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帰路につく③〜なんで古風なの!?〜

王都から馬車で数時間の場所で見かけた人影…

あの人影は何なのだろうか?そんなところから今回は始まります。

「近くに集落とかがあるんじゃない?ねーエーシェ」

「え?前に泊まった宿屋のある辺りまでは特に集落があるって話は聞いたこと無いわね」

えーなにー?

真っ昼間なのにホラーですか?

普通は居るはずの無い人影が見えるとかホラー以外の何物でもないじゃないですかー。

一旦現実から目をそむけてみる。

3・2・1…

やっぱりいる〜!!!

おわかりいただけたであろうかって声が入るよ〜僕そういうのに目覚めちゃったってことですか?

貴族で冒険者で転生者で退魔師って設定もりもり過ぎてお腹いっぱいになりません?

「だとしたらなんでいるんだよ〜幽霊?」

「「なにそれ?」」

んん!?この世界には幽霊の概念がない…だと!?

「幽霊って言うのはあれだよ心霊現象と言うか…なくなった人の魂とかがこの世界に残って起きる減少的なあれだよ…怖いやつ」

なにこれ幽霊の説明ってめっちゃむずいな。

「僕よくわかんないんだけど、エーシェはわかった?」

ごめんなさいね僕の語彙力が乏しくて…昔から国語苦手なんですよねー。

「んー…私もまだ良くわかっていないのだけど、魂って話とかもよくわからないし」

全く伝わっていない…だと!?

「ご、ごめんね。例えばあれだよ…死んでしまった人の体が動くとか」

今回のはちょっと違うけどね!

「ああ、不死者ね。それが怖いのエル君」

あ、こっちには不死者って概念があるから幽霊と言う概念が無いのか。

「あー…えーっと。ちょっと話がこんがらがってきたから整理すると、前の世界では体は肉体に魂が宿っていると考えられてたんだ。肉体と精神みたいなものかな?」

「へーそんな風に考えているところもあるんだね」

「それでね。さっき話したのは死後の肉体だけが動くものをこっちで不死者というのであれば、僕がさっき言っていたのはその魂だけが残って姿を作っているような状態かなー」

「うん。わかんないけどもういいや」

「そうね。そもそもの考え方が違うから理解するのは難しそうね。それでエル君はその幽霊ってのが怖いの?」

理解するのを諦められてしまった…。

まぁ、そもそもの生まれ育ってきた環境が違ったら理解するのは確かに難しいだろうなぁ…

日本のホラー映画とアメリカの映画は根本から違うってのが有名な話だよな。

アメリカのは実在する人間がする行動に対する恐怖なのに対して日本のホラーは実在するかどうなのか怪しい幽霊っていうものが起こす現象に対しての恐怖だって聞いたことがある。

だから恐怖の対象が違うというのは致し方が無いと言うことであって…

「怖かったら何なんだよ〜」

「いや、珍しいなと思って。ね、エーシェ」

「そうね。エル君が怯えているところなんて見ることが今後もできるかどうか怪しいもの」

なんでそんなに言われなきゃいけないのかしら…

「あ、そっか!幽霊って概念が無いならあれは幽霊じゃないってことじゃん!なんで気が付かなかったんだろう!」

幽霊という概念が無いなら存在しない可能性は高い。

つまりあれは幽霊じゃない!

ということは怖くない!

以上証明終了!!

「ってことはあれはなに?」

結論…わけわからん…

「さぁ?人の姿をしているなら人なんじゃない?」

「そうね。別にこっちから話しかけなければ何も問題は無いでしょ?」

確かに!触らぬ神に祟りなしだね!

「じゃ、無視して行っちゃうねー」

まぁ、向こうが話しかけてこなければ…だけどね。

パッカパッカと馬の歩く音が響き続け先程まで遠目に見えていた人影はどんどんと大きくはっきり見えるようになってきた。

やたらでっかいなと思っていたんだけど、どうやら日傘をさしているようでそれで大きく見えるだけだったみたいだ。

更に近づくと人影の主の姿かたちまでくっきりと見えてきた。

えーっとああいうのなんていうんだっけか…この前エーシェが着ていたドレスとは違うんだけど、フリフリのスカートとか小さな帽子とか首にチョーカーって言うんだっけ?なんか着けてる…なんていうんだっけかなぁあれ…

えっと…ロリだったのはコディティアでー。

そうじゃなくてー…

あれだ!ゴスロリだ!!なんの略なのかしらないけど、そんな風に呼ばれているファッションのひとつだった気がする!!

うん。こっちの世界だと…というかこの前まで国王一家を見ていたから別に気にならないな。

前世では町中であれを見かけたときはちょっとビビったけどこう森の街道の脇に居ても違和感は…

いや、違和感しか無いわ!

ここ王都から馬車で数時間の場所だってさっき僕自信が言ってたじゃないか!

それにあれみてみ?ヒールだよヒール!

