帰路につく②〜エル君が酔わない簡単な方法〜
王都を3人で散策をして満足をしたので彼らは王都を出ることに。
でも移動方法は…
エル君は解決策を見つけることができるのだろうか?
みんなで王都探索をした次の日に僕達はついにエリーゼの村へ帰ることにした。
それはいいんだよ…
うん。もう王都もお腹いっぱいになってきたしそろそろ帰りたいなって思ってたよ。
でも…帰る方法は…
「僕もう馬車は嫌なんだけど…」
僕がその言葉を口にするとエーシェとヒスイが一斉にこっちを向いた。
「馬車以外に帰る方法なんて無いでしょ?」
「それ以外に帰る方法は…僕の背中に」
「「それは無い」」
「なんでさ!」
言い出したのは僕なので申し訳なく思う…
「いや…そうなんだけどさ…もう馬車に酔うのは嫌なんだよ…」
「そうは言っても方法がヒスイに乗る以外無いじゃない」
なんでヒスイに乗るのが選択肢の1つになってるの?
でも、さっき無いって言ったけど…ワンちゃんありなのか?
「エル君今ありかもって思ったでしょ」
「なんのこと?」
「顔にそう書いてあったわ」
「そ、そんなばーかなー」
そんなわけない。
そんなわけがないんだ。
「だとしても、結局のところこの距離を移動するのは馬車以外に無いじゃない。あなたの元いた世界じゃないんだから」
ああ、車があったら楽だったよなぁ…
「エル君!ちなみにどんなのがあったの?」
「えっとね…動力を馬の代わりに燃料を使って動く金属の車ってのがあったよ」
「へー。エル君はそれは乗れたの?」
「乗ってるときは酔ってたかなぁ…」
「エル君?酔わない乗り物ってあったの?」
「えっと…そんなこと…いや、まて…全部酔ったな」
「じゃあ、無理なんじゃないかしら」
うぅ…そんなふうに言わなくてもいいじゃないか!
事実なんだけどさ!
あれ?ヒスイに転生者だって言う話してたっけ?
「あれ?ヒスイって僕が転生者なの知ってたっけ?」
「えっとなんとなく気がついてたよ?だって時々変な言葉喋ってたし」
変な人扱いをされている気がする。
「ちなみにそっちの世界で酔わない方法とかなかったの?」
酔わない方法?
そんなことを言われても…この世界だと酔止めなんて物は無いだろうし…
「ああ、あったかも」
「あったんだ」
あれだよ乗り物によってしまう原因は脳の認識のズレだって向こうの世界で小さい頃に国営放送の番組で見た記憶がある。
つまり、その認識のズレさえなくしてしまえばいいのだから…
「自分で運転すればいいんだよ!」
どうだ!これで解決だ!
「そんなことできるのかしら?」
「いや、一回もやったことないし、馬に乗ったことすらない」
やれやれとエーシェとヒスイの二人は目を合わせてため息をつく。
そんなに呆れなくてもいいじゃないか!
「あまりに突拍子もない提案だったから…つい」
「それでどうやって運転できるようになるつもりなのかしら?」
「練習する…」
それ以外の方法が思いつかない。
「どこでどうやって練習するのかしら?」
た・し・か・に!
どうしよっかなぁ…誰に習うのが正解なんだろうか…
「エーシェそういうことできたりしないの?」
「乗ることはできるわよ。でも馬車を運転はしたこと無いわね。そもそもそんなことする必要が無いじゃない」
さすがブルジョワは違うぜ!
「エル君が運転をするとして…馬車はどうするの?」
あ、そうだ今まではタクシーみたいに乗せてもらってたし…
「そういえば、馬車をどうやって借りてたか知らないわ僕」
「あら、エル君は知らなかったかしら?馬車はあれよ王国内だったらどこから借りてもいいしどこで返してもいいのよ」
そんな制度だったの!?めっちゃ便利じゃん!
「そしたらあれだね!馬車を借りれるところに行って教えてもらおう!」
「その間に私達は何してればいいのかしら?」
「えっと…応援?」
「え…嫌よ」
もっとオブラートに包んでほしいんだけど。
「え、えっと〜!とりあえず馬車を動かす練習しに行こうか!」
なんか視線が怖いけど無視無視!
「そういえば、馬車って借りるより買ったほうが楽って可能性無い?」
ああ、そういう考え方もあるのか。どうなんだろ?
「それは無いわね。馬の維持費だってかかるしそもそも私達の家に置き場なんて無いじゃない」
確かにそんなスペースはなかったな。
それに馬を管理し続けるなんて無理だからやるとしたら管理人を雇ってと…ああ、絶対高いわ。
「うん。借りることにしようか」
というわけでやってきました!!
「あのー馬車の運転の仕方を習いたいんですけどー…教えてもらえませんか?」
「はぁ?」
おじさん‥僕これでもお客さんなんですけど?
