうが…
「あ、そうだエル君見た目通りそれ当たると痛いから注意してねー」
ヒスイそれはもうすこし早く言ってくれないかな〜ほとんど分析終えてからそれ言われてもなぁ…
魔力が籠もった攻撃となると…エドガーさんみたいに剣を振っただけでかき消せればいいんだけどさすがにそこまでの腕力は無いんだよなー僕には。
まぁ、そしたら目には目を歯に歯をだよね。
【属性付与】で短剣に炎をまとわせてみる。
これ暑いからもうちょっとどうにかならないかなとは考えてるんだけど最善解が出てこないんだよねー。
っとそんなことを考えていたら目の前まで影の手が伸びてきていた。
両手で持った短剣を使って影の攻撃をガードする。
ギィン!と金属をたてて影の手の攻撃を弾くことに成功はしたんだけど…
こっわこれ!なんでこんな甲高い金属音がしてるんだよ!どんだけ魔力込めたらこうなるんだよ!
「まだですわ!!」
ブワッと更に魔力が広がり無数の手が僕を取り囲むように襲ってくる。
「え、ちょっ!?多くない!?」
発動していた【属性付与】を解除しその分の魔力を【時間認識強化】にまわす。
時間が引き伸ばされたような感覚の中で襲いかかってくる無数の影の手を避ける為の最善の形を考える。
弾くだけでは手が足りない。
避けるだけでは逃げ場がなくなる。
ならば…避けながら弾くだけ!!
襲ってくる影の手をさばきながら踊るかのように避けては弾きを繰り返す…
でもこれ防戦一方なんだよねぇ…どうしたものか。
それにしても硬いなこの手…ほんとにどんな魔力量こめたら?あ、これ魔力か!
「ヒスイーこれ全部魔力なんだよね?」
「そのはずだよー」
もうちょっと確証が欲しかったけどいいか。
今度は【時間認識強化】を解除し【魔力吸収】を発動する。
僕の想定が正しければこれで…
僕を襲い続けている影の手に短剣を当てるとその場からふわっと消えていった。
「おっしゃ!」
敵の攻撃の弱点を見つけることが出来たので調子に乗って影の手を攻撃しまくり一気に取り囲まれていた状況から一変し随分と見晴らしが良くなった。
「魔力吸収とは…あなた何者ですの!?」
「え?普通の冒険者ですけど?」
最近こういうこと言われる回数増えたなぁ…
カミラはこれまで展開していた影の手を引っ込め始める。
「じゃ、今度は僕が攻める番ね!」
【武器交換】で右手だけ短剣から魔法銃に持ち替え魔法弾を装填する。
魔法弾装填】
属性:光
種別:全方位弾
弾数:1発から25発へ分裂
装填完了!
「逃げちゃだめだよ〜?逃がすつもり無いけど」
パンッ!と乾いた音がして全方位弾が発射される。
発射された玉はまっすぐカミラに向かって…は行かずにカミラの頭の上2メートルくらいのところに向けて飛んでいく。
「どこを狙っているのです?これでは避けるまでも…」
カミラの頭上に達した瞬間に1だった弾が25個に分裂しカミラを取り囲む。
「なんなんですのこれは!?」
あービビってるビビってる。その顔が見たくてこれやってる感は有るよね。
「あーそれ僕もびっくりしたよー。カミラそれやばいよー」
どっちの応援してるんだいヒスイ君?
分裂した弾は徐々に球体から形を変え矢に変わる。
全ての弾が矢の形に変わった瞬間に矢は中心に向けて発射される。
「言ったでしょ?逃がすつもりは無いって」
ドドドドド!と矢が着弾した音が地響きのように鳴り響く。
「さーて…これで倒れてくれたら僕は嬉しいんだけどなぁ…」
あ、これフラグじゃん。
【帰路につく④〜カミラ〜】最後までお読みいただきありがとうございます。
追い詰められるとあんな感じになるのはお約束ですよねー。
カミラの行動は一つ一つがアニメーションみたいにイメージしながら文章にしていますが、言葉って難しいなぁと改めて感じます。
漫画みたいにしてみたいですが、そこまでの技術は持ち合わせていないので…
さてさて、なんだかんだでバトルになってしまったわけですが、カミラ戦はもう少し続きます。
ヒスイをめぐっての熱い戦いが…次回決着!
【次回予告】
エー「ヒスイも意外と酷いことをするのね」
ヒスイ「ほんとに反省はしてます…」
エル「こんな感じのヒスイは珍しいよねー今日のヒスイは見てて飽きないね」
ヒスイ「二人共自分のことじゃないからって…」
エー「ほら、エル君あんまりヒスイのことをいじめないの」
エル「僕だけ!?」
ヒスイ「もういいよ…ところで今日はざーさん出てこないね」
ざー「呼んだ?」
エル「ほら、次回予告して」
ざー「作者使いが荒いなー。僕がやるより絶対みんながやったほうがいいのに。まぁ、いっか。次回【帰路につく⑤〜ただいま!〜】お楽しみに!」
ヒスイ「あれ!?カミラの話はどこに行ったの?」
ざー「まーまーそれも含めてお楽しみに」