あんなのつま先立ちしているのと変わらないからね?それで馬車で数時間の場所まで移動している人間が居るのか?答えは否だ…

はいはい。お願いだから話しかけてこないでね…

そう心のなかで願いながらゴスロリ少女(?)の目の前を馬車で走り抜けようとする。

「あの…もし?」

格好と言動が合ってない!!

言葉遣いはなんで古風なの!?それ言うなら和服で居てほしかった!

残念ながら僕の祈りは届かず話しかけられてしまったが話しかけられて無視するのも気が引けてしまうのでちゃんと紳士に対応することにする。

馬車を停めて改めて声の主をまじまじと見る。

黒を基調としたドレスに白いフリルの付いた着ていて同じ柄の日傘をさしているその女性は日傘をさしているだけあり色白の女性だった。

「な、何でしょうか?」

精一杯の営業スマイル。

「私…人を探しておりますの。この辺りで通りかかった方に声をかけていたのです」

はぁ…さいですか。

「あ、そうなんですねー。でも、僕達はきっと力になれないので〜」

さよーならー。

紳士な対応とはとも思ったが、これ絶対にめんどくさいことになりそうだからなぁ…

「ちょ、待ちなさい!…こほん。話だけでも聞いていただけませんか?」

まぁ、そう言うなら…

「エル君どうしたの?」

「ちょっとさっき見かけた人影の主から声をかけられてね。人探ししているみたいだから話だけ聞くことにするよ」

「そう。あんまりゆっくりしていると夜までに到着できなくなってしまうから手短にね」

こいつ…急発進と急停車繰り返したろか?

「と、うちのお姫様が言っておりますので手短にお願いします」

「そ、そのようね」

ほらー引かれてるじゃん。

「それで?探している人はどんな人なんですか?」

「ええっと…身長はそれほど高くはなく、顔はとても整っていて、白く長い髪をしているのです…ジュル」

ジュル!?

危険な匂いがするぞコイツ…

「どうかされましたか?」

「い、いえ、それで心当たりはございませんか?」

ああ、心当たりねー。

ありまくるねぇ…きっとその子あれでしょ?きっと頭から角生えてるでしょ?

「他には特徴は無いのですか?ちょっとまだ検討がつかないですね」

嘘でしか無い。

「あとは…そうです!身の丈ほどある鎌を使って戦うのです。昔はそんなことはなかったのですが、その姿も美しくて…ジュル」

あの、そのよだれなんで出てくるんですかね?

「へーそんな人いるんですねー」

「そうなんですよ。凛々しくてかっこよくて…私のあこがれの人なんです」

ヒスイ君や…君のファンらしいぜこの子。ちょっとやばめの。

というかなんでコイツヒスイが大鎌を使っていることを知っているんだ?

あれはヒスイが王都に行ってから手に入れたはずだし、あれを使って戦っていたのは勇者戦だけのはずだ。

しかもそれは僕らが忍び込んだ夜の王城での出来事だ。

観客など居なかったはずなのだ。

そのことを実際に見て知っているのはもう僕とエーシェとヒスイだけのハズだ。

あの件の資料に関しては王国でも一部しか閲覧していないはずの資料だ。

この少女が知っているはずが無いのである。

何者だコイツ…

「あーちょっとわからないですねー。ごめんなさいね力になれなくて」

さ、変に首を突っ込まないでおこう。さよーならー。

「あら、よく見たらあの時あの方と一緒に居た方ではありませんか?」

ふむ…これは完全に何かしらの方法で勇者戦を見られていたというのが正解みたいですね。

これは逃げられそうも無いなぁ…

「はいはい。わかりましたよー。きっと探している人を知ってますよー。ヒスイー!お客さんだよーちょっと出てきてくれない?」

「ええ?僕にお客?僕に人の知り合いはもう居ないはずなんだけどなぁ…」

長い時を生きるヒスイにとって知り合いはもう少ないと聞いていた。

人の知り合いは僕達と出会ってからの知り合い以外は居ないとも。

と、なると…この少女はおのずと人ではないなにかに該当することになるな。

がチャっと馬車の扉を開けて降りてくるヒスイ君。

その姿を見てぱぁーっと表情を明るくする少女。

「ああ、やはりこの方と一緒にいらっしゃったのですね。お会いしとうございました!」

ここまで来るとちょっと怖いなぁ…。

めっちゃ涙流しているんですけどあれですか?

推しの実物にあえて換気の涙みたいなあれですか!?

「げ…カミラ…」

少女の姿と声を聞いて少し後ろに後ずさりをするヒスイ。顔は完全にひきつっている。

お前ガッツリ知り合いやんけ。

ヒスイはその後、そのままカミラから走って逃げ出した。

カミラと呼ばれた少女もそれを追って走る。

ぐるぐると馬車の周りを走り回る男のドラゴンとそれを追いかける少女(きっと人外)の姿を眺めているとなんだろうか…ほんわかするなぁ…

「エル君なんで僕のこと呼んだのさ!こうなるってわかってたでしょ!」

走りながら僕に必死に訴えてくるヒスイ君。

うん。ごめん。こうなる気はしていたよ。

「いや、だって…カミラさんが探しているの確実にヒスイだったからさ…」

「わかっててやるのは良くないって!!」

ごめん…反省はして…ない!!だって面白いから!!