「馬車を借りるのと、馬車の操作法を教わることができればこれくらいお支払いしようと思ってたんですけどだめですか?」
普通に馬車を借りる料金の3倍の料金を袋に詰めて置く。
「あー…本気だったんだな。すまんすまん。基本操作は教えてやるよ」
おじさんいい人だったんだなー(単純)
「じゃ、私達はお茶でも飲んでくるから戻ってくるまでに終わらせてよね」
「エル君がんばれー」
薄情な奴らですよ…
「それじゃ、お願いします」
おじさんからは基本的な馬への指示の出し方と馬の健康状態の見分け方休憩を取る感覚など馬車を使っての移動をするのに必要な知識を教えてもらうことが出来た。
このおじさん教えるの上手いな〜と感心してたらいつの間にか教わる内容は全て教わってしまったらしい。
案外簡単にできるようになるもんだな。
「ありがとうございましたー」
「おう。兄ちゃん飲み込み早かったから教えがいがあったぜ」
車を運転するのとはまた違う難しさがあったけど、これはこれで楽しさの一部なのかもしれない。
こういうのが趣味に発展していくんだろうなぁ…
「エル君終わった?」
あら、素晴らしいタイミングですねお二人さん。
「今終わったよー。これでエリーゼの村に帰れるね」
「これは信用していいのかしら?」
あら、信用されてないのかしら僕。
「いいんじゃない?エル君はできることは多い方だし」
その「は」ってのが気になるなぁ〜。まぁ、事実なんですけど。
「まぁ、これで僕はいつでも馬車を運転できるようになったんだからどこへでも行けるようになったわけだ!さて、二人共やり残したことは無いかな?」
「無いわね」
「僕もー!」
君たち割とあっさりしてるよね。
「じゃ、王都とお別れだね」
「またいつでも来れるじゃない」
「それもそうだね。馬車も克服したことだし」
そういえば、ここに来てからいろんなことがあった。
王様に会ってその後勇者に会った。
帰ってきたらえーシェが居なくなって衛兵の人と仲良くなったりしたなぁ。
「あ、ヒスイ。ナデランさんに挨拶してから帰らないとね」
「誰だっけそれ?」
この子…酷いなぁ…
「僕らに情報屋がいる場所を教えてくれた衛兵さんだよ」
「あーそういえばそんな名前だったかも」
あの人いい人だったなぁ…
まぁその後も死にかけたりといろいろあったけど無事に帰れそうだからいいか!
「おじさんありがとうございましたー!」
「おーう!また来いよー!」
馬車の操作を教えてくれたおじさんに挨拶をして馬車を動かし始める。
「あら、ほんとに進んでるわ」
「どれだけ僕のこと信用してなかったんだよ」
ゆっくりと過ぎ去っていく王都の町並み。
見慣れたものではなかったけど、都会っぽい感じがして嫌いじゃなかったかもしれないな。
「そろそろ正門かな」
正門の近くのところにナデランさんは今日も居た。
「ナデランさんお久しぶりです」
「おお!エルドナスなねーか!元気だったか?」
この前話した時と同じで答えてくれるナデランさん。
「いろいろありましたけどなんとかなりました」
「なんとかなったって…ああ、そういうことか」
馬車の中を確認して色々と察した様子のナデランさん。
察しが良すぎるんじゃないだろうか?
「どうやら上手く行ったみたいだな」
「まぁ、おかげさまで?今日は王都を出ることにしたので挨拶をと思って」
「そうか。まぁ、これで会えなくなるわけじゃないんだからそんな寂しそうな顔すんなよ」
僕はそんな顔してたのか…
「そうですね!じゃ、また会いましょう!」
「ああ、またな!」
そんな風に簡単に挨拶を済ませて僕らは王都を出た。
バイバイ王都!
馬車を走らせること数時間…
「割と暇だねこれ」
手綱を握り続けるだけで特に何があるというわけではないが、何かがあったときに反応ができるように準備をしているのって割としんどい。
車を運転しているときに人と話していたくなるのはそういう理由があったのかもしれないな。
「暇って言われても…何もすること無いじゃない」
「正直僕はずっと移動でもいいけどねー」
それはないかなぁ〜。
「それはあれだよ。馬にも良くないから途中で休憩を取りながら行くよ」
「えー…わかったよー」
「それにしてもエル君が変なことを思いつくから出発が遅れちゃったわね。これだと前に泊まったところまで行くのは難しそうね」
ご、ごめんなさいね…思いつきで行動しちゃって…
「そういえばヒスイ君や。そういえば前回の移動のときに魔法使ってくれてたよね?あれまた使ってくれよ」
「そんなの使ってたね。ほいほーい」
ちょっと前から来る風が弱まった気がするかも?
「なんだか風が弱まった気がするよ。ありがとうヒスイ」
「気がするって…ちゃんと効果があるはずなんだけど、エル君って鈍感よね」
鈍感とは失礼な!
前から来る風の強弱なんて大きく変わらない限りわかんないだろ!