「緑竜様!どうして逃げるのです!」

「カミラが追っかけてくるからだろ!カミラはなんで追いかけてくるのさ!」

「緑竜様が逃げるからです!」

これ、終わらないやつだ。

眺めているのも楽しいけど、そろそろ止めに入ったほうがいいかな?

ヒスイとカミラが走ってくるであろう場所に僕が降りて通せんぼをする。

それを見て僕の背中にヒスイが隠れる。何このかわいい生物。

「ちょっと話をしたほうが良さそうだね」

「う〜わかったよ…」

「カミラもそれでいい?」

今度は僕の体の周りをぐるぐるとしている二人を止めて話し合いに無理やり持ち込むことに。

「ええ、いいですわ」

「はいじゃあ、一旦みんなこの距離のまま話すこと!いいかな二人共!」

「はーい」

「わかりましたわ」

ヒスイと話せるとわかればカミラはわがままを通そうとしないからこの条件で話せるのがベストだ。

「まず、ヒスイ。この人…カミラさんって名前を知ってるってことはどんな人かも知ってるんだよね?」

「ま、まあね」

「ヒスイから見てカミラさんはどんな人なのかな?」

「えっと…僕の追っかけ?」

「ちょ‥追っかけって…ブフッ!!」

思わず吹き出してしまった…。

「エル君どうしたの?なんか外が騒がしいんだけど」

馬車からエーシェの声がする。

「エーシェ…今ちょっとおもしろいことになってるから出てきなよ」

「えー…わかったわよ。…なにこの状況?」

エーシェが馬車を降りてきて最初の一言目はそれだった。

まぁ、その気持はよく分かるよ。

「エル君その子は?」

「この人はヒスイ曰くカミラさんっていって…ヒスイの追っかけなんだってブフッ」

「あら、ヒスイも罪な子ね」

「絶対面白がってるでしょ二人共!!」

「「うん」」

ごめんね。めっちゃ面白いよ。

「だいたいなんで僕が悪いことになってるのさ!僕だって迷惑してるんだって!」

びしっとカミラの方を指さすヒスイ。それ犯人はお前だ!の時のやつだぜ?

「先程から聞いていると緑竜様のことをヒスイヒスイと馴れ馴れしく…あなた方は緑竜様のなんなのですか!!」

「仲間だよねーヒスイ」

「そうね」

その僕らの言葉によよよとわかりやすくショックを受けているような動きをするカミラ。

その動きって異世界でも共通なの?

「あれ以降ずっと人間と関わることを避けていた緑竜様が…人間と仲間に?」

あれ以降…ああ、昔ヒスイのことはもういらないと言ってた王国のことか。滅びたらしいよね。

「それはそれ!これはこれ!今僕は僕の意思でエル君とエーシェと一緒に居るんだからほっといてよ」

嬉しいことを言ってくれるじゃないかヒスイ君や。

「それならば、私の緑竜様の記録を書き換えねばいけませんね…」

何そのヒスイの成長日記みたいなやつ。怖い怖い。

「こういうやつなんだよカミラは…わかったでしょ僕が逃げた理由」

うん。まぁさっきからなんとなく察してはいたよね。

「それで?カミラさんはヒスイを見つけてどうしたかったの?」

そう。ただ探していただけではないはずだ。

ヒスイを見つけ出して、その後どうしたいかが重要だ。

「えっと…また、一緒に旅をしたいのです!」

ふぁ!?

【帰路につく③〜なんで古風なの!?〜】最後までお読みいただきありがとうございます。

ということで新キャラ登場です!カミラはいい味を出してくれますかね〜?

カミラの設定に関してはおいおいわかってくると思っているのですが、割と僕が好きな要素を沢山詰め込んだキャラクターになっていると思ってます。

完全に僕の趣味ですかねー。あ、ゴスロリは違います。嫌いじゃないけど。

【次回予告】

エル「追っかけってなんだよ」

ざー「ストーカーってカタカナ使わないで言わないとどう言えばいいかわかんなくてね。それ以外の表現方法は…犯罪者?」

エル「意味が広すぎる!カミラが一気に悪い子になっちゃったよ」

ざー「まぁ、ちょっと粘着質なところ以外はいい子だからねー。次回も今までに無いヒスイ君がたくさん出てくるかもね」

エル「あれめっちゃ面白い。さすがざーさんわかってると思ったわ」

ざー「お褒めいただきありがとうございます。じゃ、そろそろいつものお願いね」

エル「次回!【帰路につく④〜カミラ〜】お楽しみに!」

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