僕が悪いわけでは…ないと信じたい…
「まぁ、今日運転するのが初めてだから普通がどんな感じ科わかんないんだよ。だから僕は悪くないよ」
「はいはい。それはそうとエル君お湯あるかしら?」
ん?なんて?
「無いけどどうしたの?」
「お茶を飲みたいなって思っただけよ」
何を言ってるんだろうかこのお姫様は…
「唐突に変なことを言わないでくれ。びっくりして思考がとまちゃったよ」
「だってエル君ならなんとかなりそうじゃない?」
なんだよそれ。
というかなんとかなりそうって何だよ。
「あ、わかるかも!僕らの思いつかないことばっかりやるからもしかしたらできるかもーって思っちゃうんだよね」
それは褒められていると受け取っていいんだね?
僕はそう受け取るからな!
「それは無茶ぶりって言うんだよ。できないものはできないから」
「あら、ざんねん」
でも、どこでもお湯が出せたら便利だよなぁ。
「どこでもお湯が出せたらいいよなぁ」
「あれ?意外と食いついてる」
「ああなったら長いわよ。理論に納得が行くまでずっと考え続けるわよ」
なんか扱いが酷いなぁ…
だってそういうことを考えている時間が結構楽しいんだよ。
「というかそもそも僕らの中で水属性の魔力を使える人居なくね?」
「そういえばそうね」
「僕風限定だからね」
風の魔法の化身みたいなもんだからな。
「他の属性って全く使えないの?」
「そーそー。どんなものなのかってのは知ってても全く使えないよー」
「そこが不思議なんだよなぁ〜」
僕も魔法の理論っていうかイメージはできるんだけど、全く出来ないことが多い。
例えば水魔法がその1つだ。
火や光、風、土はイメージしたら形になってくれるけど、適正が無いらしい水と聖と闇に関しては全く形にすらならない。
この違いは何なのだろうか。
「そもそもなんで属性なんてものがあるんだろうか?」
「えーそれは考えたことなかったなー。そういうのは人間の研究のほうが進んでるんじゃない?」
「エーシェは何か知ってる?」
「なんだったかしら…確か…人によって魔力には波長があるらしいのよ。それでその波長が合うかどうかで属性が決まるらしいわよ」
その人の魔力の性質がそのまま属性になるのか。
「そうすると僕らの種族は風魔法に特化しているってことなのかな?」
「あなた達は人間とは違うからどうなのかしらね」
人間とファンタジー生物を一緒にしてはいけないよな。
「そういえば、人間以外の種族っているんだっけ?なんか本で読んだことがあったような気がしたんだけど」
「いろいろいるよー。純粋な人族と亜人族って呼ばれる人たちがいるね。獣人だったり魔人だったりいろいろと」
魔人もいるんだ。
「魔人ってどんなの?」
「えっとー。見た目は人と変わらないんだけど、中身が全く違うねー。どっちかというと僕よりかな?」
なるほどわからん。
「ということは…あれか。使える属性が固定されるってこと?」
「うーん。そうじゃないんだけど、人よりも身体能力が高かったり、魔力量が多かったりするよ」
あ、そういうこと。
「そうするとエル君は魔人よりよね」
おっと!?
「まぁ、人の領域からははみ出してるよね」
「どこが!?」
僕は普通の人間だよ!?
「まず、4属性使えるところよ」
「それと、自分で魔法を作っちゃうところとか」
ぐうの音も出ないとはこのことなのかな?
「ぼ、僕は普通の人間だよ!」
僕の叫びが山々にこだまして帰ってくる。
なんだこの悲しい叫び…
「ん?」
「どうしたのエル君?」
「人がいる」
馬車の進む道の先に人が立っているのを確認した。
王都からここまで人っ子一人居なかったからなんか怪しいな…
「たまたまこの辺にいただけじゃないかしら?」
いや…でもさぁ…
「ここ…王都から馬車で数時間かかる場所だよ?」
【帰路につく②〜エル君が酔わない簡単な方法〜】最後までお読みいただきありがとうございます。
王都で出会った人全員とお別れしても良かったんですけど、めんどくさそうなことはしないというのがこの3人です。
次回は新キャラ登場かな?
【次回予告】
ざー「エル君一人で考えても今日の話の結論にたどり着きそうだったよね」
エル「そんなことは無いと思うけど…」
エー「そうね。エル君ならありえそうね」
ヒスイ「エル君だもんねー」
エル「なんなのその謎の信頼感!」
ざー「まぁ、魔力についてはまたいずれ悩むときがあるだろうからその時ね」
エル「嫌なネタバレだなぁ…」
ヒスイ「…なんか寒気が」
エー「大丈夫?」
ざー「それはたいへんだー。次回は何が起きるんだろうなー」
エル「急にどうした?え…何?これ読めって?…えーっと次回!【帰路につく③〜なんで古風なの!?〜】お楽しみに!…これでいいの?」
ざー「うん。ばっちり」




